LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/27 SUN
ROYEL OTIS
甘酸っぱい夏のすべてがここにある
18時すぎのホワイトに、ロイエル・マデル(Gt)と、オーティス・パヴロヴィッチ(Vo)からなるオーストラリア出身のデュオ、ロイエル・オーティスが登場した。ドラムとキーボードを従えた4人編成。メンバーが揃うと、蛍光ピンク色のバックスクリーンに「(this show has now Started)」という文字が現れ、なんだかおしゃれだ。カップルがイチャつく甘酸っぱいVJを背景に“Going Kokomo”が始まる。
その流れのまま“Adored”、VJに曲名が表示されて“Heading For The Door”。たっぷり響くロイエルのギターは、青春のきらめきそのもので、オーティスのクールな歌い口は、低体温でも情熱がある。2010年代のローファイなインディ・ロックを再び持ち込んで現代に落とし込んだようなサウンドに、心をぐっと掴まれてしまった。
スクリーンの文字は「(Welcome to the show)」に変わり、オーティスは「ありがとうございます!」と挨拶。レモンサワー缶を持って、日本語で乾杯した。80’Sシンセ・ポップな“Kool Aid”は、メロの強さにくらくらくる。“moody”は、グランジっぽいギターサウンドの中で浮遊しているような、不思議な心地よさがあった。
新曲“car”で歓声が上がる。こりゃまたイチャつく男女のVJが流れるが、ROYEL OTISをバックに恋愛映画のワンシーンを見せられているようで、ちょっぴり恥ずかしく切ない。音源よりもローがぱきっと効いたバンドサウンドはライヴならでは。VHSの質感みたいにざらつくギターに包まれて、この苗場のホワイトステージの景色もどこか現実感がなく、思い出の1ページを傍観しているような気持ちになった。
スクリーンの文字は「(Dance with the person next you)」に変わり、“I Wanna Dance With You”に。パンク&カントリー感のあるダンス・ソングに会場は酔いしれる。オーティスのクラップから“Bull Breed”へ、そしてそのまま”Fried Rice”までつながる展開には心躍った。
終盤はThe Cranberriesのカバー曲“Linger“、クラップに包まれながらの“Oysters In My Pocket”で幕を閉じる。シンセのピースフルな調べと、陽気なリズム隊に包まれながら、この夏のピークがここROYEL OTISのステージに詰まっていたことを実感した。この懐かしくも新しい手応えに、またくすぐられたいと願っている。
[写真:全10枚]