LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/27 SUN
Creepy Nuts
これから世に羽ばたこうとする若きアーティスト達へ
「試してみてもいいすか?」そう言いながら、いつもの調子でターンテーブルを回し、笑わせにくるDJ松永。ところが早速、リハーサルでハプニングが発生。「本番じゃなくてよかった~」ピリついたステージの緊張感を咄嗟にほぐしながら、再度試しにスクラッチを炸裂させる松永のプレイから、開演開始前だというのに大歓声が上がった。
「フジロック、どうせ騒ぐんやろ!準備運動だ!」始まりの合図は“よふかしのうた”。HIP-HOPは後半に進むにつれて徐々にボルテージが高まっていく(フロアがあたたまっていく)とのイメージを筆者は持っていたので、一曲目から、これほどまでにオーディエンスがアッパーな様子には驚いた。そりゃあそうか。R-指定がマイクを向けて歌わせてくるもんだから、丁寧にノリ方を教えてくれるもんだから、誰もが騒ぎたくて仕方がないのだ。“堕天”ではGREEN STAGE中に「Yeah! Yeah! Yeah!」レスポンスが響き渡り、次いで披露された“ビリケン”ではファンが飛び跳ね、一つの作品を完成させた。ところで、何故あえて「完成」という言葉を使うのか?それは、R-指定の韻の踏み方、DJ松永の高度なDJプレイ・間の取り方に客の熱気が隠し味として加わることで、はじめて生み出されるからだ。
クリーピーは、11年前に『ROOKIE A GO-GO』に初登場。そこから長い年月が経ち、11年ぶりにグリーンに凱旋したことは当時からのファンの誇りでもあって、「おかえりー!!!」と叫ぶ声があちらこちらから聞こえていた。映画『アンダーザニンジャ』主題歌“doppelgänger”を披露した後は、松永のオンリーステージタイム。世界一にもなった変幻自在のテクニックをオーディエンスに見せつける。重低音が響き渡ると、ビートにあわせて心臓からドコドコと音が聴こえる。TVアニメ『マッシュル-MASHLE-』OPテーマ“Bling-Bang-Bang-Born”、auオンライン専用ブランド「povo2.0」CMソング“のびしろ”、2024年度新語・流行語大賞も受賞したドラマ『不適切にもほどがある!』主題歌“二度寝”は一般的知名度も高いため、クリーピーを詳しく知らないオーディエンスも全力シンガロング。小さい子供から大人まで体を揺らしまくった。
ラストナンバーは11年前、ルーキーで唯一披露したという“合法的トビ方ノススメ”。R-指定曰く、まだ知名度が高くなかった彼らのステージでは情熱的なMCとビートで無理やり足を止めさせていたという。それが今はどうだ、自然と客が引き寄せられてくるではないか。目を細めながら「ありがとう。」とファンにお礼を送るR-指定。1番大きいステージに帰還し、世に羽ばたく前の楽曲をラストに置いていく。なんてエモーショナルなんだ。
[写真:全10枚]