ちょっぴり大人なサケロック
揃いの白スーツで登場した2006年から5年ぶりにホワイト・ステージに戻って来たサケロック。一昨年に出演したフィールド・オブ・ヘブンでは、入場規制がでるほどの人気っぷりを見せつけた彼らは、実は、フジロックの新人ステージ、ルーキー・ア・ゴー・ゴーの出身でもある。笑いの絶えないMCに定評のある彼らのライブだが、今やソロ活動にテレビ出演や大御所ミュージシャンとの共演など個々の活動が目立ち、だんだんと大人な一面を覗かせつつある。ライブでは、相変わらずな4人の掛け合いだけど、ちょっぴり寂しいような気もしている。
ハマケンのトロンボーンから始まる「KAGAYAKI」でスタート。ホワイト・ステージを覆う分厚い雲の層が、こもった感じの反響を呼び、広い会場で音の振動がダイレクトに感じられる。ドラムのフィルインで入る「Good by my sun」と続き、「URAWA-City」。のんびりした曲から変則的な拍子に変わり、一見バラバラに演奏してるように見えて、カチッとまとめあげる。
「こんにちわ、サケロックです。」星野がしゃべると歓声が上がる。客席から「浜野くーん」と呼ばれると満面の笑顔で「ハーイ!」と応えるハマケンの存在感は健在。そして最近のライブでは恒例の着てるもんいじり。メンバーからも客席からも水玉のシャツを突っ込まれ、笑いが起こる。前作アルバム『ホニャララ』から「今の私」を披露した後、ギターアレンジを変えた「慰安旅行」。5年前もここで聞いたなぁと感慨に耽りながら、昨年末に発売されたアルバム『MUDA』からの曲を中心に、ゆるやかに進むライブをじっくりと堪能することができた。
サケロックの楽曲の中でも、歪んだギターが珍しい「MUDA」でラストを迎えた。バンドとして成熟しつつある彼らが、今後生み出す楽しい”ムダ”の数々をいつまでも期待していたい。
写真:北村勇祐 (Supported by Nikon)
文:千葉原宏美