FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/26 SAT

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PHOTO BYsuguta Instagram
TEXT BYあたそ

Posted on 2025.7.26 23:20

さよなら、って、いつ言えばいいんだっけ?

約10分押しでのスタート。まずは大音量で“Synthese Freestyle”のイントロ、そして雨でぬれた身体に突き刺す重低音が鳴る。ステージ背後には、Aru-2(DJ)と岩見継吾(Contrabass)やストリングスのメンバーがいるし、JJJの声だって聞こえる。「今は溢れて止まらない」のシンガロングも起こった。それなのにステージには誰も立っていなくて、いつもよりWHITE STAGEががらんとした空間であるように感じられた。
水中にいるみたいなミックスにストリングスのラグジュアリーな生の演奏が7月の今にグッとハマった“Mihara”のあとは、先ほどまで豪雨のなかで暴れ回ったBaliming TigerからSogummが、ブルーのリュックサックを背負って穏やかに登場する。背後のスクリーンにはMVが流されていて、そこにはJの姿があったし、Sogummの冷涼感を覚える切ない歌声が響く。時折、天に向かって祈るように歌うようにも見えた。「My Friend」というフレーズをその美しい声で語りかけるように歌う姿、わざわざ手紙を用意して「JJJさんのステージでご一緒できてうれしかったです。また会いましょう。I Love You!」と読みあげる姿を見ていると、国や言語を超えて2人はよい関係だったのだろうということが感じ取れて少し泣きそうにもなる。

重いギターにストリングスが加わることで新たな表情を見せる“DJANGO!”のあとは“Eye Splice”。思い切りのいいくらいに大音量で流れるビビットなビートにJの声。「訳わからないほどに 落ちる日にもちゃんと意味がある 知ってる 立てば転ぶようにできて繰り返す」という苦悩と葛藤を繰り返し、それでも優しさや希望を手放さなかった人にしか生み出せないリリックにどれくらい救われてきたんだろう。周りを見渡せば、ひとつずつの音を噛み締めるように観客たちの様子がうかがえる。
盟友STUTSとOMSBがゲストに登場し、2人が関わった“心”のイントロが鳴る。そのあとの“Bro”でも、OMSBのざらついた厚みのある歌声と、スピーカーから聴こえるJJJの声が重なり合うと、まるで2人がそこにいるような感覚にもなってくる。
2人と入れ替えになる形でストリングスの5名がステージに戻ってき、5月にリリースされた“dali”。サイケデリックな映像と重厚感のあるコントラバスに「俺は歌の中で生きると朝は死んだようなサナギ」というリリックに胸がぎゅっとなる。

ほっかむりみたいにタオルを被ったCampanellaが登場し、水を注ぎこむようにライムをかましまくった“Friendskill”のあとは、Daichi Yamamotoが現れ、軽快なビートに乗るDaichiの切ない声を聴く観客たちの手も次々と上がった“Taxi”、そして“Find A Way”では、ループするピアノとコントラバスがフックとなって重くしっかり聞かせてくれる。
スクリーンのノスタルジックな写真が次々と映し出された“PLACE TO GO”、そしてCampanellaが再登場して耳障りのいいピアノのイントロが流れたと思えば、“Something”。「今現在リリックに込める 自分と自分のその後 2022.9.15」をJの命日である「2025.4.13」と力強く歌い、スクリーンに映し出されたCampanelllaの首筋には、「Maktub」の新しいタトゥーが見える。最後には「最高の友達でした!」と過去形で話す姿に、理解をしているつもりだったJの不在、そしてもう2度とステージで姿を見ることも、新曲を聴くこともできないのだと実感してしまう。

MVとともに流れた“Beaurtiful Mind”のあとは、STUTSが再登場し、“Three Stars Willl Shine Tinight”のメロディが流れる。“DANCE SHOES”だ。STUTSのフィンガードラムの音も心地よく響き、最後は“Changes”。ストリングスの加わり、先ほどのSTUTSのステージの同曲とは異なった表現、そして「過去、今、あの日が重なる」にはグッと来ながらも、Jの残した作品とその意味について考えてしまう。さよならって、いつ言えばいいんだろう。まだわからないでいる。突然の訃報に、すでに発表されたステージを「JJJ」の名前をそのままにしてやり抜いた出演者の皆さんには謝意を表したい。

[写真:全10枚]

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7/26 SATWHITE STAGE