LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/26 SUN
the cabs
Posted on 2026.7.27 02:55
あの日の続きを、特別な場所で
haruka nakamuraの“lang”が流れたとき、「本当にはじまる」と思った。MCで高橋國光(gt, vo)が「まさか自分たちがフジロックに出るなんて思ってなかった」と言っていたけれど、この会場にいる人たちもまさかthe cabsが再結成し、フジロックのステージに立つ日が来るだなんて、考えたこともなかっただろう。
1曲目の“sarasa”から手加減はない。高橋の喉が張り裂けんばかりのシャウトが、RED MARQUEEを切り裂いていく。首藤義勝(b, vo)の唸るような低音が腹の底を揺らし、中村一太(dr)は怒涛のドラミングで楽曲を押し進めていく。開始早々、逃げ場のない轟音と緊張感が空間を支配していた。休む間もなく“二月の兵隊”の演奏が始まる。首藤の柔らかな歌声は、楽曲にわずかな余白を生み出す。高橋の鋭利なシャウトと交わることで、そのコントラストは一層際立っていた。
“わたしたちの失敗”、“ラズロ、笑って”と、轟音をまといながらもどこか儚さを宿すメロディが印象に残る2曲が続く。the cabsのステージを見ていると、3人が互いに音をぶつけ合い、せめぎ合いながら、それでも絶妙な均衡を保っていることがよくわかる。中村は目まぐるしく手数を重ねながらも、一音たりとも埋もれることなく楽曲の輪郭を鮮やかに描き出していた。
“花のように”、そして今年5月にリリースされた“パリ、わたしたちの”へ。解散前から愛され続ける楽曲と、再結成後の新たな立ち位置を示すような曲が自然と並ぶ。新曲が聴ける日がくるなんて思ってもいなかった。それが率直な感想ではあるけれど、バンドそのものが過去の思い出になることはなく、今も更新を続けるバンドなのだということがわかる。
何度聴いてきたかわからない“anschluss”のメロディが流れれば、会場からは大きな歓声が上がる。the cabsという存在が多くの人たちにとって、大切な青春の1ページでもあり、現在進行形で特別なバンドだということがわかる。首藤の裏声が美しく響き、高橋のシャウトが激しくぶつかり、思わず息を呑む。フジロックでこの曲が聴けるなんて、考えたこともなかったから。
穏やかなメロディが張り詰めていた空気をゆっくりとほどいていく“地図”、そして高橋が自分たちのことを「紆余曲折あったバンドだけど、想像してこなかったことが起こる」というMCのあとは、“チャールズ・ブロンソンのために”。高橋のギターは、歌いながら弾いているとは思えないほど複雑なフレーズを軽々と紡ぎ、それに首藤の重厚なベース、中村の緻密なドラミングが絡み合い、この3人にしか鳴らせない轟音を完成させる。
一気に駆け抜けるような疾走感が会場を包む“camm aven”のあとは、“キェルツェの螺旋”で締めくくられる。それぞれが、最後まで力を緩めることなく、3人向き合いながら音がぶつかり合う。バックスクリーンのロゴがゆっくりと出現し、轟音が鳴り止んだ瞬間、RED MARQUEEを包んだ大歓声は、この日を待ち続けた人たちの思いそのものだった。
