FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - FIELD OF HEAVEN 7/27 SAT

THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE

  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE
  • THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE

Posted on 2024.7.28 02:43

ユセフ・デイズという体験

グリーン・ステージはクラフトワーク、ホワイト・ステージはサンファからガール・イン・レッド。ここフィールド・オブ・ヘヴンには、サウスロンドンのコンテンポラリー・ジャズ・シーンで目覚ましい活躍を見せる、ユセフ・デイズがフジロック初出演。かなり悩ましい時間帯だが、それでもここを選んでくる人達が、ソワソワした雰囲気で彼らを待っている。ステージ中央にそびえるドラムセットの存在感だけで、これから始まるライブへの期待が高まってくる。21時定刻を10分ほど過ぎた静寂にサックスの音色が飛び込んできたのを合図に、ザ・ユセフ・デイズ・エクスリペリエンスのライブの始まりだ。

とは言ったものの、僕はそれほどジャズ・シーンに詳しいわけではない。トム・ミッシュとのコラボも気になっていたし、隣接するウィンドミル周りのポストパンク・シーンは大好きなので、こういうライブは押さえておいた方がいいなくらいの意識でここに足を運んだ。でも“Black Classical Music”からライブが始まった瞬間、思わず感嘆の声をあげてしまった。近くの兄さんも「これはかっこいい…!」と呟いている。

一般的なセットの3倍くらいの、多種多様な打楽器がセッティングされているユセフのドラム。まずその手数に圧倒されてしまうのだが、打音ごとのきめ細やかなニュアンスが感じられるのもとてもフレッシュ。普段はそれほど意識していなかったが、打音にも音色があることに気づかされる。そんな彼を中心に展開されるエキサイティングな絡み合いがたまらない!

「yo yo、元気ですかフジロック」とユセフ。続く“Tidal Wave”でもユセフの繊細かつパワフルな技巧が目を引くが、音色を使い分けるイライジャ・フォックス(Key)の鍵盤がリラックスしたフィールを持ち込み、グルーヴが複層的になっていくのがおもしろい。盟友ロッコ・パラディーノ(Ba)がジャコ・パストリアスのフレーズを弾いたかと思えば、ムーディーなアレンジが光る“Turquoise Galaxy”ではイライジャの高速ピアノやヴェンナ(Sax)が吹き奏でるメインリフに、恍惚の表情を見せながら踊っているヘヴンのオーディエンス。なんて贅沢な時間なんだろうか。

“For My Ladies”、“Strings Of Light”、“Mystics”と、どんどん表情を変える圧巻のジャズ・セッションはまだまだ続いていく。その時々でメインのプレイヤーを照らすライティングが見た目にも刺激的で、ドラムソロやパーカッションとのセッション、ピアノソロなどかわるがわる見せ場をまわして様々な展開を織り交ぜながら、メインのリフに回帰する瞬間のカタルシスたるや。それはまるで、体験のグレードが一段階上がったような感覚で、それがどんどん積み重なっていくのだ。まさにこれが“ユセフ・デイズという体験”なのだろう。

後半では、奄美大島出身のシンガーソングライターの城南海が登場!彼女とは2月のブルーノート公演の時に知り合ったそうで、奄美三味線の弾き語りを加えた“Fuji”では、迫真の和洋セッションが繰り広げられた。妖艶な歌声と独特のカラッとした音色でヴェンナのサックスと掛け合ったり、最後には高速でかき鳴らしたこの一幕は、今年のフジロックでも屈指のハイライトの一つに違いない。

“Instanbul”のドラムの入りで一度やり直す様子に「あなたもミスったりするんですか!」と逆に驚いたりもしたが、 最後の“The Colour Purple”では「ここまでついてきたならできるだろう!」とばかりにかなり複雑なハンドクラップを求めたりと、最後の最後まで僕らを刺激し続けたザ・ユセフ・デイズ・エクスリペリエンス。感覚をアップデートするような90分をじっくり堪能したヘヴンのみんなには、帰り道の景色も少し違って見えたことだろう。

[写真:全10枚]

TAGS
7/27 SATFIELD OF HEAVEN