LIVE REPORT - THE PALACE OF WONDER 7/26 SUN
坂本慎太郎
最終日深夜に訪れた、魔法のような45分
ジョージ・ウィリアムズが「フジロック、まだまだ続くよ!」と何度も呼びかけたクリスタル・パレス・テントは、その言葉どおり熱気を増していく。この日の昼に発表されたSPECIAL GUESTは坂本慎太郎。昨年もCA7RIEL & PACO AMOROSOが大盛況だった名物枠だけにさまざまな予想が飛び交っていたが、まさかここで坂本慎太郎とは。斜め上なのに誰もが納得する、フジロックらしい絶妙な一手だった。
昨年は深夜のレッド・マーキーで圧巻のライブを見せた坂本慎太郎。その姿を見逃した人にとっても待望のリベンジとなる出演だ。ステージが始まる頃にはテントの熱気は異様なほど高まり、前方では今にもライブが始まりそうなテンションで身体を揺らす人たちがぎっしり。ジョージ・ウィリアムズがつくり上げたあの空気が、そのまま坂本慎太郎のライブへとなだれ込んでいった。
ライブは“なぜわざわざ”からゆっくりとスタート。肩の力が抜けた歌声と、夢と現実の境界を漂うようなグルーヴが、さっきまでのざわめきを少しずつ坂本慎太郎の世界へと染め替えていく。続く“あなたの場所はありますか?”では、社会を少し距離を置いて見つめるような歌詞がじわりと響く。この日ヘッドライナーを務めたマッシヴ・アタックともどこか通じる批評性を感じさせながらも、それをどこまでも軽やかなポップスへ落とし込んでしまうところが坂本慎太郎らしい。
“愛のふとさ”では軽快なドラムとホーンが鮮やかに駆け抜け、“仮面を外さないで”ではファンキーなリズムに合わせてフロア中が思い思いにステップを踏む。前方はかなりの熱気なのに、どこか肩の力が抜けているのもパレスらしい景色だ。“まともがわからない”では自然と大きなシンガロングが巻き起こり、“あなたもロボットになれる”では少しディストピアめいた世界観に、笑って済ませられない現実味が滲む。ユーモアと皮肉、その絶妙な距離感に引き込まれながら、フロアの熱気はさらに上がっていく。
終盤の“麻痺”では、最終日深夜のクリスタル・パレス・テントという特別なシチュエーションも相まって、場内は完全に高揚の渦。身体を揺らすというより、もうみんな好き放題に踊っている。僕もやけっぱちになってフロアへ飛び込み、その熱気に身を任せていた。
そしてラストの“ディスコって”が描き出すあまりにも美しい光景に、思わず涙が出そうになった。この瞬間のために集まった人たち、その偶然居合わせた全員でつくる景色を歌っているように思えたからだ。スペシャル・ゲストという特別感、クリスタル・パレス・テントという自由な空気、そして最終日深夜という魔法のような時間。そのすべてが重なったからこそ生まれた、この日だけのマジカルな時間がここにはあった。
[写真:全10枚]









