FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/27 SUN

MONO NO AWARE

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PHOTO BYsuguta Instagram
TEXT BY石角友香

Posted on 2025.7.27 13:56

島太鼓も登場。彼らなりの祭り

玉置周啓(Vo/Gt)はただフジロックに出演できることを手放しで喜んでいるわけじゃなく、この場でいまのMONO NO AWAREがどんなバンドなのか?セットリスト+αで意思表明してきた。おそらく玉置だけの意見じゃないだろうが、最近のアルバムやシングルリリースの都度、明確なテーマがあるだけに、ファン以外のオーディエンスも多いフジロックではっきりさせたい何かがあったんだろう。

というのもオープニングは玉置と加藤成順(Gt)の故郷、八丈島の太鼓の演奏が2人の演者によって披露されたのだ。その強靭なビートに身体をくねらせる玉置をはじめメンバーがステージに現れる。彼らの演奏は山に響き渡るように「ヤーヤーヤーヤーヤー」と詠唱する“明日晴れたら”から。民謡的な側面とXTCにも通じるユニークなアレンジに耳が行く。続いては“井戸育ち”。世間や都会を知らないことを意味する初期のナンバーだが、玉置のストラトはコリー・ウォンばりのナイスカッティング、加藤も山が見えるこの空間に身を任せてリラックスした表情でアレンジは大幅に更新されている。

「外気持ちいーーーーー!」と大声で心情を伝える玉置に100%賛同のリアクション。まだライブは序盤なので、立て続けに初期曲を演奏したのはたまたまかもしれない。ライブの行方を見守っていると、次は玉置ならではの早口言葉がスリリングな“かむかもしかもにどもかも!”が大きな歓声とともに進んでいく。こうしたループナンバーでの竹田綾子(Ba)のプレイはティナ・ウェイマウスを思い出させるし、曲そのものもトーキング・ヘッズのある時期に近いミニマムなファンクだ。そして派手さはないがバンドを支える柳澤豊(Dr)の確かさは観ていて安心を与えてくれる。

さて個人的にポイントに思えたのは続く“me to me”と“同釜”だった。言葉の実験場の側面も捨てずに音楽的な快楽を拡張していくアレンジ。フロント3人によるコーラスも声だからできる有機的なものでありつつ、意味より体感重視。長尺のナンバーをフェスの場でもじっくり聴かせる胆力が頼もしい。食を切り口にした近作『ザ・ビュッフェ』のなかでもタイトル通り同じ釜の飯を食うことを軸にしたにした“同釜”は言葉の積み重ねや加藤のトリッキーなギターがカタルシスを生む。後半、ジャムバンドのごときグルーヴを生み出し、大きく開脚してギターから何かを出すような仕草で弾く玉置はこれまでのキャラクターを少し逸脱したんじゃないだろうか。

2016年、OASISの裏で出演したROOKIE A GO-GO。そこからここまでやってきたと感慨を語る玉置。そこから代表曲“風の向きが変わって”をメンバー全員心地よさそうに演奏した。そして海を感じる加藤のギターが八丈島を想起させる“東京”。バンドというかアーティストの数だけ東京をテーマにした曲があると言っても過言じゃなく、この曲で玉置は今自分がいる街は東京であり、故郷は帰る場所じゃないと歌う。それは若い時期のプライドでもあるだろう。それがMONO NO AWAREの“東京”の軸だ。だが玉置は前言を撤回する。というか、曲は曲なのだが、「(“東京”で)故郷は帰る場所じゃないと歌いましたが、帰るのもいいんじゃないかといとも簡単についえてしまいました。八丈太鼓が曲の後半で入って大団円を迎えるというのを皆さんも楽しんでいただけたらなって」と、“水が湧いた”をファンク×島太鼓バージョンで展開。しかも曲は“マイムマイム”に変化して行き、民謡と誰もが子どもの頃から馴染みのフォークダンス、つまり異国のフォークソングがつながる仕組みが面白かった。玉置は島太鼓を聴いて育ったから今回共演したという意味合いのことを言っていたが、果たして本当にそういう意図だったのか。いや、深読みしすぎずに先人の魂を太鼓で癒やしたんだと思えば納得である。

[写真:全10枚]

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7/27 SUNWHITE STAGEXSUMI