FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/25 FRI

TOMOO

  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
  • TOMOO
PHOTO BY古川喜隆
TEXT BY梶原綾乃

Posted on 2025.7.25 19:18

その小さな姿よりも大きい、圧倒的な歌声にときめく

朝は暑かったけれど、次第に落ち着いてきた12時すぎ。まだまだ始まったばかりのフジロック2025、レッドマーキーに登場したのはシンガー・ソング・ライターのTOMOOだ。2023年にファーストアルバムをリリースし、今年の5月には武道館にも立ったという。すさまじいスピードで進んでいく彼女の今を逃しまいと、会場には多くの人が集まっていた。

彼女はグレーの7部丈シャツに、緑と赤茶色が混じったボトムスで登場する。胸元はスパンコールかなにかの装飾だろうか、赤色と緑色の光が輝いている。フジロックを衣装で表現したような服装はとても素敵だ。1曲目”Super Ball”が始まると、その歌声に驚く。髪はシンプルなボブ、小柄で可憐な姿のTOMOOから発せられた歌声は、ややハスキーで大人っぽくあり、姿以上の大きさとパワーに満ちている。そのギャップにときめいてしまった。

さっそく観客の心を掴むと、そのままピアノの前に立ち、“オセロ”へ。バンドメンバーに誘われ会場には温かなクラップで包まれる。気持ちを前へ押し上げるビートに、どっしりとしたドラム。彼女のライヴへの胸の高鳴りがそのまま表現されているようだった。続いて背景の液晶が、丸くオレンジ色に光り出して”Grapefruit Moon”が始まる。重厚感とツヤのある演奏に、しなやかな歌声がすっと入ってくる。音源で聴く限りではもっとさっぱりしていた印象の曲だと思っていたが、熱を帯びた、どっしりとしたボリューム感を覚えた。

フジロックに来ることも演奏することも初めてだというTOMOO。フジロックは曇りのイメージで、ステージの様子は思い浮かべていた光景とまったく同じだと語っていた。かつて一人で弾き語っていたときの思いを引きずったままの思いで披露された”17”は、バンドメンバーを除いたピアノだけの弾き語り。音楽の原体験を、ここ苗場に再び産み落とすかのような初々しいプレイだった。

散りばめられた歌詞に時折ハッとさせられる”風に立つ”、キャッチーでごきげんな新曲”LUCKY”などが続く。TOMOOは、くるりと回ったり、歩くようにステップを踏みながら喜びを表現した。”Ginger”が始まると。会場はわっと歓声をあげ、大きなクラップで包まれた。力強い打鍵と、凛としたTOMOOの表情に確かな手応えを感じた。

レッドマーキーの間から見える空は、くもりから雨を降らせ、そしてまた晴れていった。TOMOOの表現する音楽の心の動きが、この何気ない天気の移り変わりに現れているような気がして、なんだか嬉しくなった。周囲をあっといわせる歌声と、老若男女が楽しめるキャッチーな楽曲センス。絶対的な個性よりは、ポップスの普遍的な喜びを形にしている。何色にでも染まれる透明感こそが、彼女が愛される理由である。

[写真:全10枚]

TAGS
7/25 FRIRED MARQUEE