LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/24 THU (EVE)
THE PANTURAS
Posted on 2025.7.24 21:54
強靭な胃袋を持つインドネシアのニューウェーヴ
前夜祭ってこんなに人多かったっけ?と驚くほどRED MARQUEEの中も周辺も異様な盛り上がりを見せる中、今年のフジロック最初のバンドアクトが登場だ。金曜夜のCRYSTAL PALACE TENTと土曜昼のFIELD OF HEAVENへの出演がアナウンスされているインドネシアのサーフロックバンド、THE PANTURASが前夜祭にもサプライズ登場してくれた。
率直に言う。サーフロックバンド?うそぉ。率直に言う。その印象はアークティック・モンキーズなどR&Rリバイバルやポストパンク、サイケデリックな要素はキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード。でも日本の演歌とも親密な関係にあるグループサウンズ的なギターリフや“チャンチャン!”みたいなエンディングがたまに顔を出す。そこはレジェンド、ザ・ヴェンチャーズの血脈にあるセンスだ。アジアのバンド、インドネシアのバンドの中でもかなり独特なミクスチャー・ロックを生み出している。
ジャワ島西部の都市バンドン出身の4人組で、メンバーはアビヤン・ザキ(Vo/Gt)、リザル・タウフィック(Gt)、バグス “ゴゴン”(Ba)、スルヤ・フィクリ(Dr)だが、ライブにはパーカッションとキーボードも加わっている。1曲目のイントロのベースがドローンぽいというか、タイトとは対照的なサウンドで意表を突かれたのだが、“Khondam Buntut Lutung”と題されたその曲はオープナーにふさわしいアッパーさで、ボーカルのアビヤン・ザキは猿のような奇声を発している。オーディエンスの歓待ぶりにめちゃくちゃ笑顔になるメンバー。テクニカルなわけでも隙のないアンサンブルでもないけれど、このメンバーだから成り立つグルーヴがきっとあるんだろう。
何曲か進んできた中に、まるでフランキー・バリーの“君の瞳に恋してる”かと耳を疑うようなスムーズかつディスコっぽい曲が披露され、一瞬リゾート地のホテルのハコバンみたいになるのも面白い。かと思えば一瞬バロック調、実はマリアッチ風なオルガンのフレーズがエキゾチックな“Tafsir Mistik”なるナンバーも。でも上モノが世界を旅してもビートのタイトさはしっかりキープされていて、RED MARQUEEに集まった人たちのダンスはどこかロックのそれだ。最後は世界各地の「ありがとう」を金色のグリッター文字でスクリーンに映し出すピースフルな演出が再度集まった人たちの心を繋いだ印象。それにしてもメンバーはどんな音楽を聴いてきて、どんな曲作りの手法をとっているのか。そしてインドネシアの神話なのか民話なのか、スクリーンに流れたユニークなアニメーションのストーリーの謎も突き止めてみたい。フジロック期間中、「え?何?これ何?」気分になりたい人は彼らのマジカルなロックに遭遇してみてほしい。
7/25(金) 23:45-24:30 CRYSTAL PALACE TENT
7/26 (土) 13:20-14:20 FIELD OF HEAVEN
[写真:全10枚]