LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/25 FRI
Suchmos
おかえりなさい。木々たちも待っていました!
Suchmosが7年ぶりに苗場に帰って来る。今年6月に行われた活動再開ワンマンライブには多くの応募が殺到してプラチナチケットになったこと、HSUについて言及されたMCなど、話題を呼んだばかりだ。
しんと静かな22時のホワイトステージにたっぷり炊かれたスモーク。じっくり長い入場SEを経てYONCE(Vo)、TAIKING(Gt)、TAIHEI(Key)、山本連、(Bs)、Kaiki Ohara(Dj)、OK(Dr)がそれぞれ位置につく。一部のメンバー達は手を上げ、こちらの歓声を受け止めていた。
寄せては返すパーカッションの流れを感じると、“pacific”へ。煙の中に立つYONCEのシルエットは、すっとまっすぐで、どこか遠くを見つめている。“Eye to Eye”では、TAIHEIのセンチメンタルな調べが響き、OKのジャジーなドラミングに揺らされる。YONCEの歌声を追うTAIKINGのカッティングが鮮やかだ。
驚いたのは、「7年前にやり忘れた曲をやります」と“STAY TUNE”が披露されたこと。アレンジも軽めに、本当にあっさりとした歌いこなしで披露するYONCEから、不器用な照れくささが伝わってくる。ヒット曲との向き合い方が難しいことはロックバンドあるあるだと思うけれど、これが彼らの素直な今の選択なのだなと感じた。
背景の液晶は「808」を表示し、宣言どおり“808”へ。Kaikiのスクラッチは心地よく、山本のブリブリのベースラインに、「show me a dance!」を連呼するYONCE、これはがっつり踊らせてくる。中盤からは1音1音ずつ皮が剥けていくような、先へ先へとつながる展開に耳が離せなかった。
「2018年ぶりなんで…」とYONCE言うと、バンドが紀元前2年前くらいから活動している(※YONCE調べ)ことになってしまって、会場は笑いが起きる。7年ぶりのフジロック出演、待っていたという人も初めての人も、ありがとな!と感謝を述べ、がっぽり稼ぎに来たと活動の積極ぶりをアピールした。
ジャジーなキーボードとAORがたまらない“BODY”、YONCEの自在なスキャットを味わえる“PINKVIBES”、ソウルフルな空間に圧倒される“Alright”などが立て続けに披露される。“Marry”ではタバコを吸いだしたり、“VOLT-AGE“では手を出しピースサインから「これはフォーク」とフォークボールの握りを突如披露。とどめに“YMM”は、2本の指で両目まぶたを引き上げて白目の変顔!音楽性も佇まいもすでにかっこいいのに、さらに自由でやんちゃなものだから、最高にしびれる。
告知は「EPツアー、EPツアー、EPツアー…」と、お察しくださいくらいのスピードで済ませて、ここまでを語るYONCE。2014年のルーキーは11年前。あの頃ピチピチだったお肌は……と時の流れを振り返ったりもした。フジロックは特別な場所だという気持ちは、MCで発する言葉以外からも存分に伝わってきた中で印象的だったのは、自分のために生きようということ。また会いましょう、それまでは生きていてほしい。前方で倒れたファンを気遣いながら、(ライヴを見ることは)命をかけることじゃないよ、とも語った。
アンコール“GAGA”を満員のオーディエンスと迎えると、「木々への感謝は忘れてはいませんが……ゆくゆくは木々から感謝される人を目指したいと思います」と、かつてのMCを更新。音楽への愛、フジロックへの愛と、生命力にあふれるステージだった。喜びも悲しみも背負ってきた彼ら。その溜まっていたものをふっと開放するような場所が、ここ苗場であってほしいと思った。
[写真:全10枚]