FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/25 FRI

kurayamisaka(Selected by ROOKIE A GO-GO)

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Posted on 2025.7.25 14:15

轟音、切ない歌声、アグレッシブな演奏、心を掴んで決して離さない

正直に申し上げますと、昨年のROOKIE A GO-GOのメンツが発表された段階で、今年はkurayamisakaが出るんだろうな、と思っていた。当時から音楽が好きな人の間では話題になっていたし、きっとルーキーに応募しなかったとしても、どんどん知名度を上げていく。今までリリースされた音源を聴いていると、それは確信にも近い感覚であって、そんなバンドを「select by」と称してRED MAQUEEに上げるのか……いや、普通に呼べよ、と考えていた。

11時15分にレッドが開場になり、金曜日の朝早い時間だというのに徐々に埋まっていく様子を見ていると、期待値の高さがうかがえるようでもあった。背後のスクリーンにロゴが映し出され、SEもなくステージに登場する5人のメンバー。演奏前にMCをするスタイルも珍しく、張り詰めたような空気が和らいでいくのを感じる。
ゆっくりとしたカウント、そしてギターのハウリングが鳴り始めれば、まずは“theme(kimi wo omotte iru)”。轟音のなか、早速ステージ上で暴れ回るようにかき鳴らす阿左美倫平(Ba)とフクダリュウジ(Gt)の姿に笑いそうになる。そのまま続く“cinema paradiso”では、3本のダイナミックなギターのサウンを前面に出しながらも、内藤さち(Vo/Gt)の体温を感じる歌声が、会場へと響く。裏声も美しく、そしてまっすぐに伸びていく。音源で聴いていると、あえて感情を込めることなく、無機質であることを意識しているように感じていたのだが、音源とライブではまったく異なる表情を見せてくれるバンドであるのだと思った。彼らがライブバンドであるのは、清水正太郎(Gt /Vo)の着古されてインクの剥げまくったblood thirsty butchersのTシャツからも読み取れる。渦を巻くような轟音に、堀田庸輔(Dr)のツインペダルがさらに拍車をかけていく。あまりにも大きな音を鳴らしながら各々がアグレッシブに動くのだから、見ているこちらがにやにやしてしまう。このような一面でも、彼らの音楽のルーツがはっきりとわかるような気がした。

疾走感のあふれる“metro”、それぞれの音が爆発するようなサビが印象に残る“sunday driver”では、やはり音源で感じていた後ろ髪を引かれるような、寂しさを残す歌声に90年代オルタナティブを彷彿とさせる激烈なギターサウンドが心地よく響く。この5人は音の引き算と、サビを引き立てる構成にしながらそれぞれの見せ場を作るのがうまいのだと感じた。
そして、清水の親友が作ったという“modify Youth”。観客たちからは「待ってました!」と言わんばかりの声があがり、このような一面でもルーキーなんて枠組みにはもうとっくにいないんじゃないか?なんて思ってしまう。この曲は清水の組んでいるもう一つのバンド、せだいのカヴァーであり、フロントマン2人の無機質な声が混ざり合い、ポップさを残したサウンドに乗せられて、会場に響く。

ギターのメロディが耳に残る“farewell”、そしてエンドロールみたいな“jitensha”。気持ちのよい轟音に乗せられた内藤の声を聴いていると、気を抜くと泣きそうになってしまう。ギターソロだって、どうしてこんなに切なくなってしまうんだろう。まだフジロックだって始まったばかりなのに、何かがふっと終わってしまいそうで、胸が締め付けられるような気持ちになる。それでいて、下手の2人が音を全身で浴びる喜びを体現するかの如く思いっきり暴れ回っている様子がおかしくて、もう何をどう思えばいいのか、わからなくなる。

メンバー紹介が終わり、ラストは今年の4月にリリースされた“sekisei inko”。ヘヴィーなギターの音が耳に残り、ゆったりと時間が過ぎていく。「またライブハウスで会いましょう!」という言葉の通りで、彼らがライブバンドであることを思い知った1時間。
Kurayamisakaを初めて聴いたときのことを思い出す。ずっと耳から離れなくて、毎日のように『kimi wo omotte iru』を繰り返し聴いていたことも。今日のライブも同じくらい反芻していく記憶になるのだと思う。ライブで、そして生の演奏で体験できたからこそ、彼らの音楽は忘れることのないワンシーンになっていく。そんな1時間であった。

[写真:全10枚]

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7/25 FRIRED MARQUEE