FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/26 SAT

山下達郎

  • 山下達郎
PHOTO BYfujirockers.org

Posted on 2025.7.26 21:06

雨に濡れた後、僕らは大人になれただろうか

こんなにたくさんの人がグリーンステージを埋めたのはいつ以来だろう? レッド・ホット・チリペッパーズ以来だろうか。すでにいっぱいなのに、さらに人たちが入ってくる。振り返ると山の端まで人人人だった。ドーム公演なら2階席や3階席の一番端くらいのイメージだろうか。

先ほどの雨も上がり、ステージの向こうには夕焼けがみえるという絶好のシチュエーションで山下達郎の登場の時間となった。アカペラのコーラスの声が聴こえてきてバンドがでてきて、そして山下達郎本人がステージ中央に歩いてきた。3万人くらいの歓声ってこういうものなのかと改めて思う。

「こんばんは!」という挨拶から新曲“MOVE ON”から始まる。そして印象的なギターのカッティングが鳴り響いて“SPARKLE”。このときの歓声もすごかった。80年代のドラマの主題歌だった“あまく危険な香り”を経て、「フジロックこんばんわ。力いっぱいやらせていただきます」と“ドーナツ・ソング”へ。「拍手・手拍子」を客席の左右や前後などで促してリズムに乗らせたところでニューオリンズ発祥の「Iko Iko」を引用して歌う。「雨は僕のせいじゃないですよ」と笑いを取りながら夏の歌として“僕らの夏の夢”。

「50年もやると何をやるか迷うけど、オールドなファンクをやります」と“Silent Screamer”から“Bomber”から“Silent Screamer”へとメドレーぽく演奏する。この後、グリーンステージに登場するVULFPECKに刺激されたのかゴリゴリのファンクナンバーをぶちかましてきた。ベース伊藤広規のソロやギターの鳥山雄司による粘り気のあるソロも披露された後に山下達郎もカッティングによるギターソロを弾く。コリー・ウォンを意識したのだろうか。日本のファンクも頑張っているところをみせる。

そして“プラスティック・ラブ”が始まったときのどよめきの質が今まで違っていた。やっぱり外国人にも知られた曲だからか反応が違っていた。前半を山下達郎が歌って、もしかしたら……と思ったときに竹内まりやが現れる。そのときの歓声はグリーンステージで今まで聞いた歓声の中で一番すごかったのではないだろうか。後半は竹内まりやが歌い、終わるとコーラスに回る。それからは“Ride On Time”、“アトムの子”と名曲の連打。“アトムの子”は途中で本家の“鉄腕アトム”を引用して歌った。一旦、ステージ前方に集まってメンバー全員で挨拶して終わるかなと思わせたところで、再び持ち場に戻って“恋のブキ・ウギ・トレイン”。これもまたファンク。最後は「まだ早いですが」と“さよなら夏の日”。「雨に濡れながら/僕らは大人になっていくよ」と、数時間前に雨を浴びていた大人たちには染みる歌詞だったのではないだろうか。すっかり暗くなり、山下達郎とフジロックとの初めての出会いは「またやってもいいですか?」といわせるくらいかけがえのないものとなったのである。

Set List

01.MOVE ON
02.SPARKLE
03.あまく危険な香り
04.ドーナツ・ソング
05.僕らの夏の夢
06.Silent Screamer~Bomber~Silent Screamer
07.プラスティック・ラブ
08.Ride On Time
09.アトムの子
10.恋のブキ・ウギ・トレイン
11.さよなら夏の日

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7/26 SATGREEN STAGE