“あたそ” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '24 | フジロック会場から最新レポートをお届け https://fujirockexpress.net/24 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Tue, 13 Aug 2024 04:03:22 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.6 あれもない、これもないフジロック https://fujirockexpress.net/24/p_7583.html Fri, 09 Aug 2024 07:18:03 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=7583 「おかえり!」と声をかけると「ただいま!」と応えてくれる……。前夜祭のレッド・マーキーにやって来てくれたみなさんと、そんな挨拶を交わして集合写真を撮影し始めたのは、2007年ではなかったか。初めてやったときには、オーディエンスがどう応えてくれるか、全くわからなくて、はらはら、ドキドキだったんだが、ものの見事にほぼ全員から「ただいま!」と返ってきたときにはめちゃくちゃ嬉しかった。フジロックが、あるいは、苗場が、年に一度、帰省するふるさとのようになっているのを実感したのは、この頃からだったかもしれない。

あれからすでに17年、相も変わらずそんなことを続けている。なにはともあれ、みんなの幸せな顔を見るのが嬉しいからだ。苗場音頭での盆踊りが一段落して、花火が上がったあと、レッド・マーキーの入口のテープがカットされると、この1年間、フジロックを待ちわびていた人達が、文字通り、堰を切ったように雪崩れ込んでくる。そして、DJ MAMEZUKAの絶妙な選曲で回されるレコードからあふれ出る音の洪水をかぶる彼らの幸せな表情ったら……ありゃあしない。それに魅入られた関係者や噂を聞きつけた出演者までもが、ステージからその光景を記録しようとカメラを構えている。どうやら、運営本部でもその様子が映像で確認されているようなのだが、ちっぽけなモニターで見るのと、現場にいるのとでは大違い。実際にそれを目の当たりにしてほしいと呼び出したのが、昨年までグリーン・ステージを担当していた、主催者スマッシュの新社長、佐潟氏。それに応えてわざわざやって来てくれた彼が「確かに、そうだね。実際に見ると……」と、口にしてくれたのが嬉しかった。

加えて、今年はステージ袖に腰をかけて、最初のバンド、USを待ちわびていたのが、フジロックを生み出した日高大将。言うまでもなく、彼の写真をフィーチャーして2021年に制作した「Wanted(指名手配)」Tシャツには「彼が最前線に戻ってほしい」という願いが込められていた。かつてfujirockers.orgが作ったTシャツで、これが桁違いのセールスを記録したのはなぜか? 多くのフジロッカーがそんな思いを共有していたからに違いない。嬉しいことに、昨年はクリスタル・パレスやどん吉パークに彼が出没。体調がすぐれないと耳にしていたにもかかわらず、今年はレッド・マーキーからグリーン・ステージにも姿を見せている。しかも、彼が惚れ込んだというUSのライヴを楽しんでいる姿を目撃したのは少なくとも2回。ひょっとしたら、それ以上足を運んでいたのかもしれない。

コロナ禍以降、なかなか本来のフジロックが戻ってこないことに苛立っているフジロッカーが多いことは百も承知だ。それでも、ここにいるだけで幸せを感じていた。奥地のカフェ・ドゥ・パリもストーンド・サークルもない。ジム・ウェストを中心に集まってきたDJたちがお気に入りの音楽を楽しむブルー・ギャラクシーは復活したものの、あの周りにあったワールド・レストランは見る影もない。昔からのフジロックを知っている人間にとってみると、かなり寂しい景色にも映る。それでも、「なにやら幸せ」な自分がいるのだ。どこかで読んだ記事に「フジロックで飲むビールがめちゃ旨い」というのがあったんだが、実にその通り。なにを食っても、なにを飲んでも、ここにいることでその全てが格別なものになっているのに気付くのだ。

何度もやってきている常連にとって、フジロックは盆と正月が一緒になった、里帰りのようなもの。懐かしい友や仲間に再会できる場所でもある。年に一度、ここでしか再会しない友人だって珍しくもない。それでも、どこかで同じような世界を引きずりながら生きていることを互いに確認したり、旧交を温めることになる。しかも、初めて出会っても、どこかで繋がっているような感覚に陥ることも珍しくはない。そして、この1年を振り返りながら、あ〜でもない、こ〜でもないと会話が続いていくのだ。

この1年でフジロックに馴染みのある人たちもこの世を去っている。そんな仲間やアーティストのことが頭をかすめるのも仕方がないだろう。そんなひとりがチバユウスケ。今年、1998年の「地面が揺れた」伝説のフジロックから、スタッフが記録し続けた彼の写真をフジロッカーズ・ラウンジで展示したのは、そんな勇姿が我々に焼き付いていたからだろう。土曜日にクラフトワークが、昨年亡くなった坂本龍一への敬意を示すように「戦場のメリー・クリスマス」を奏でて、「Radioactivity」への導入部のように使ったのが話題になっているが、彼も苗場に姿を見せたアーティストのひとりだった。

Photo by MITCH IKEDA

フジロック・エキスプレスの更新作業に使う本部テントの準備と取材活動のために、精鋭スタッフと共に苗場入りした火曜日、新たな訃報が飛び込んでいた。作業を終えた夕方、UKロックの源流と言っていいだろう、ジョン・メイオールが亡くなったことを知る。ご存知の方も多いだろう。彼の次男が、フジロックの第1回目から最重要スタッフとして行動を共にしてきたスマッシュUKのジェイソンであり、幾度となくDJとして、あるいは、ザ・トロージャンズというバンドを率いて出演してきたギャズは長男。いわば、ふたりともフジロックを語るときに欠かすことができない人物となっている。彼らにどんな言葉をかければいいのか……、かなり戸惑っていた。実の父親が他界したのだ。彼らが現場を離れても誰も文句は言えないだろう。が、ジェイソンは黙々とフェスティヴァルの準備に奔走し、少し遅れてやって来たギャズには予定通りにツアー続行することを告げられる。

規模で言えば、比較の対象にはならないことは百も承知なのだが、フジロックを触発することになった英国のグラストンバリー・フェスティヴァルに繋がる不思議な縁がメイオール親子かもしれない。後者の主催者で会場となる農場の主、マイケル・イーヴィスが大きな影響を受けたのは1969年に開催されたバース・ブルース・フェスティヴァル。そこで演奏したジョン・メイオールとブルース・ブレイカーズを見て、「自分もフェスティヴァルをやりたい」と思うに至ったと。今ではその中心人物として全てを仕切っている末娘、エミリーが口にしている。しかも、そのライヴのステージ裏にいたのが、まだまだガキンチョだったギャズとジェイソン。ずいぶんと大人になった彼らがフジロックで最もフェスティヴァル的要素を凝縮したパレス・オヴ・ワンダーからブルー・ギャラクシーの顔のような存在となっている。

1970年に始まったグラストンバリーは今年で54年目となり、1997年に始まったフジロックは、ちょうどその半分の27年目。苗場での開催が始まった1999年から25年の節目となることが今年は話題になっているのだが、フジロックのルーツと言ってもいい、アトミック・カフェ・ミュージック・フェスティヴァルが産声を上げたのは1984年と、40年前にさかのぼる。というので、あの時、スタッフとして関わった身として、今年はジプシー・アヴァロンで続けられているアトミック・カフェのステージに立って、当時の話をしている。

あれから、とてつもない時間が過ぎ去ったように思う。その間に多くの友達や仲間に関係者がこの世を去り、フジロックが始まった頃にはまだ40代そこそこだった筆者も、すでに高齢者となっている。今年、グラストンバリーの主催者、マイケルが車いすに乗ってザ・パークと呼ばれるステージに姿を見せている一方で、フジロック生みの親、日高大将は杖を片手に前夜祭のレッド・マーキーやグリーン・ステージに立っている。かつてのようにジープで会場内を走って、動き回っていた彼らを見られないのは残念だが、世界の西と東で目撃したこの光景は彼らの想いがそのままフェスティヴァルとなっているんだろうと思わせていた。

なにやら表向きには順調に復活しているように見えるかもしれないフジロックだが、さて、どうなんだろう。確かに、主催者からは「来年はあります」と耳にしているし、今年も会場を離れるときに見たゲートには、その日程が発表されていた。しかし、その言葉の裏に「再来年はわからない」というニュアンスを感じていた。なにせ、異常とも思える円安のピークが開催期間中。ギャラの支払いはドル建てが原則なので、おそらく、海外からやって来た出演者に支払われる金額が想定よりも遙かに膨らんでいるはずだ。加えて、チケットのセールスも全盛期から比較したら、貧しかったと聞いている。チケットが値上げされているといっても、利益が出ているとは考えられない。

だからなんだろう、どこかで唐突にフジロックがなくなってしまうのではないかという危惧感は拭えない。なんの前触れもなく、消え去ってしまうような怖さも感じているのが正直なところ。でも、もちろん、そうなって欲しくない。なぜなら、想像できないのだ。年に一度帰る故郷がなくなることは。フジロックのおかげで知り合ったり、仲良くなった友人たちと再会できる機会が失われるのには耐えられないように思う。

初めてここに来た人達はどうだった? 同じように感じる? また、来年もやってきたいと思った? もし、そうでなかったら、フジロックの魅力が失せているってことなんだろう。もし、そうだったら、フジロックがこれでも他に類を見ない野外コンサートではなく、フェスティヴァルと呼ぶにふさわしい存在だということを証明してくれているようにも思う。でも、かつてのフジロックを取り戻したいという想いは変わらない。

今回、嬉しかったことのひとつは、会場で、かつてワールド・レストランと呼ばれる場所で中心となって動いてくれていたエチオピア人の仲間、ソロモンを見かけたこと。なんと7年ぶりに来た彼がなにを思ったか? ひょっとして、また、彼を核にワールド・レストランのような趣を復活させてくれないだろうかと期待してしまうのだ。そして、もうひとつ嬉しかったのが、何年ぶりだろう、戻ってきてくれたジーンズのリーバイス(Levi’s)。初期のフジロックでコンスタントにサポートしてくれていた彼らが戻ってきてくれた背景に、昔のスタッフが関わっていることに驚かされていた。

さて、そんな今年の会場内外での顛末を伝えてくれたのは以下のスタッフの数々。会場で一生懸命動いてくれた彼らに感謝して、そして、また、ここに集まってきたみなさんと再会できることを祈って、〆の文章を終えようと思う。ありがとうございました。

■日本語版
森リョータ、阿部光平、丸山亮平、あたそ、阿部仁知、イケダノブユキ、石角友香、梶原綾乃、三浦孝文、若林修平、Asakawa Maho、東いずみ、越川由夏、泉みや、Eriko Kondo、YAMAZAKI YUIKA、渡辺紗礼、こっこ、ヌー子、浅野凜太郎、井上勝也、エモトココロ、堅田ひとみ、粂井健太、古川喜隆、小林弘輔、佐藤哲郎、白井絢香、suguta、髙津大地、HARA MASAMI(HAMA)、平川啓子、前田 俊太郎、松藤 万里子、ミッチ イケダ、宮田遼、安江正実、リン(YLC Photography)

■E-Team
Nina Cataldo、Jonathan Cooper、Park Baker、Sean Scanlan

■フジロッカーズラウンジ
mimi、obacchi、SEKI、yamato

■ウェブサイト制作&更新
平沼寛生(プログラム開発)、迫勇一、坂上大介

■スペシャルサンクス
三ツ石哲也

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toe https://fujirockexpress.net/24/p_871.html Mon, 29 Jul 2024 13:16:48 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=871 あえて言う必要はないかもしれないが、フジロックという大自然のなかで、さらにはWHITE STAGEという素晴らしい音響設備が整った環境で見るtoeのライブは何事にも代えがたいものがあると思う。常連と言っても過言ではないが、何度見てもため息が出る。スタート前、リハの段階からかなりたくさんのお客さんが待ち構えていて、きっと同じように考えているのだと思い知らされる。

SEは、ジレーナ・スペクターの“Us”。すでに最新アルバム『NOW I SEE THE LIGHT』の、「For You, Someone Like Me(この世界のどこかに居る、僕に似た君に送る)」というフレーズへの関連性を感じてしまう自分がいる。登場から、すでに温かな拍手や歓声は送られ、完全にホームというか。toeというバンドを続けきた歴史の長さやファンの多さを物語っている瞬間であるように思う。
真っ白なスクリーンを背景に、シルエットが映し出されているようにも見える。“LONELINESS WILL SHINE”の切ないアコースティックギターのメロディが聴こえれば、もうすでに気持ちが満たされている。心に居座って離れないフレーズがたまらなく気持ちいい。アルバムのリリースは6年ぶりだったが、相変わらず鳴らされる音のすべてがたまらなく好きだった。待望の新曲、目の前の演奏を瞬きする瞬間も惜しいほどに見入ってしまう。感情の溢れる雄叫びには観客からも歓声が上がる。いつまでも聴いていたくなる。

“long tomorrow”、そして“孤独の発明”の馴染み深いイントロが流れるたびに声があがる。柏倉 隆史(Dr)の高く鳴るスネアとハイハットの音と山根 敏史(Ba)の低音に支えられ、山嵜 廣和(Gt)と美濃 隆章(Gt)の2本のギターが織りなす柔らかで繊細なメロディは、ずっと聴いているとインストバンドの限界値を少しずつ更新している様を見ている気になる。
んoonのJCがゲストコーラスとして登場した“レイテストナンバー”では、質の異なる2人の声が混ざり合い、気持ちよく響く。終盤、ステージに立つメンバーの感情をすべてぶつけたような激しく力強い演奏を見られたシーンは、いつ見てもグッと心を掴まれる。

ひとつひとつのギターの音が寂しく鳴る“Because I Hear You”、そして美濃が転んでしまう場面に心配しつつも職人技のようなサウンドに会場全体が熱くなった“エソテリック”。
そのあとのMCも、実際に聞くことができてよかった。わざわざ苗場まで遥々やってきて、とても意味のある言葉だと思った。
「長く生きていると、自分の力や思いだけではどうにもならないようなことが結構あるなって気づいてくるんですが、どんなに上手くいってほしいと思ってももう片方がそう思わないとうまくいかないこともあって。そういうときにおすすめするのが、何かひとつだけでいいから『俺はこれがやりたいんだよ!』っていうのがあると、いいですよ。それが僕にとってのバンドなんですけど。」「20年以上バンドをやってて、こういうところに出してもらえて。皆さんも、そういうのあると思うですけど。ない人も早く見つかるように祈っています。」という山嵜。
次の“グッドバイ”は、そういうものに対するエールのような曲である気がしているという。2006年リリースで。もう何度も聴いてきた曲ではあった。でも、このMCのあとの演奏を聴いていると歌詞も音もすべてがまた違う角度で聴くことができる。優しさに満ち溢れたサウンドがダイレクトに響き、頭のなかでも歌詞に込められた意味が反芻する。

最後の“MOTHER”では、ILL-BOSSTNOと5lackの2人が登場するといううれしいサプライズもあった。恐らく初披露。これもフジロックだけの特別な演出であり、きっと二度とないんじゃないか。最後の最後まで泣かせにくる。イントロのギター、BOSSと5lackの熱のこもった祈りのようなリリックが眩いほどに美しく、今も余韻から抜け出せないでいる。音楽を好きできる意味、フジロックにわざわざ足を運んだ理由、toeの音に魅了され続けてしまう訳。この1時間に、すべての答えがあったように思う。どこを切り取っても贅沢な時間であった。

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OLIVER TREE https://fujirockexpress.net/24/p_904.html Sun, 28 Jul 2024 23:50:19 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=904 毎年のことながら3日目のヘッドライナーが終わったからと言って油断ならないのがフジロックな訳なんですが、OLIVER TREEに関してはゲラゲラ笑いながらしばらくあの不思議な空間の余韻に浸りながら苗場を後にした方も多かったのではないだろうか。

まず、登場シーンから様子がおかしかった。バカでかい音が鳴ったかと思えばトレードマークのマッシュルームカットにサングラスをかけたOLIVERがなぜかキックボードでステージ上を駆け回り、挙句の果てにはぶん投げる。思わずニヤッとしてしまう。
1曲目は、“Miss You”。背後のスクリーンには常時MVが映し出されるという優しさ溢れる演出のなか、眩い照明が光る。身体の芯に響き渡る容赦のない重低音も正に深夜のRED MAQUEEに求めていたものであった。OLIVERがダンスをする度に観客が湧く。

“Bounce”、“One & Only”では、ステージに立つのはたったひとりではあるけれど、観客たちに手を左右に振らせたり、クラップ&ハンズをリクエストしたりと隙を与えない。MCだってお手のもので、今回が初来日だというOLIVERだったが、実は東京生まれで6歳までインターナショナルスクールに通っていたらしく、今回の出演をかなり心待ちにしているようだった。
“All That”そして“Alien Boy”で披露したモンキーダンスで更に会場は盛り上がっていく。え!??ちょっと待って!ダンス中にトレードマークのマッシュルームヘアが外れ、カッパみたいなハゲ頭が露出している!スタッフが慌ててOLIVERにズラをかぶせようとするが上手くいかない!会場からはゲラゲラ笑いが起きる。なんだよ、これ。ほんとに。でも実はこれもコントの一環で、OLIVERの地毛は黒髪サラサラなんですよね。ちょっと面白い髪型であることは変わりないんですけど。というか、ハゲネタって世界共通なのか……ということにも驚く。スタッフ髪型を直してもらったり、衣装へのチェンジの手伝いをしてもらいながら、このカオスな空間は後半戦に入っていく。

スローテンポな重低音、OLIVERの低い声が気持ちよい“Do You Feel Me?”と“When I’m Down”を聴いていると、改めて音源があまりにも大人しいというか、ライブがこんなにもアグレッシブであり楽しさ全開の曲たちであることを思い出す。まあ、本人が面白いからというのもあるのだろうけれど。
なんと、ここで「OLIVER TREE ジュニアを連れてきた!」ということで、深夜12時を回っているにも関わらず、OLIVER妻・息子・娘が登場する。なんでだよ!(笑)このまま“Cash Machine”の音楽が鳴れば、息子と娘は飛んだり跳ねたり。可愛らしい……が、途中で息子がぐずり出し、明らかに帰りたがっているのを妻がなだめている。そうだよね、もう眠い時間だもんねえ。なんだ、この自由すぎる空間は……OLIVERは子どもを気にすることなく踊り狂っているし。
観客たちのスマホのライトが揺れる“Let Me Down”では、ミラーボールも回り出し、余すことなく楽しませる。この辺りから、OLIVERは「もう1曲やっていい!??」と我々に対していちいち確認を取るのだが、知っているんだ……あなたの持ち時間がまだ十分にあることを。確実にあと数曲はやるということを……。日本の天丼ノリが活かされ、確認が入る度に笑いそうになる。
日付が変わった当日は、OLIVERのおばあちゃんの93歳のお誕生日らしい。何がどうしてかまったくわからないが、会場全員が一丸となってハッピーバースデートゥーユー♪」を歌うシーンもあり、会場全体が「なんで?????」という雰囲気になったのは面白かった。家族思いなのでしょうね。でも、本当になんで??????

“Hurt”では会場全体が揺れ、“Life Goes On”の終盤には、OLIVERの空中キックを見ることができた。終始ツッコミどころが多く、ステージ上で起きたことを羅列するだけでレポートが終わってしまいそうになるが、常に声は出ていたしライブ用に作られた重低音を基調にした音作りは、忘れてしまいそうではあったけれど流石ミュージシャン。それに加えてヘンテコなMV(褒めてます!)にコントのようなMC、歌っている最中であっても楽しませてくれる様子はコメディアンとしての腕も光っているように見えた。
やっぱり最後はキックボードを縦横無尽に乗り回しそのまま空中でターンをすれば会場も大きく盛り上がる。こういうところでも絶対に成功させるんだもん。ツッコミ&笑いすぎでヘトヘトになってしまった!

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TURNSTILE https://fujirockexpress.net/24/p_869.html Sun, 28 Jul 2024 18:58:00 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=869 フジロックにハードコアバンドの出演が決定し、スタートを待ち構えているお客さんの多さを目にするたびに「一体この人たちは普段どこにいるんだ……!」と思う。2018年の来日以来約6年ぶり。更にはWHITE STAGEの大トリである。何か起こるんじゃないか。起こるに決まってるだろうが……!ついそう思いながら、不安定な小雨が降るなか、緊張感を漂わせたままステージを見つめる。

5分押しで照明と音楽が消えれば、会場からはあり得ないくらい雄々しい声が上がる。1曲目の“T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)”で、すでにフルスロットルだった。中央には見事なサークルモッシュができあがり、人が頭上をゴロゴロ転がっていく。重低音が身体に染み渡る。これだよ、これ!!!これを待ってたんだってば!大人しく聴いていられるはずなんてなかった。3日目の夜10時、疲労感が徐々に薄れていくのがわかる。
“Endless”、“Fazed Out”では、シンガロングも起こり、マイクスタンドを高く掲げるBrendan Yates(Vocals)のキャッチーな声が突き抜けていく。サポートメンバーのMeg Mills(Guitars)は2つのお団子にミニスカートを履いた小柄な女性であるけれど、どこにそんな力があるんでしょう?Pat McCrory(Guitars)に負けないパワフルなギターをかき鳴らしながら、揚々とステージを駆け回る。こうしてステージを眺めていると、全員キャラが立っていて、華があるなあと思ってしまう。

Brendanのアカペラから始まった“UNDERWATER BOI”、それから“DON’T PLAY”。“Drop”では、Brendanがステージを降り、ダイブをする場面を見ることができた。早いBPMにすべてがヘビーに響く演奏には再びサークルモッシュができあがり、思わず腕も上がる。もうすでに熱気が凄まじく、次の演奏を待っている間ですら声が止むことはない。更にはどんなタイミングでもシンガロングが起こるのだから、ここにいる観客がどれだけTURNSTILEのステージを求めているのかがわかる。
アルバム『Time&Space』から“Real Thing”と“Big Smile”の2曲が続く。Daniel Fang(Drums)とFranz Lyons(Bass/Vocals)の大振りなドラムンベースとラウドなギターにあわせて会場一体が飛び跳ねる。

こうしている間にもサークルモッシュがどんどん大きくなっていく。大合唱が起きた“Can’t Get Away”のあとはDanielのドラムソロを挟んでの“BLACK OUT”、“ALIEN LOVE CALL”。今回のセットリストってもう1秒でさえも休む暇を与えないくらいずっと飛ばし続ける内容で、1曲1曲も長くはない。それにも関わらず、Brendanの声がぶれることがまったくなければ、常にステージを動き回る他メンバーも軽々とした様子で演奏している。どこにそんな体力があるんだ。改めてライブバンドとしての底力を思い知らされた。

もうここで体力が尽きても悔いはない。“MYSTERY”では相変わらずの大合唱が起こり、ラスト“HOLIDAY”に差し掛かるころ、Brendanが「こっちに来いよ!」と言わんばかりの手招きをする。「Let’s celebrate!!!!」とも言っている。一瞬、どよめきが起こるなか、ああ、ステージに人が上がっている……まだ上がってる……まだ……え?まだ載せるの……?いやいや、流石にもう無理なんじゃない???と眺めていると、軽く100人くらいの観客がステージに上がってるのではないだろうか。なんだこれは!!最高じゃないか!!!!!人が多すぎて、もはやメンバーがどこにいるのかすらわからない。これ、終わったあと絶対に怒られる奴だ!!!盛大な紙吹雪も降り、すべてが面白すぎて笑ってしまう。
こんなWHITE STAGEは初めて見たし、大トリでしか見られない光景だったと思う。燃え尽きた!雨と汗と泥まみれだし、次の日には筋肉痛だろうけど、今年のフジロックも最高だったと思える。鳴りやまない、雄々しい「TURNSTILE!TURNSTILE!」が、このライブの美しいひと時を物語っているようだった。

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クリープハイプ https://fujirockexpress.net/24/p_854.html Sun, 28 Jul 2024 11:56:23 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=854 ※まず一言述べておきたいのだが、MCの内容が個人的にとてもよかったため、しっかり書き起こすことにしようと思います。

SEもないまま登場する4人のメンバー。スポットライトが尾崎世界観(Vo./G.)に集められ、疾走感を覚えるドラムが特徴的な“君の部屋”で本編がスタートする。そのままの勢いを取り残しながら、“一生に一度愛しているよ”は、軽快なリズムに反して皮肉な曲だよなあ、なんて思う。小川幸慈(G.)がステージ上を動き回る様子を眺めながら、ヒリヒリした空気を肌で感じる。

BGMを速めたままの“月の逆襲”では、長谷川カオナシ(B./Vo.)が尾崎そっくりの上に抜けていくような声で歌い、ツインボーカルが心地よく響く。「ありがとう、クリープハイプというバンドです。今年でこのメンバーになって15年になるけど、フジロックとかもうないだろうなって思ってて。もうないものとして覚悟を決めてやっていこうと思ったんだよね。15周年で。そしたら、オファーが来て今ここに立ってる。すごくうれしかった。クリープハイプが、邦ロックとかロキノン系とかちょっと音楽好きの人からしたら、舐められることもあるんでしょうけど、そういうバンドだと思ってます。邦ロック系バンド、ロキノン系バンドとして、誇りをもってこのステージに来ました。今日はよろしくお願いします。」と話す、尾崎。なんか、この時点でかっこいいなと思ってしまったんですよね。15年もやっていたら色んなことがあったのだと容易に想像はできるが、自分の音楽や思想に自信を感じられる。

長谷川カオナシ(B./Vo.)がキーボードを弾き、尾崎のアカペラもしっとり聴かせた“ナイトオンザプラネット”ではポエトリーリーディングのような歌詞がタイトルのごとく夜に月を浮かべたような音に乗せられる。耳に残るギターの音が印象に残る“キケンナアソビ”のあとは、「今度会ったらセックスしよう!」の合唱が起きた“HE IS MINE”。クリープハイプって、「ここまで言っちゃうんですか?」という恋愛や恋心に紐づいた関係から生み出された感情を生活感を残した状態そのままで歌詞に落とし込んでいると思うのだが、性別に関係なく、心の底の方に埋まった悲しみみたいなものが見え隠れするように思う。

毛色の異なるアグレッシブなサウンドの“身も蓋もない水槽”、“社会の窓”のあとのMCでは、「ありがとう」のあと、「今日はなんか、すごい楽しいな。楽しくて曲順間違えちゃった」という尾崎。正直に言えば、この演奏が始まったとき、「この人、音楽がすきじゃないのかな?」「バンド辞めたいのかな?」と思っていたのだが、中盤以降に差し掛かる頃には、時折笑顔を見せながら楽しそうに演奏する姿が印象に残っている。
「いつも楽しくないわけじゃないんだけど、やっぱりやらなきゃいけないことっていうのはあって。今日ももちろんそうなんだけど。もっとなんか、やることが決まっているっていうか。いつの間にか楽しめてなかったのかもしれないなって。久しぶりになんか、懐かしい気持ちで。別に来てもらっているのは全然うれしいしめちゃくちゃ幸せなんだけど、なんかこうこんな感じでやるのがいいっていうかね。聴きたきゃ聴けばいいっていう気持ちで久しぶりにライブができて、大事なものを思い出させれもらってうれしく思っています。ありがとうございます。」
「楽しいよ!本当に。楽しいよ!あとあの、やっぱりフジロックになると、普段連絡来ないうような人からも連絡が来て、今日見るからとか今更何年かぶりに連絡してきてなんなんだよとか思うだけど、それはそれで、みんなそれぞれ時間が経つと家庭を持ったりして。ああ、大人のなっているなっていうのを感じて。で、自分は今年40になるんだけどまだ独身で、ずっと同じことを繰り返していていいのかな?って思うんだけど、不安になるんだけど。こうやってステージに立ってるけど、満たされなさとか悔しさとか寂しさとかそういうものはずっと消えないんだなと。一緒にいた人が家庭を持って幸せそうにしていると余計思い。でも、そういう人に理解してもらえない気持ちだって、こんなフジロックのグリーンステージに立ってて何を満たされないとか言ってんだよって思うかもしれないけど、何か足りなくて。でもこの足りなさって、なかなかみんなが持っているものではないと思うし、これからも大事にしていこうと思いました。こうやってライブを通して、いろんな人の生活と一瞬でもつながることができてうれしく思います。残り時間短いけど、一生懸命やります。よろしくお願いします。」というMCにはやられてしまう。距離は遠いかもしれない。それでも同じ人間で、変わらないのだと思ってしまったのだ。
ああ、この人は自分のバンドで武道館にも立って書いた本が芥川賞候補作品に2回も選ばれるような人なのに。かっこつけることもなく、恥ずかしがることもなく、自分の満たされなさを平気で口にするのだ。歌詞が全て私生活や思想に反映されているとは思わないけれど、だから自分のすべてをさらけ出すような作品を作る。あの言葉で、随分と邦ロック・ロキノン系バンドとしてのクリープハイプに対する見え方みたいなものが一気に変化したように思う。

ギターのメロディが耳に残る“イト”のあと、「一生の思い出にするつもりで来たけど、思い出にするにはもったいないから、ぜひまた呼んでください。お願いします。」という言葉のあとは、ラスト“栞”で本編が終わる。本当なんだろうな。尾崎の心から楽しんでいることが伝わる笑顔が記憶に残る。

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ホテルニュートーキョー guest 山㟢廣和 (toe) https://fujirockexpress.net/24/p_998.html Sat, 27 Jul 2024 19:16:18 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=998 2日目最後のピラミッドガーデン。辺りが寝静まったような穏やかな雰囲気のなか、ステージに現れる8人のメンバー。最初にメンバー紹介を済ませたあと、“カルトヒーロー”で封を切る。温もりのある伸びやかなピアノ、どこか懐かしさを覚えるギターにサックス・トランペットの音が穏やかに響く。ステージ前方には多すぎるくらいのキャンドルが灯され、まばゆく光を放つ。自然から発せられる音以外が存在しない、ピラミッドガーデンの夜の雰囲気にばっちり合っているように思えた。

今谷忠弘 (Gr)が深々とおじぎをし、“if you want it first time”では、アチコ (Vo)がタイトルを囁くように繰り返し歌い、管楽器をアクセントにしながらギターの音色が幻想的な空間に誘う。そっと灯をともすような“マークジェイコブス”、甘いピアノのメロディに時折アチコの力強い歌声が聴かせる“let me turn you on”、後方には柏倉隆史 (Dr)がいて、全体をグッと引き締めるアレンジには惚れ惚れしてしまう。
お客さんも押し寄せるほどはおらず(だからこそ、この空気が保たれているのだと思うし好きな空間なんですけど)、観客たちもステージをじっと眺めたり、身体を揺らしたり、自分の世界に入り込みながら聴き入っているようだった。眠くなってしまう?夜も深くなりつつある時間で、その気持ちもよくわかるけれど、それほど心地のよい音楽だということではないでしょうか。

一音一音が降り落ちてくるギターの音にどこか寂しさを抱えたサックスの音が印象に残る“Bison”のあとは、ゲストの山㟢廣和 (Gr,Vo)が登場し、“ゆかしき世界”と“Light for FUKUSHIMA”の2曲が9人で演奏される。美しい、と思った。確かるように、2本のギター、毛色の異なる2つの声が混ざり合い、音源よりもずっと奥行きが感じられ、心をぎゅっと掴まれる。恐らく音楽なんて関係なしに遊んではしゃいでいるであろう子どもたちの声が、自分の背後から聴こえてくるのもよい演出だった。福島へ祈り、より強く未来を見つめる音楽になっていたように思う。子どもは、全然バンドに興味なんてないだろうけど。でも、だからこそ。

最後に演奏された“ガウディ”で、2日目のフジロックの夜は静かに更けていく。穏やかでありながら、音楽の美しさを追求したような時間。観客からは温かな拍手が送られた。

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SAMPHA https://fujirockexpress.net/24/p_864.html Sat, 27 Jul 2024 17:15:09 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=864 祭壇のように並べられた機材たちのバックに、スクリーンがオレンジに光る。手前にはスモークが焚かれ、これだけですでに様になっている。サポートメンバー4人を携えてSAMPHAが登場すれば、心音のようなバスドラに駆けていくようなスネア、そこにサポートメンバーのコーラスが重ねられていく。
1曲目は“Plastic 100℃”だったのだが、ステージ上にさまざまな機材が置かれているけれど、この曲を人の力でやろうとするのか……という感想を抱く。それから、自身の楽曲を再構築しているため、まるで同じ曲だとは思えないほどアグレッシブな印象を持つのだった。そこから“Hold On”へと見事につながっていくのだが、こちらもBPMを変え、コーラスも加わりながら攻め込むような流れを作り込んでいる。SAMPHAの力強く、時に美しく響く裏声も美しい。こんなに感情を表に出しながら歌う人だったんですね、実際のライブを観ているからこそ気づけた一面であるように思う。

軽い挨拶のようなMCのあとには、“Suspended”。こちらはピアノのメロディにボーカル、そしていくつかのコーラスが目立つ1曲ではあったけれど、実際に会場で聴いていると、SAMPHAの柔らかなボーカルを前面に出しながら、コーラス、流水のようなピアノのメロディが追いかけ、更にはベースとドラムの音がゆったりと注がれていく。ここでは、人の声も楽器と同等の役割を持っている。“Can‘t Go Back”からは、シームレスなバンドアレンジがさらに光る。サポートメンバーもさまざま楽器に持ち替えながらそれぞれの持ち場を生み出していて、まるで音楽という大きな生き物を操っているようでもある。小さく飛び跳ねるようなピアノの高音が聴こえた“Stereo Color Cloud (Shaman’s Dream)”では、複雑なドラムラインを正確に成し遂げていく姿はまるでリズムマシーンのようであった。観客たちからも声が上がる。
背景がブルーに変わる。トライアングルの存在感を示す音に徐々にスピードアップしていくシンセは主線を取りながらも、SAMPHAのボーカルと混ざり合い、さまざまな表情を伺うことができる。耳に重く響くベースの音から、“Spirit 2.0”が聴けるとは思っていなかった。コーラスとの掛け合い、力強い歌声、バカテク満載のドラムは身体を揺らしながらも目を見張る。いい意味で、まったくついていけない。人類の表現力の限界や人間の新記録に挑戦する様子は、あらゆる観客を置いてけぼりにしていくみたいだ。

“(No One Knows Me) Like the Piano”では、しっとりと歌声を堪能しつつ、BPMの異なる2つのシンセサウンドにコーラス、キーボード、ベースとドラムが徐々に注ぎ込まれ、なんとKendrick Lamar“Father Time”のバーズを聴かせてくれるシーンもあった。
サポートメンバー含めた全員がステージ右手に用意された1つのフロアタム・3つのタムに集合し、打楽器での演奏が始まる。こんな演出初めて見た。歌声が聴こえるまでしばらく気づけなかったけれど、これ“Without”だ。確かに、いくつかの打楽器と背後のコーラスが印象に残る曲ではあるけれど、こんな風にメンバー皆で円を作り、打楽器を叩くという変化球を打ってくるだなんて思わなかった。改めて、音楽が芸術のひとつであることを思い知る。皆が元の位置に戻ってからのアレンジも前半/後半では同じ曲でもこれだけ感じ方が変わるのか、と思えるほどであった。
終盤は、コーラスの起用の仕方が絶妙だった“Satellite Business”。そしてステージが真っ赤に染まったラストの“Blood On Me”では、もはやドラムがどのようにリズムを捉えているのかが、わからなくなってくる。彼のドラムに胸を鷲掴みにされてしまった方も多いのではないだろうか。身振り手振りをしながら感情豊かに歌うSAMPHA。

昨年発表された“Lahai”は評判がよく、だからこそここまで足を運んだ方も多かったと思うが、まさかこの楽曲たちを打ち込みではなく人力で行い、バンドサウンドの限界にまでこだわるだなんてね。メンバーの能力を最大に引き出しながらの多彩なアレンジがたまらない1時間であった。人の音楽の表現って、ここまでできるのか。こんな聴こえ方がするのか。ステージセットもさることながら、まるで大自然のなかで行われる神聖な儀式を見ているようでもあった。

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MAN WITH A MISSION https://fujirockexpress.net/24/p_847.html Sat, 27 Jul 2024 13:23:15 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=847 SEのRamones“I Wanna Be Sedated”が流れれば、DJサンタ・モニカ(DJ)、そして他メンバーも勢ぞろい!いやあ、もうすでに暑そうですね。お顔の辺りが。まずは、“INTO THE DEEP”。キックの重いサウンドに、ジャンケン・ジョニー(Gt、Vo、Rap)の歌声が響く。観客たちは、両手を「ガウ」の形にして応えようとする。
左右に設置されたスクリーンを見ていると、フロントに立つ3人の口元がなぜか映らず、鼻より上と足元しか撮影されていない。なんででしょうね?ちょっとよくわかりませんが……出演時間がこの時間なのも、関係あるのかもしれませんね。温暖化の影響がこんなところにまで……本当によくわかりませんけど。これ、結構カメラマンさんも大変だったんじゃないでしょうか?苦労が伺える瞬間でもありました。

「フジロック、かかってこいよ!」で、“Emotions”の演奏が始まると、観客たちからは「待ってました!」と言わんばかりの歓声が起こる。サビまでの展開もわかりやすく、ときには合唱も起こる。盛り上げるために準備は万端!重い重低音にクラップ&ハンズにサークルモッシュですでにカオスティックな空間が出来上がっている。
フジロックのために演奏されたのかAC/DCの“Thunderstruck”ではしっかりマンウィズ節のアレンジは流石であったし、このチョイスはうれしい。終盤で「初年度から参加している人!」で、パラパラと手が挙がったけれど、思わず「お!」と思った方もいたのではないだろうか?同じ世代の音楽が好きなのかもしれませんね。
“Raise your flag”でも再びクラップ&ハンズにサークルモッシュを巻き起こしてくる。大盛り上がり!更に畳みかけるように先ほどまで演奏していた10-FEETのタクマがゲストボーカルとして登場し、“datebase”が聴けたのは心のどこかで期待してはいたけれど、やっぱりうれしい!すごい速さでヒートアップしていく。

後半は、「事情による休憩時間」ということで(!)、アコースティックバージョンの“yoake”でゆったり聴かせ、中盤に会場全体での爆発的なジャンプが楽しく、ラップパートが気持ちよい“Hey Now”、新曲“I‘ll be there”、そして“Fly again”では、この日最大のサークルモッシュも!前方はもうめちゃくちゃ!でも、それが楽しかったりする。会場の後方まで手を挙げ、曲に合わせて腕を左右に振る様子は、もう夏の風物詩というかお決まりの光景かもしれないけれど、まさに圧巻であった。
ラストは、“絆ノ奇跡”では大きな歓声が上がる。残りの力を振り絞って踊り、はしゃぎ、最後の最後まで全力で楽しんでしまう。お決まりの「1、2、3、ガウ!」のポーズで、ステージ後半では大人数、汗だくで写真を撮るガウラーたちの満足げな笑顔よ……!自分たちの持ち味や音楽を活かしながらもフジロック愛に満ち溢れた時間だったのではないでしょうか!

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syrup16g https://fujirockexpress.net/24/p_868.html Sat, 27 Jul 2024 09:49:14 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=868 死ななくてよかった。ライブを観終わったあと、素直にそう思った。泣きすぎて、顔はボロボロではあるけれど。ずっと死にたいと思いながらもう十分すぎるくらいに生きながらえてしまって、それでも死なずにいたらフジロックのWHITE STAGEに立つsyrup16gの3人の姿を拝むことができた。もう癖みたいなもので、何度も死にたいと思い続けている。生きている意味も価値がないことも、もうわかりきっている。それでも生きて、音楽を好きでい続けたら、ほんの一瞬だけ自分の生活にパッと光が灯るような時間がある。この日のsyrup16gのライブは、そんな時間だった。生きていてよかった。本当にそう思う。

もう発表の時点でわかっていたけれど、syrup16gに昼間の時間帯が面白いくらい似合わなくて、笑いそうになってしまう。まずは、“パープルムカデ”……え、1曲目でいきなり?途中のMCで、中畑大樹(Drums)が夏フェスへの出演は20年ぶりだと言っていた。2003年ロッキンオンジャパンでの演奏も、パープルムカデが1曲目でしたよね。いかしたサングラスをかけながら、ギターをかき鳴らす五十嵐隆(Vocal/Guitar)の様子を記憶から掘り返す。
力強く鳴らされるドラムとベースに支えられ、何十回何百回と聴いてきたあたたかなギターのフレーズに不安定とも言える五十嵐の声。時折、しっかり歌いきれるのか見ているこちらが心配になる瞬間もあったのだが、流石にもう慣れている。この日は比較的調子がよかったように感じる。それでも、ものの数秒で惹き込まれる自分がそこにはいる。思い出補正や抱えきれないほどの気持ちの重さもあるのかもしれないが、命を削りながらあの場に立つ五十嵐の姿を祈るような気持ちで見つめてしまう。

“coup d’Etat”の「声が聞こえたら神の声さ」であれば、このまま“空をなくす”でしょう。観客からも歓声が上がる。この時点で、セットリストを完全にフジロックに向けて仕上げていることを確信する。この2曲が続くとき、曲調も相まって感じられる神々しさが好きだった。シャウトが、空高くに響いていく。
「お水いっぱい飲んでね!」と言ったお客さんも、きっと何度もライブに足を運んでいる人なのでしょうね。今日は彼らの音楽に救われた人たちへのご褒美のようでもあった。3人で顔を見合わせて頷いたあとは“生活”。成功するのかいつもソワソワしてしまうギターソロも見事に弾ききり、会場も安心感に包まれながら沸く。
そして、“神のカルマ”、“Sonic Disorder”。もうたまらないなあ。なんだ、これは。自分の人生に大きな影響を与えた曲のイントロが聞こえるたび、声をあげてしまう。親の声よりも聴いているであろうキタダマキ(Bass)のベースラインにはもはや安心感を覚えながら、ステージを見守るように眺める。
持ち時間をやっと半分すぎた頃ではあるが、五十嵐はダブルピースでステージに入ってきたことが嘘のように暑さにやられてヘロヘロになっているようにも見受けられる。あの、大丈夫なんでしょうか?MCでは、「アーティスト写真と全然違う!と思ったかもしれませんが」「夏フェスは20年ぶりで、『そりゃあ20年出られないわけだよなあ』と思われるかもしれませんが」と、自虐たっぷりの様子には笑いが起きる。こういうところもシロップですよね……。まあ確かに夏フェス向きのバンドではないとは思うけれど。

「辛いことばかりで 心も枯れて 諦めるのにも慣れて」「したいこともなくて する気もないなら 無理して生きてることもない」という歌詞が最底辺まで気持ちを突き落とす“明日を落としても”には、何度救われ、聴きながら泣いてきたんでしょう。自分の過去は走馬灯のようによみがえってくる。それでいて、どこまでも優しく響き、泣いてしまう。
シロップのなかでも比較的爽やかなメロディが耳に残る“翌日”、“宇宙遊泳”のあとには“Reborn”で、3人はステージを去っていく。最後の最後に力を振り絞ったのか、一体どこにそんな体力があったのか、今までの不安定さが嘘みたいに今日一番安定した声で歌うんだもんね……2日前に行われた中畑祭とはまったく異なるセットリストだったし、ずっと好きでい続けた人にも、初めてライブを観た人にも、たまらない時間であったように思う。

今年、2024年は再結成10周年らしい。嘘みたいだ。こんなに続けてくれるだなんて。同じバンドをずっと好きでい続けると、「昔のほうがよかった」と離れてしまう人もたくさん見てきた。でも、それは違うんじゃないか。今日のライブを観ながらしみじみ思う。こうしてバンドを再開することを決め、そこからの五十嵐はひとつの覚悟や決意みたいなものを持ったように見える。演奏に対する姿勢、新しく作られる曲たち、ライブでの表情や所作を見ていると、音楽そのものに対する考え方が変わったのではないか。そんな風に考えている自分がいる。50代になっても健康なままで、メンバーも変わることなく相変わらず関係も良好そうで、バンドを続ける覚悟を持って、魂を振り絞りながら歌い続ける姿はやっぱり一番かっこいいなと思う。ありがとうございました、ずっと大好きです。

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PEGGY GOU https://fujirockexpress.net/24/p_857.html Sat, 27 Jul 2024 02:47:58 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=857 第2弾発表で「PEGGY GOU」の名前を見つけた瞬間、(インターネット上では)ワッと沸いた(気がする)。真裏がThe Killersにも関わらず、WHITE STAGEには人が押し寄せている。まじ?この人たちキラーズ見ないんだ……20年ぶりですけど……なんて思ってしまう。しかし、テクノDJ界隈において世界的にここまで成功しているアジア人女性というのは初めてではないだろうか。昨年のUltra Japanでの評価も凄まじく高かったわけで。そんなアーティストの初めてのフジロック、そしてトリのステージ。見ないわけにはいかない。

大きなターンテーブルの前に登場したPEGGY GOU。サングラスをかけてクールな出で立ち。腕に散りばめられたポイント・タトゥーがとってもキュート。まずは、Max Telearの“Blurry”を大音量で流しながらのFat Boy Slimの“Role Model”で繋げていく。まだ序盤ではあるけれど、早速メロディアスな選曲、ハイとローの入れ方にはフジロックやWHITE STAGEに踊りにきた私たちに対して視線を合わせていることがはっきりとわかる。やっぱり、苗場の大自然のなかで聴く、重低音は別格であると思う。リズムやビートで何小節か引っ張りながらメロディーとハイが加わり、そこに地鳴りのようなベースの重低音が降りかかってくる。煽るようなキックの音もたまらない。

そういえば、代打ではあったけれどHiroko YamamuraからのPEGGY GOUということで、今年WHITE STAGEは珍しい並びであるように思う。今まで、女性DJがトリを務めることも2人連続で起用されることもなかったし。毛色の違うプレイスタイルだったこともあり、対比を楽しむこともできたのではないだろうか。

テンポのいいキックの音にきらびやかなサウンドが乗せられたイントロが流れたと思えば、“Lobster Telephone”。DJが自ら歌うというスタイルも珍しいように思うが、すべて韓国語の歌詞というのも見ないケースではある。ハウス・ミュージックを基調としたサウンドに無機質でありながら艶やかなGOUの声が身体を通り抜けていくようで気持ちいい。ゆったりと身体を揺らして聴き入る。時折、渋い顔をしながらタバコの煙を吹かす場面もセクシーに映る。
「Make some noise!!」というGOUのリクエストからか、耳に残るボーカルに合唱が起こった“(It Goes Like) Nanana”は、今日一番の盛り上がりだったのではないだろうか。重く響くキックに軽快なメロディラインが身体を揺らしていく。Disclosureの“She’s Gone, Dance On”の選曲には思わずニヤッとしてしまう。馴染みのあるサウンドに浮遊感の漂うボーカル、徐々に上がっていくBGMに合わせて自分の興奮も高ぶってくるのがわかる。比較的長く引き伸ばしていたように思うが、メロディと低音のバランスも見事に調整され、無理することなく目の前の音楽に浸ることができた。

鳴りやまない拍手とともに再びヘッドフォンを手に取り、初期の表題曲“Starry Night”でアンコールに応える。これはうれしい!本人は小さなダンスを取り入れながら、最後までミステリアスなメロディーが響いていた。

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