LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/28 SUN
OLIVER TREE
フジロックNo.1コメディアンはあんただ、オリバー!
毎年のことながら3日目のヘッドライナーが終わったからと言って油断ならないのがフジロックな訳なんですが、OLIVER TREEに関してはゲラゲラ笑いながらしばらくあの不思議な空間の余韻に浸りながら苗場を後にした方も多かったのではないだろうか。
まず、登場シーンから様子がおかしかった。バカでかい音が鳴ったかと思えばトレードマークのマッシュルームカットにサングラスをかけたOLIVERがなぜかキックボードでステージ上を駆け回り、挙句の果てにはぶん投げる。思わずニヤッとしてしまう。
1曲目は、“Miss You”。背後のスクリーンには常時MVが映し出されるという優しさ溢れる演出のなか、眩い照明が光る。身体の芯に響き渡る容赦のない重低音も正に深夜のRED MAQUEEに求めていたものであった。OLIVERがダンスをする度に観客が湧く。
“Bounce”、“One & Only”では、ステージに立つのはたったひとりではあるけれど、観客たちに手を左右に振らせたり、クラップ&ハンズをリクエストしたりと隙を与えない。MCだってお手のもので、今回が初来日だというOLIVERだったが、実は東京生まれで6歳までインターナショナルスクールに通っていたらしく、今回の出演をかなり心待ちにしているようだった。
“All That”そして“Alien Boy”で披露したモンキーダンスで更に会場は盛り上がっていく。え!??ちょっと待って!ダンス中にトレードマークのマッシュルームヘアが外れ、カッパみたいなハゲ頭が露出している!スタッフが慌ててOLIVERにズラをかぶせようとするが上手くいかない!会場からはゲラゲラ笑いが起きる。なんだよ、これ。ほんとに。でも実はこれもコントの一環で、OLIVERの地毛は黒髪サラサラなんですよね。ちょっと面白い髪型であることは変わりないんですけど。というか、ハゲネタって世界共通なのか……ということにも驚く。スタッフ髪型を直してもらったり、衣装へのチェンジの手伝いをしてもらいながら、このカオスな空間は後半戦に入っていく。
スローテンポな重低音、OLIVERの低い声が気持ちよい“Do You Feel Me?”と“When I’m Down”を聴いていると、改めて音源があまりにも大人しいというか、ライブがこんなにもアグレッシブであり楽しさ全開の曲たちであることを思い出す。まあ、本人が面白いからというのもあるのだろうけれど。
なんと、ここで「OLIVER TREE ジュニアを連れてきた!」ということで、深夜12時を回っているにも関わらず、OLIVER妻・息子・娘が登場する。なんでだよ!(笑)このまま“Cash Machine”の音楽が鳴れば、息子と娘は飛んだり跳ねたり。可愛らしい……が、途中で息子がぐずり出し、明らかに帰りたがっているのを妻がなだめている。そうだよね、もう眠い時間だもんねえ。なんだ、この自由すぎる空間は……OLIVERは子どもを気にすることなく踊り狂っているし。
観客たちのスマホのライトが揺れる“Let Me Down”では、ミラーボールも回り出し、余すことなく楽しませる。この辺りから、OLIVERは「もう1曲やっていい!??」と我々に対していちいち確認を取るのだが、知っているんだ……あなたの持ち時間がまだ十分にあることを。確実にあと数曲はやるということを……。日本の天丼ノリが活かされ、確認が入る度に笑いそうになる。
日付が変わった当日は、OLIVERのおばあちゃんの93歳のお誕生日らしい。何がどうしてかまったくわからないが、会場全員が一丸となってハッピーバースデートゥーユー♪」を歌うシーンもあり、会場全体が「なんで?????」という雰囲気になったのは面白かった。家族思いなのでしょうね。でも、本当になんで??????
“Hurt”では会場全体が揺れ、“Life Goes On”の終盤には、OLIVERの空中キックを見ることができた。終始ツッコミどころが多く、ステージ上で起きたことを羅列するだけでレポートが終わってしまいそうになるが、常に声は出ていたしライブ用に作られた重低音を基調にした音作りは、忘れてしまいそうではあったけれど流石ミュージシャン。それに加えてヘンテコなMV(褒めてます!)にコントのようなMC、歌っている最中であっても楽しませてくれる様子はコメディアンとしての腕も光っているように見えた。
やっぱり最後はキックボードを縦横無尽に乗り回しそのまま空中でターンをすれば会場も大きく盛り上がる。こういうところでも絶対に成功させるんだもん。ツッコミ&笑いすぎでヘトヘトになってしまった!
[写真:全10枚]