“古川喜隆” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '24 | フジロック会場から最新レポートをお届け https://fujirockexpress.net/24 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Tue, 13 Aug 2024 04:03:22 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.6 あれもない、これもないフジロック https://fujirockexpress.net/24/p_7583.html Fri, 09 Aug 2024 07:18:03 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=7583 「おかえり!」と声をかけると「ただいま!」と応えてくれる……。前夜祭のレッド・マーキーにやって来てくれたみなさんと、そんな挨拶を交わして集合写真を撮影し始めたのは、2007年ではなかったか。初めてやったときには、オーディエンスがどう応えてくれるか、全くわからなくて、はらはら、ドキドキだったんだが、ものの見事にほぼ全員から「ただいま!」と返ってきたときにはめちゃくちゃ嬉しかった。フジロックが、あるいは、苗場が、年に一度、帰省するふるさとのようになっているのを実感したのは、この頃からだったかもしれない。

あれからすでに17年、相も変わらずそんなことを続けている。なにはともあれ、みんなの幸せな顔を見るのが嬉しいからだ。苗場音頭での盆踊りが一段落して、花火が上がったあと、レッド・マーキーの入口のテープがカットされると、この1年間、フジロックを待ちわびていた人達が、文字通り、堰を切ったように雪崩れ込んでくる。そして、DJ MAMEZUKAの絶妙な選曲で回されるレコードからあふれ出る音の洪水をかぶる彼らの幸せな表情ったら……ありゃあしない。それに魅入られた関係者や噂を聞きつけた出演者までもが、ステージからその光景を記録しようとカメラを構えている。どうやら、運営本部でもその様子が映像で確認されているようなのだが、ちっぽけなモニターで見るのと、現場にいるのとでは大違い。実際にそれを目の当たりにしてほしいと呼び出したのが、昨年までグリーン・ステージを担当していた、主催者スマッシュの新社長、佐潟氏。それに応えてわざわざやって来てくれた彼が「確かに、そうだね。実際に見ると……」と、口にしてくれたのが嬉しかった。

加えて、今年はステージ袖に腰をかけて、最初のバンド、USを待ちわびていたのが、フジロックを生み出した日高大将。言うまでもなく、彼の写真をフィーチャーして2021年に制作した「Wanted(指名手配)」Tシャツには「彼が最前線に戻ってほしい」という願いが込められていた。かつてfujirockers.orgが作ったTシャツで、これが桁違いのセールスを記録したのはなぜか? 多くのフジロッカーがそんな思いを共有していたからに違いない。嬉しいことに、昨年はクリスタル・パレスやどん吉パークに彼が出没。体調がすぐれないと耳にしていたにもかかわらず、今年はレッド・マーキーからグリーン・ステージにも姿を見せている。しかも、彼が惚れ込んだというUSのライヴを楽しんでいる姿を目撃したのは少なくとも2回。ひょっとしたら、それ以上足を運んでいたのかもしれない。

コロナ禍以降、なかなか本来のフジロックが戻ってこないことに苛立っているフジロッカーが多いことは百も承知だ。それでも、ここにいるだけで幸せを感じていた。奥地のカフェ・ドゥ・パリもストーンド・サークルもない。ジム・ウェストを中心に集まってきたDJたちがお気に入りの音楽を楽しむブルー・ギャラクシーは復活したものの、あの周りにあったワールド・レストランは見る影もない。昔からのフジロックを知っている人間にとってみると、かなり寂しい景色にも映る。それでも、「なにやら幸せ」な自分がいるのだ。どこかで読んだ記事に「フジロックで飲むビールがめちゃ旨い」というのがあったんだが、実にその通り。なにを食っても、なにを飲んでも、ここにいることでその全てが格別なものになっているのに気付くのだ。

何度もやってきている常連にとって、フジロックは盆と正月が一緒になった、里帰りのようなもの。懐かしい友や仲間に再会できる場所でもある。年に一度、ここでしか再会しない友人だって珍しくもない。それでも、どこかで同じような世界を引きずりながら生きていることを互いに確認したり、旧交を温めることになる。しかも、初めて出会っても、どこかで繋がっているような感覚に陥ることも珍しくはない。そして、この1年を振り返りながら、あ〜でもない、こ〜でもないと会話が続いていくのだ。

この1年でフジロックに馴染みのある人たちもこの世を去っている。そんな仲間やアーティストのことが頭をかすめるのも仕方がないだろう。そんなひとりがチバユウスケ。今年、1998年の「地面が揺れた」伝説のフジロックから、スタッフが記録し続けた彼の写真をフジロッカーズ・ラウンジで展示したのは、そんな勇姿が我々に焼き付いていたからだろう。土曜日にクラフトワークが、昨年亡くなった坂本龍一への敬意を示すように「戦場のメリー・クリスマス」を奏でて、「Radioactivity」への導入部のように使ったのが話題になっているが、彼も苗場に姿を見せたアーティストのひとりだった。

Photo by MITCH IKEDA

フジロック・エキスプレスの更新作業に使う本部テントの準備と取材活動のために、精鋭スタッフと共に苗場入りした火曜日、新たな訃報が飛び込んでいた。作業を終えた夕方、UKロックの源流と言っていいだろう、ジョン・メイオールが亡くなったことを知る。ご存知の方も多いだろう。彼の次男が、フジロックの第1回目から最重要スタッフとして行動を共にしてきたスマッシュUKのジェイソンであり、幾度となくDJとして、あるいは、ザ・トロージャンズというバンドを率いて出演してきたギャズは長男。いわば、ふたりともフジロックを語るときに欠かすことができない人物となっている。彼らにどんな言葉をかければいいのか……、かなり戸惑っていた。実の父親が他界したのだ。彼らが現場を離れても誰も文句は言えないだろう。が、ジェイソンは黙々とフェスティヴァルの準備に奔走し、少し遅れてやって来たギャズには予定通りにツアー続行することを告げられる。

規模で言えば、比較の対象にはならないことは百も承知なのだが、フジロックを触発することになった英国のグラストンバリー・フェスティヴァルに繋がる不思議な縁がメイオール親子かもしれない。後者の主催者で会場となる農場の主、マイケル・イーヴィスが大きな影響を受けたのは1969年に開催されたバース・ブルース・フェスティヴァル。そこで演奏したジョン・メイオールとブルース・ブレイカーズを見て、「自分もフェスティヴァルをやりたい」と思うに至ったと。今ではその中心人物として全てを仕切っている末娘、エミリーが口にしている。しかも、そのライヴのステージ裏にいたのが、まだまだガキンチョだったギャズとジェイソン。ずいぶんと大人になった彼らがフジロックで最もフェスティヴァル的要素を凝縮したパレス・オヴ・ワンダーからブルー・ギャラクシーの顔のような存在となっている。

1970年に始まったグラストンバリーは今年で54年目となり、1997年に始まったフジロックは、ちょうどその半分の27年目。苗場での開催が始まった1999年から25年の節目となることが今年は話題になっているのだが、フジロックのルーツと言ってもいい、アトミック・カフェ・ミュージック・フェスティヴァルが産声を上げたのは1984年と、40年前にさかのぼる。というので、あの時、スタッフとして関わった身として、今年はジプシー・アヴァロンで続けられているアトミック・カフェのステージに立って、当時の話をしている。

あれから、とてつもない時間が過ぎ去ったように思う。その間に多くの友達や仲間に関係者がこの世を去り、フジロックが始まった頃にはまだ40代そこそこだった筆者も、すでに高齢者となっている。今年、グラストンバリーの主催者、マイケルが車いすに乗ってザ・パークと呼ばれるステージに姿を見せている一方で、フジロック生みの親、日高大将は杖を片手に前夜祭のレッド・マーキーやグリーン・ステージに立っている。かつてのようにジープで会場内を走って、動き回っていた彼らを見られないのは残念だが、世界の西と東で目撃したこの光景は彼らの想いがそのままフェスティヴァルとなっているんだろうと思わせていた。

なにやら表向きには順調に復活しているように見えるかもしれないフジロックだが、さて、どうなんだろう。確かに、主催者からは「来年はあります」と耳にしているし、今年も会場を離れるときに見たゲートには、その日程が発表されていた。しかし、その言葉の裏に「再来年はわからない」というニュアンスを感じていた。なにせ、異常とも思える円安のピークが開催期間中。ギャラの支払いはドル建てが原則なので、おそらく、海外からやって来た出演者に支払われる金額が想定よりも遙かに膨らんでいるはずだ。加えて、チケットのセールスも全盛期から比較したら、貧しかったと聞いている。チケットが値上げされているといっても、利益が出ているとは考えられない。

だからなんだろう、どこかで唐突にフジロックがなくなってしまうのではないかという危惧感は拭えない。なんの前触れもなく、消え去ってしまうような怖さも感じているのが正直なところ。でも、もちろん、そうなって欲しくない。なぜなら、想像できないのだ。年に一度帰る故郷がなくなることは。フジロックのおかげで知り合ったり、仲良くなった友人たちと再会できる機会が失われるのには耐えられないように思う。

初めてここに来た人達はどうだった? 同じように感じる? また、来年もやってきたいと思った? もし、そうでなかったら、フジロックの魅力が失せているってことなんだろう。もし、そうだったら、フジロックがこれでも他に類を見ない野外コンサートではなく、フェスティヴァルと呼ぶにふさわしい存在だということを証明してくれているようにも思う。でも、かつてのフジロックを取り戻したいという想いは変わらない。

今回、嬉しかったことのひとつは、会場で、かつてワールド・レストランと呼ばれる場所で中心となって動いてくれていたエチオピア人の仲間、ソロモンを見かけたこと。なんと7年ぶりに来た彼がなにを思ったか? ひょっとして、また、彼を核にワールド・レストランのような趣を復活させてくれないだろうかと期待してしまうのだ。そして、もうひとつ嬉しかったのが、何年ぶりだろう、戻ってきてくれたジーンズのリーバイス(Levi’s)。初期のフジロックでコンスタントにサポートしてくれていた彼らが戻ってきてくれた背景に、昔のスタッフが関わっていることに驚かされていた。

さて、そんな今年の会場内外での顛末を伝えてくれたのは以下のスタッフの数々。会場で一生懸命動いてくれた彼らに感謝して、そして、また、ここに集まってきたみなさんと再会できることを祈って、〆の文章を終えようと思う。ありがとうございました。

■日本語版
森リョータ、阿部光平、丸山亮平、あたそ、阿部仁知、イケダノブユキ、石角友香、梶原綾乃、三浦孝文、若林修平、Asakawa Maho、東いずみ、越川由夏、泉みや、Eriko Kondo、YAMAZAKI YUIKA、渡辺紗礼、こっこ、ヌー子、浅野凜太郎、井上勝也、エモトココロ、堅田ひとみ、粂井健太、古川喜隆、小林弘輔、佐藤哲郎、白井絢香、suguta、髙津大地、HARA MASAMI(HAMA)、平川啓子、前田 俊太郎、松藤 万里子、ミッチ イケダ、宮田遼、安江正実、リン(YLC Photography)

■E-Team
Nina Cataldo、Jonathan Cooper、Park Baker、Sean Scanlan

■フジロッカーズラウンジ
mimi、obacchi、SEKI、yamato

■ウェブサイト制作&更新
平沼寛生(プログラム開発)、迫勇一、坂上大介

■スペシャルサンクス
三ツ石哲也

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GLIM SPANKY (Acoustic Ver.) https://fujirockexpress.net/24/p_941.html Thu, 01 Aug 2024 23:50:51 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=941 ENG: CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN https://fujirockexpress.net/24/p_6916.html Mon, 29 Jul 2024 11:33:07 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=6916 You’ve got big shoes to fill when you have direct lineage from a top tier legend like Hosono Haruomi, but I’m sure little Yuta made his grandpa proud with his Sunday Field of Heaven performance with Cho Co Pa Co Cho Co Quin Quin.
The set was all over the place in a very enjoyable way. Funk popping bass, steel drums, crunchy bleepy synths, Caribbean beats, you name it. Whether intentional or not it is hard not to feel a connection between their controlled eclectic arrangement style and Hosono-san’s. But cribbing from one of the best producers and songwriters of all time isn’t a bad idea.
There was little concern for melodies or traditional catchy strong structure, instead going for expanded meditative jams and moods, which fit the Field of Heaven oats and hemp vibe very well. Great music for upbeat zoning. They also wonderfully ramped the energy up from beginning to end, with their penultimate song being a full on rager.
I think these kids have a bright future ahead of them!

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THE JESUS AND MARY CHAIN https://fujirockexpress.net/24/p_6954.html Sun, 28 Jul 2024 14:45:04 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=6954 ジーザス&メリー・チェイン(以下メリチェン)が初めて苗場の地を踏みしめる。今年でデビュー40周年を迎え、新譜『Glasgow Eyes』を今年リリースしたばかりという絶妙なタイミングだ。言わずと知れた、シューゲイザーやオルタナティヴ系の後進アーティストたちの大きな影響源で、広く愛される数々のカタログを持つバンド。しかも出演するステージがホワイトステージときた。今に伝わる1999年のアンダーワールドをはじめ、極上のサウンドを創ってきたあそこでメリチェンがどう響くのか、観ないわけにはいかない。

早くも最終日を迎えたフジロック、16時過ぎ。曇り空に覆われ、雨がぱらついている。メリチェンは晴天よりは曇天で正解だろう。“Happy When It Rains”とか歌っているわけだし。お馴染みの「JESUS」と描かれたアンプが立ち並んでいる。開演前から多くの人が集結している。なかなかステージ前方の方へ行けないほど。さすがはUKロックの重鎮といったところか。メリチェンTをまとっている気合の入ったファンたちから、勝手な印象だがメリチェンを聴いたこともなかろうと思われるようなラッパー風の一団まで。様々な世代、性別、国の人たちがその登場を待ちわびている雰囲気だ。

無機質な電子ビートが鳴り響きバックにサイケデリックで雑なノイズ映像が流れる。これだけでメリチェンと一発で分かるのだから、やはり凄い。音だけではなくヴィジュアルやイメージにおいても、唯一無二の世界観を創り上げている。上下黒のシックな装いで統一したジムとウィリアムのリード兄弟とバンドがステージに登場。ベーシストは、プライマル・スクリームのシモーヌ・バトラーだ。最新作『Glasgow Eyes』からの最初のシングルとして先行リリースされた“Jamcod”から開演。倦怠感の漂うサウンドの上を気だるく歌うジム。フジロックだから、苗場の環境だからといって彼らの表現は何ひとつ変わらない。

「フジロック、良いヴァイブスだな」とジムが語りかけ“Happy When It Rains”と“Head On”を立て続けに披露。スモークがステージを覆い、霧の中にいる雰囲気の中でキャッチーなメロディが疾走感をもって駆け抜けていく。 バックの映像にメリチェンのアルバムやシングルなど過去カタログのジャケットが次々と映し出される中“All Things Pass”が披露された。40年間色んなところを通ってきて、今ここに立っている。淡々と演奏している中に、矜持が込められているように感じたのは私だけだろうか。

プリズムのような帯状の線が上から下へ流れていく映像が流れ、再び『Glasgow Eyes』からのシングル曲“Chemical Animal”へ。ギターの音が控えめなミニマルな音構成の本曲ではベースとドラムのビートが際立っている。ここホワイトステージならではの素晴らしい音響だ。続く“Some Candy Talking”のフック部で大歓声でに包まれ、疾走する佳曲“Far Gone and Out”の間奏部におけるベースとドラムが生み出すグルーヴの影響でオーディエンスも熱が入ってきたようだ。クラウドが波打っているのが見える。これに応えるかのように“Blues From a Gun”と名曲を連打してくるのだ。

ノイズまみれでひた走る初期のパンクチューン“In a Hole”。大ベテランにもかかわらず、いい意味でアマチュア感が抜けないメリチェンを体現するような曲だ。ウィリアムが十八番のフィードバックノイズを放出する怒涛のセッションで初期衝動感伴う締めくくりを披露。

続く2曲は女性ボーカルを迎えて歌う曲だ。まずはシモーヌが歌う“Something Always”。どこかアメリカ往年のルーツミュージックへの憧憬を感じるメロディと展開がとても心地よい。“Girl 71”ではゲストのレイチェル(Rachel Conti)が登場。終始ジムと手を握り恋人同士のような掛け合いをしたわけで、「誰!?」という感じだったと思うが、この記事によるとどうやらジムのパートナーのようだ。本曲の音源に吹き込まれているのも彼女の声とのこと。

続く“Darklands” から”Just Like Honey”の流れ。苗場の美しい木々に囲まれたこの環境で、誰もが親しめるメロディを堪能し歌う。極上の体験だ。

「立って観てくれてありがとう」とジムが感謝を伝える。淡々としていて愛想がないので、誤解されがちなリード兄弟だが、そんなことはない。真摯で真面目な人間性がジムの言葉や態度から伝わってくる。メリチェンのライヴでは定番の締め曲であり、理想の死に方願望ソング“Reverence”がはじまった。バックに過去作のジャケット、やメンバーの写真、スター、カセットテープにネオンサイン、ロバート・ジョンソンの写真やザ・クラッシュの『White Riot』のジャケットなどの画像が次々と差し込まれ、ギラギラと目を刺激する。何ともザ・メリチェンな世界観だ。冒頭の長いセッションでウィリアムがギターでノイズをまき散らし、フロアをガンガンに揺らせる。予定時刻を過ぎるまで音を出力し、ギターの残響を残してステージを後にした。ウィリアムが去り際、にこやかにフロアに向かってピースサインとそれを裏返したサイン(UK流のアレ)を繰り返し、投げキッスを飛ばした。

いつもと何も変わらぬあり方で、ただメリチェンでしかあり得ない世界観を苗場の地で描き切ってくれた。やっぱりメリチェンはめちゃめちゃかっこいいのである。

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THE ALLMAN BETTS BAND https://fujirockexpress.net/24/p_920.html Sun, 28 Jul 2024 13:53:05 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=920 今年のフジロックも終わりを告げようとしている。フィールド・オブ・ヘブンの最後を飾るのは、オールマン・ベッツ・バンド。ザザン・ロックの伝説としてロック史に燦然と輝くオールマン・ブラザーズ・バンド(以下オールマンズ)の子供たち、デヴォン・オールマン(父はグレッグ・オールマン)とデュアン・ベッツ(父はディッキー・ベッツ)が中心となり、その遺産と伝統を引き継ぐとともに、独自のアメリカンルーツミュージックを創り上げてきた。これからここヘブン、彼らが持ち込んだ米国南部産の温暖で土っぽい風に包まれることになる。

今年4月18日にオールマンズのオリジナルメンバーで偉大なギタリストのディッキー・ベッツが亡くなった。オールマン・ベッツ・ファミリー・リバイバルとしてデヴォンとデュアンがディッキー80歳の誕生日を祝うコンサートをフロリダ州サラソータで開いたことや、療養中であることを耳にしていたものの、オールマン・ベッツ・バンドのフジロック出演が決定した後の訃報ということもあって、多くのオールマンズファンが動揺し悲しみに暮れたことだろう。期せずして彼らにとって記念すべき初の来日公演となる本ステージは、日本のファンと一緒にディッキーを追悼するまたとない機会になったのだ。

開演時刻数分前、ほぼ同じ時間帯に演奏するノエル・ギャラガーを観に行っているからか、まだステージ前方もかなり空いている。MCのジョージ・ウィリアムズが再び登場し「行きますか!3日目の大トリ!」とバンドを呼び込んだ。デヴォンは、長髪で恰幅のいい体型にデニムシャツにハットといういかにもな出で立ち。そのたくわえた髭、醸し出す雰囲気が父ディッキーの生き写しのようなデュアン。バックに2人のドラムスに、パーカッション、ベース、スライドギター。そして、置かれたハモンドB3オルガンに見覚えがあるなと思っていたら、何とダンプスタファンクのアイヴァン・ネヴィルが登場。直前のミーターズ祭り(CELEBRATION OF THE METERS)から続けてあのグルーヴを堪能できるなんて何て贅沢なんだろう。

“Magnolia Road”から開演し、ジョニー・スタチェラが奏でるいなたいスライドギターが入ると一気に米国南部へと我々を誘う。デヴォンとデュアンが交互に歌い上げ、2ドラムとパーカッションによる厚みあるビートを伴いバンドのアンサンブルも熱を帯びて来た。お次はハートランドロックど真ん中を撃ち抜く“King Crowler”へ。この高鳴るサックスの鳴りはどうよ。たまらん!続くグッドオールドデイズなロックンロールナンバー“Airboats & Cocaine”ではアイヴァンのオルガンが跳ねまくり、ジョニーのスライドギターが唸りを上げまくる。完璧としか言いようがない出だしだ。

「皆さんと一緒にここにいられて光栄です。古い曲を!」とデヴォンが挨拶しお待ちかねのオールマンズタイムに突中。“Blue Sky”の米国南部産の暖かい音色が鳴り、この場、この時間を祝福するかのように心地よい風が吹く。デヴォンとデュアンが向かい合って微笑み合いながら楽しそうに演奏している。3人のギターの名手が次々と往年のオールマンズ顔負けの演奏を繰り出すのだ。デヴォンがアコギを手にフレーズを奏ではじまった“Midnight Rider”。出だしのデヴォンとデュアンの美しいハモリに感無量だ。単なるカバーと受け取ってはいけない。オールマンズのレガシーとルーツに敬意を払い、ブルーズ、アメリカーナ、サザンソウルなど米国の芳醇な音楽を彼ら自身の血肉を通して時代を超越したロックンロールを奏でているのだ。“Pale Horse Rider”ではデヴォンの息子が登場し、オルガンをアイヴァンとともに演奏。絆は先の未来にまで確かに引き継がれている。

最後は“Dreams”でジャムセッションタイムへ。各メンバーがアメリカンロックのいいとこどりのような極上の演奏を自由に繰り広げていく。音をあらん限りに出し尽くした後は、全員がステージ前に集結。みんな爽やかないい笑顔を浮かべている。「Peace & Love Fuji Rock!!」と感謝の叫びを届け、ステージを後にした。

過去の遺産を称えるとともに、今できる表現を懸命にする。そして、大切に未来へと繋いでいく。まさに人の個の人生そのものを感じさせてくれる想像を遥かに超えたライヴだった。

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CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN https://fujirockexpress.net/24/p_924.html Sun, 28 Jul 2024 08:24:36 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=924 多種多様な楽器や機材の並べられたステージに、サポートメンバーを含めた6人が登場すれば、1曲目は“秩父”。音源で聴くよりも、より民族音楽っぽさが露呈しているように思う。徐々に音数を増やしていきながらの、スティールパンの不思議と耳に残る音、乗らずにはいられないドラムンベースに。なんといってもパーカッションを担当するサポートメンバーのパッション溢れるリズムに釘付けにならずにはいられない。いや~いいですね。FIELD OF HEAVENのチョコパコ。絶対合うと思ってたんですけど、バッチリじゃないですか!

コーラスのMaoが登場し、2曲目の“ワタツミ”は、Daido(作曲/映像)の声も相まって昭和歌謡のような1曲。それからラテンの雰囲気の漂う“ガンダーラ”。音源は無機質な男性ボーカルであったが、今日このステージではMaoが美しい裏声でしっとり聴かせてくれる。時折、鳴らされる小さく甲高い鐘が、仏教寺院をイメージさせ、歌詞通りヒマラヤの麓やネパールに誘うようだった。
浮遊感漂うスティールパンのメロディにエコーのかかる2人の歌声、掛け合いのようなやりとりが楽しめた“声を聞かせて”が終わる頃には、徐々に雨が強くなってくる。そして、ここで美空ひばりの“りんご追分”。渋い選択だ!そしてフジロック用のチョイスだ!なんて思ってしまう。途中で「旅行をしている気分で聴いてください!」というMCやメンバー紹介を挟みながら、彼らなりに再構築された往年の名曲。思わず聴き入ってしまった方も多いのではないでしょうか。

“空飛ぶ東京”の演奏が始まれば、観客たちからも声が上がる!ライブ仕様だからなのか、BPMはずっと早い。原曲よりもずっとさまざまな楽器の音色が注ぎ込まれ、低音が重く響く。また違った印象を受けたりもするのだった。“アダンの海”では、どこか南の海の上にゆったりと浮かんでいるような1曲。2人の心地よい声に、揺られながら聴きたくなる。まあ、普通にめちゃくちゃ雨降ってるんですけど。
ねえ?この曲ってやっぱりウォンカー・アイの映画を意識しているのでしょうか?“花様年華”では都会的な2人の恋の様子を幻想的に映しながら、“アートマン”、そして更にテンポを上げ、誰よりも情熱的に踊り狂いたくなる“tradition”までの流れはこのとき一番の盛り上がりどころであった。繰り返される言葉、ラテンのようなリズム、現実から離れたこの場だからこそ、思いっきり飛んだり跳ねたりしたくなる!

名残惜しいと思いながら最後の曲“琉球 Boogie Woogie”の様子を眺めていると、パーカッションがドラムを叩いている……では、さっきまでドラムを叩いていた彼は?と思ったら、下手で三線を引いていてかなり驚いてしまった。この人たち、なんでもできるじゃん!(笑)「イヤサッサ!」の声かけに合わせて会場も一帯となって気持ちよく踊り切る。沖縄だけではなく世界の民謡を取り入れながら、名前のわからないような楽器まで登場させつつ、本当に旅をしているような1時間のステージとなった。

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ENG: THE JESUS AND MARY CHAIN https://fujirockexpress.net/24/p_872.html Sun, 28 Jul 2024 07:54:57 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=872 The Reid brothers, at the core of Jesus and Mary Chain, must have struggled with the bright daylight during their White Stage performance at Fuji Rock. The band trades in all forms of darkness, from wanting to destroy rock and roll when they came on the scene 40 years ago with their signature move putting their backs to the audience and shrouding the whole stage in smoke.

But its a much different band now. Do they have something to prove touring with a new album, “Glasgow Eyes,” which is more uptempo, colorful, and, how do we say it, more accessible to mainstream audiences? The band played from this album, which drew a good response from the audience.

Then the band veered to the old classics, the ones that seesaw between loudness and quiet, seminal records in the early 80’s pantheon such as “Psychocandy” and “Darklands.” Classic cuts from these LPs really got the crowd swaying, such as “Some Candy” and “Head On.”

And then there was “Just Like Honey,” a beautiful crooning number almost devoid of feedback and buzz, just plain simple melody and harmonizing.

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EYRIE https://fujirockexpress.net/24/p_5301.html Sun, 28 Jul 2024 06:14:21 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=5301 THEATRE BROOK https://fujirockexpress.net/24/p_918.html Sat, 27 Jul 2024 22:28:30 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=918 フジロックに何年か通っていると必ず目にする佐藤タイジという名前。ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAやアトミック・カフェトークなど、数々のステージに名前を重ねる彼のバンドこそ、THEATRE BROOKだ。フジロックは2000年から出演していて、来年デビュー30周年を迎える大御所バンド。初めて見るならば、やはりフジロックで見なければ。そう思い、13時すぎのフィールドオブヘブンにやってきた。中條卓(Bs)、沼澤尚(Dr)、2人のDJ(DJ 吉沢dynamite.jp、与西泰博)と、錚々たるメンバーとともに入場した佐藤タイジ(Vo,Gt)は、透明感のある白い羽織とパンツ、黒いTシャツで登場した。 ボリュームのあるグレーヘアがかっこいい。

DJがレッド・ツェッペリン“Immigrant Song”を流すと、そのまま“俺の手にはギター”。中條のベースが響き、佐藤のワウのきいたギターが軽やかに乗り合わせる。クリアかつ信念のある佐藤の歌声が、フィールド・オブ・ヘブンにまっすぐ広がっていく。そのまま佐藤はアコースティック・ギターに持ち替えて“ドレッドライダー”へ。晴れながらも雨がぱらつく会場に、さらに気持ちいい風を通すようなナンバー。右に左にステップを踏まずにはいられない。いえあ、と笑って“悲しみは河の中に”。DJのスクラッチと、力強いドラミング、知的なベースが絡み合う。佐藤はメンバーと目線をあわせ、力いっぱいにギターをかき鳴らす。

佐藤は「OUR GENERATION MUST END WAR」と書かれた緑色のプラカードを掲げ、「(ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAに出た)後藤くんにもらってきた」という。フジロックはこういうことやってもみんな理解してくれると思う、我々が生きている間に戦争を終わらせることができると思う、とまっすぐに語り、そのまま“無実の子”を力強く歌い上げる。するとヘブンの空はカッと晴れて、そこにお天気雨が降り注いだ。まるで天が味方しているようなこの瞬間は、とてもドラマチックだった。

続いて、新曲が続く。“わたしをアムスに連れてって”は、佐藤の妻がアムステルダムのホテル一覧を見ていたこと、「パパ、私をアムスに連れて行って」という娘のひと言から生まれた異国的なナンバー。会場はざっと雨が降ってきて、レインウェアの人々が踊り出すカラフルな光景になっていった。“白クマとボノボ”では、同じ遺伝子を持つチンパンジーとボノボそれぞれの習性を例に出し、「大事なのはprogress、no evolution。進化ではなくボノボです」と訴えかける。ボノボはメスがリーダーで、集団間で助け合うことができるそうだ。人間も大切なのは進化ではなく進歩だということを強く訴えかけた。

ラストは、いつでも音楽だけは最高や、と“ありったけの愛”。ありったけの力で歌う佐藤のなんとまっすぐなことか。会場はハンズクラップでひとつになり、それぞれが踊りながら、歌いながら、音楽へのありったけの愛を噛みしめる素敵なラストとなった。佐藤はふたたび、戦争は我々の世代で終わらせること、実現は可能だということを説いて幕は閉じた。

スケールの大きい話だけれど、佐藤の言葉にも行動にも説得力があった。私達はちっぽけで、ひとりが行動してもどうも無力に感じてしまうけれど、まずはTHEATRE BROOKを信じることからでいい。平和を信じる力こそが、これからの未来を作っていくんだと、彼らのライブを観てそう思った。

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GIRL IN RED https://fujirockexpress.net/24/p_863.html Sat, 27 Jul 2024 13:59:09 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=863 ノルウェー出身のシンガーソングライター、ガール・イン・レッドことマリー・ウルヴェン。彼女の初フジロックはホワイト・ステージのトリという重要なポジションだ。デビューしてまだ数年の新人がステージ・ヘッドラインを務めることは極めて稀だが、結論から先に言うと、彼女はオーディエンスのハートをガッツリ鷲掴みにして帰っていった。ラフでカジュアルな服装で登場したマリーと、黒子的な存在のバックバンドメンバー5人を従えて繰り広げられたライブは、カラフルでありながらもモノクロな部分もある「人間らしさ」を表現するようなステージだった。

アグレッシヴにハードロックやカントリーポップを行き来する“DOING IT AGAIN BABY”から始まったライブは、ノイジーなアレンジが効いたインディーロックな“bad idea!”と続き、初っ端からオーディエンスを上げまくる。ドリーミーなポップソング“Girls”ではシンガロングも湧き上がり、早々にホワイト・ステージの雰囲気は出来上がっていた。

そこまでライブのテンションを引き上げていたのは、もちろん楽曲やパフォーマンスの素晴らしさもあるが、一番はマリーの人柄の良さによるところが大きかったような気がする。彼女が持つユーモアやおちゃらけ、ほんの少しおバカな一面。それら彼女のあらゆる顔は「ええい、楽しんでやれ!」と言う圧倒的なポジティブと繋がっている。例えば、MCタイムにファンと取り留めのない雑談を交わしてみたり、曲の前にキーボードの準備を始めるが操作法を忘れておどけてみたりと、見ていてほっこりするような空気感があるのだ。一方で、ライブになると彼女の明るさにアグレッシヴさが加わり、凄まじくエネルギッシュなステージングとして魅せていく。ステージ上を縦横無尽に動き回ったり、その場所に止まっていたとて飛んだり跳ねたり踊ったりと、とにかく見ていて楽しい。

そんな彼女だが、最初からポジティブだったわけではない。マリーはレズビアンで精神疾患を患っていることであることを公表している。彼女の中にあり続けた複雑な思いが、どんどん昇華されていくプロセスを表現しているのがこの2枚のアルバムなのだが、そのことをライトに曲で伝えていくこのプロセスが今日のライブには詰まっていた。「誰かと愛し愛されるために、信頼して、心を開き、お互いの壁を壊そう」と明るく歌う“Girls”にはじまり、彼女の中にあるキュートさや愛らしさ、その裏腹に存在している負の感情、それらが心の中でせめぎ合っていることを、不穏な風合いのエコーが鳴り響くビターな曲調で表現した“Ugly Side”。そして混乱状態の自身をコントロールしたいともがく姿を赤裸々に語る歌詞を中毒性のあるビートに乗せてラップした“Serotonin”と、作る楽曲を通してとことん自分と向き合っていく過程を経て、彼女の心のうちは変わっていったのだ。

そのプロセスをひたすらに明るくポップにパフォーマンスしていくマリーは、オーディエンスにハッピーを振りまいていった。そう、セカンドアルバムのタイトル『I’m DOING IT AGAIN BABY! (もう一回やるよ、ベイビー!)』のマインドのように。そしてそんなポジティブなマインドは、80s風のダンサブルなロック・チューン“You Need Me Now?”で大解放される。極め付けは、ラストのマリー’s 片思いソング “i wanna be your girlfriend”だ。マリーの指示で『モーゼの十戒』のようにホワイトのオーディエンスを左右に分け、その中に突入したマリーの号令と共にコーラスパートでマリーも巻き込み大モッシュが発生。これ以上ないであろう、マリーとファンとのコミュニケーションからは、確かな絆や愛を感じたし、かつてSad Girlだったマリー・ウルヴェンと言う名のひとりの女の子が、自らを変えHappy Girlとして、皆にハッピーを届けていた瞬間だった。

<セットリスト>
01. DOING IT AGAIN BABY
02. Bad Idea!
03. Girls
04. I’ll Call You Mine
05. Body And Mind
06. I’m Back
07. Pick Me
08. Ugly Side
09. October Passed Me By
10. We Fell in Love In October
11. Phantom Pain
12. You Stupid Bitch
13. Serotonin
14. Too Much
15. A Night To Remember
16. midnight love
17. Rue
18. dead girl in the pool.
19. You Need Me Now?
20. i wanna be your girlfriend

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