FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/27 SUN

T字路s

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Posted on 2025.7.27 15:45

バンドに背中を預けた、敵なしの歌声

外を歩いていたら気になる音楽が聴こえてきて、居ても立ってもいられずステージに走る。フジロックで、そんな経験をしたことのある人は多いのではないだろうか。今日の朝も、まさにそんなことが起きた。T字路sの曲が聴こえてきたのだが、サウンドの感じがいつもとちょっと違うのだ。

慌ててレッドマーキーに駆け込むと、外壁に遮られることなく、伊東妙子(Vo/G)の声が体に直撃する。広い場所で、デカい音で聴くと、その迫力と唯一無二の声質がさらに際立つ。

いつもは相方の篠田智仁(Ba)と2人でステージに立っているが、今日はなんとドラムとサックスが加わったバンドセットではないか!2015年のカフェ・ド・パリや、2022年のヘブンなど、フジロックでは何度かT字路sのステージを見てきたが、こんな編成のT字路sは初めてだ。外で聴こえてきたときに、いつもと違うと感じた理由はこれだったのか。

“夜明けの唄”を演奏し終えると、伊東がMCで「みなさん一人ひとり、それぞれに『これさえあれば』というものがあるのではないでしょうか」と語りかける。「私、伊東妙子の『これさえあれば』と言えば、やはり音楽。……ではなく、私たちの音楽で喜んでくれる人が目の前にいれば、他には何もいらないのであります!」というMCから始まったのは、ライブの定番曲“これさえあれば”。

ゆったりと、しかし力強いリズムとメロデイを伴って鳴らされることで、この曲の情景はよりドラマチックに浮かぶ。ドラムとサックスを引き連れた伊東は、いつも以上に敵なしだ。

続いて披露されたのは、T字路sが送る人生の応援歌“泪橋”。感情が昂るようなギターのイントロが掻き鳴らされると、レッドマーキーの天井が揺れるほどの歓声が起こる。野太く歪んだ音を鳴らす伊東のギターは、ブルージーなしゃがれ声で歌う彼女の分身みたいだ。

大歓声をかき分けて、ライブは“T字路sのテーマ”へと突入していく。ドラムの疾走感とサックスの音色を味方につけ、篠田のベースに背中を預け、真っ赤なワンピースを着た伊東がステージの真ん中で叫ぶ。サックス、ドラム、ベースと、それぞれのソロパートを経由し、巨大なグルーヴを生み出しながら突き進む姿は、まさにバンドだった。メンバーが増えるとこんなにパワフルな音になるのかと感動するのと同時に、2人編成のときの完成度にも改めて驚かされる。

今年、結成15年にしてメジャーデビューを果たしたT字路s。これからどんなステージで、どんな音楽を鳴らしてくれるのか。また苗場でライブが見られる日を心待ちにしている。

[写真:全10枚]

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7/27 SUNRED MARQUEEXSUMI