LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/25 SAT
THE BETHS
雨上がりの午後を吹き抜けたインディーロック
昼頃まで降っていた雨も上がり、午後の風が心地よく吹き込むレッド・マーキー。定刻前に向かうと横の入り口からようやく入れるくらいの混み具合で、このバンドへの期待感の高さがうかがえる。ニュージーランド・オークランド出身のインディーロック・バンド、ザ・ベスがフジロック初登場だ。
イントロから大歓声が湧いた“Straight Line Was a Lie”“No Joy”を立て続けに披露。トリスタン・デック(Dr)の跳ねるようなドラムが全体を軽やかに前へ押し出し、ハイフレットを中心にルートをたどるベンジャミン・シンクレア(Ba)のベースは控えめながら、その疾走感に絶妙な彩りを添えている。
イントロが鳴るたびに歓声が上がるのは、このバンドの人気はもちろん、エリザベス・ストークス(Vo / Gt)とジョナサン・ピアース(Gt)が繰り出すギターリフに一瞬で心をつかまれてしまうからだろう。“Future Me Hates Me”や“Knees Deep”でも、手を挙げて歌う人、気持ちよさそうに横揺れする人、それぞれの楽しみ方でパンパンのレッド・マーキーが満たされていく。それでもどこか窮屈さを感じさせないバンドサウンドに、自然と身体をあずけてしまう。
モッシュになってもなんらおかしくない疾走感なのに、不思議なくらい軽やかに横揺れしていられる。その理由は、ちょっとコミカルで華やかな4人のコーラスワークが冴え渡っているからだろうか。ハードロックばりにダイナミックなギターアンサンブルを響かせた“Dying to Believe”では、歌詞を苗場仕様に替えた「The next station is Naeba」に大きな歓声。熱気を帯びながらも爽やかな風が吹き抜けるような演奏を、みんな思い思いに楽しんでいる。
前方のファンが掲げたメッセージにはにかむエリザベスの姿や、リズ、ベンジャミン、ジョナサン、トリスタンと順番に紹介していくメンバー紹介も、この4人らしい気の置けない空気を感じさせた。中盤以降は、“Not Running”や“Jump Rope Gazers”と少し腰を落ち着けた楽曲も交えながら、バンドの表情にさらに奥行きが加わっていく。ほんのりニューウェイヴな手触りをまとった“Take”では歪みを加えたベースが存在感を放ち、“Metal”ではアコースティックギターの素朴な響きから、アウトロでドラムがフィルを重ねながら熱を引き上げていく展開も印象的だった。
みずみずしいものからどろっとしたものまで、ドリーミーな質感を自在に行き来するイントロを経て始まった“Til My Heart Stops”では、内省的な情感も重なり、噛み締めるように聴き入るオーディエンス。この笑顔から元気をもらえるのは、そうしたフラジャイルな部分まで隠さず歌にしてきたバンドだからなのかもしれない。
“Little Death”でも静かな入りから一気に視界を切り開くような展開力が光り、最後は“Expert in a Dying Field”。どこまでも軽やかで、それでいて心の機微まで丁寧にすくい上げるザ・ベスの音楽は、レッド・マーキーいっぱいにあたたかな余韻を残していった。
[写真:全10枚]









