LIVE REPORT - NAEBA SHOKUDO 7/28 SUN
Mega Shinnosuke
ポップなカオスでぶち上げる夜の始まり
連日、苗場食堂にはチェックしたかったライブハウスを主戦場にしているアーティストやバンドが絶妙なブッキングで顔を揃えている今年。前回国内アーティストのみで構成された2021年にRED MARQUEEに出演したMega Shinnosukeが登場。トラックメイキングもするシンガーソングライターの中でも、カラフルなポップやラッパーのフィーチャリングなどでオリジナリティが際立つアーティストだ。
今日はDJセットで、マニピュレーターとギター、そしてドラムと共にオンステージ。苗場食堂馴染みの出囃子が流れ、メクリがめくられるとカタカナで「メガシンノスケ」の文字が現れる。夏の田舎感満載なすだれをめくって出てくるのが面白すぎるのだが……。しかもそこでライブ見てたよね?と言われそうなアウトドアジャケットをフードまで被り、ハーフパンツといういでたちだ。“10000回のL.O.V.E.<3”のリミックスバージョンでサラッと始めたが、やっぱりギターとドラムが生なのは必要にして十分だし、サポートの二人が非常にパワフルで盛り上げる。すかさずキラーチューン“桃源郷とタクシー”のイントロが流れるとワッと歓声が上がる。それもかなり幅広い年齢層のオーディエンスからだ。今晩はさらに新たなリスナーも足を止めたんじゃないだろうか。さらに“愛とU”ではステージにスポーツヨーヨーの達人(!?)が飛び入りし、メロディに合わせた技を繰り出すという面白すぎる展開に、何が起きてるの?とばかりに足を止める人が増えていく。
序盤はアクションこそ、スキップしたりステージ前方のきわギリギリまで出てきていたが、割と淡々とうたっていたMegaも、中盤以降どんどん火がついてワイルドになっていく。「苗場のみんなそんなもんか?今日は最終日、どこの誰よりも踊れ!」と、煽りに煽って音源ではSkaaiがフィーチャーされている“iPhone”で暴走。フロア(地面だが)に降りて、オーディエンスに囲まれながら、iPhoneのカメラにも囲まれながら、このスマホの本質(我々の日常におけるそれ)について歌うというコンテンポラリーアートみたいなことになっていた。フェスの現場は予期しないことが起きるから瞬間を見逃せない。どんどんハードさとスピードを増す選曲が踊ることをやめさせない。グリッチ音がさらに歪んでマシンがぶっ壊れそうな“SHIBUYA BOY”のリミックスバージョンでも無尽蔵に動き回った彼は思わずMCで「死んでまうぞ!フジロック、クソ最高です」と、ヒートアップしてしまった自分を楽しんでいる模様だ。「フジロック、力残すな、ここで全部使え、俺もノエル見れるかわかんねえ」とまで言っていたから、多分そうだろう。
苗場食堂を通りかかる人にアピールするために何度も自己紹介していたのも、「今度はメインステージで!」と強い気持ちを表明したのも、本気中の本気。ポップであることは軟弱なんかじゃなくてラジカルなことなんだと教えてくれるMega Shinnosukeのフルセット、また必ずメインステージで見たい。
[写真:全10枚]