LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/25 FRI
TYCHO
踊れ、自由に。容赦ない音と光を全身に浴びながら
あっという間に過ぎていく、1日目のRED MAQUEE。耳に残るシンセの音に、重すぎるくらいのキックとベースの音が鳴り、本日のトリ・TYCHOは“Phantom”から始まる。繰り返されるリズムにギターのリフが彩りを添え、空気の振動がダイレクトに感じられるサウンドは、そのまま超満員のRED MAQUEEに集まった観客たちの身体を揺らし、会場を温めていく。
サーモグラフィーを用いて撮影したようなサイケデリックな映像も拍車をかけていくようで、“SPECTRE”のイントロで耳に飛び込んできた猛烈な歓声にはこの日の興奮がうかがえる瞬間でもあった。ダンサンブルな四つ打ちが駆け抜け、スポットライトも残った体力をすべて奪っていくかの如く出し惜しむことなく輝く。
宇宙からの信号のようなサウンドが印象的な“Weather”や“A Walk”でも、複数の音を重ね合わせていき、ひとつの音楽が生み出されていく。時にドラムも手数を増やしながら、場を盛り上げていく。聴いているこちら側がダイレクトに突き刺さる音圧にやられそうになりながらも、やっぱり居心地がよく、皆それぞれで身体を揺らしながら楽しんでいるのがわかる。“L”でもクラップ&ハンズは起きたし、曲の間には大きな歓声があがるけれど、演奏中はそれぞれで適切な距離を保ちながら自分だけの世界に入り込み、控えめに身体を揺らしながら踊る姿は、「日本っぽいなあ」なんて思ってしまう。
“HORIZON”で更に踊らされたあとは、架空の精神科での問いかけのような内容がスクリーンに映し出された“DEVICES”。どこか懐かしい日本の様子をバックに映し出しながらの浮遊感を覚える音は、まるで走馬灯や悪夢の一部かのようでもあり、日本という国を好きでいてくれるということが垣間見える瞬間でもあり、うれしさを感じた。
爽快感を覚える四つ打ちドラムに身体に刺さるベースが響く“Totem”、そして表題曲の“Awake”では、淡々としたリズムでありながらもやはりバンド形態で見るTYCHOは型は決めずに自由に踊るための音楽であることがよくわかる。
揺蕩うギターのリフに、マシンのようなドラミングが印象に残る“Division”。最後の1曲を惜しむようにゆったりとしたサウンドが会場を包んだかと思えば、空間すべてを破壊していくような轟音で高揚させていく。しばらくの間、気持ちのいい爆音を存分に浴びまくった耳には薄い膜が張っている感覚があって、まるで1日目の余韻のようでもあった。
[写真:全10枚]