RINGO DEATHSTARR

White Stage | 2011/07/31 09:00 UP
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甘い果実と轟音ノイズ

 急に強くなった雨脚に負けないノイズの奔流とアレックス嬢の麗しさが象徴的だった、RINGO DEATHSTARRのライヴ。4月末に行われて好評だった来日公演からこんなに早い段階で再来日が実現したことにまず驚き。しかもいきなりフジロックのホワイト・ステージに抜擢という文句ない舞台で!

 そのRINGO DEATHSTARRはオースティン出身の3人組。マイブラの再来といわれるほどの歪んだ轟音ギターと甘美なハーモニーを奏でるシューゲイザー・サウンドが特徴になる。しかも先駆者達と比べると、より甘くポップな果実を実らせており、アピールする範囲が広いのも彼等の良さ。その持ち味が存分に発揮された今年2月発表の1stフルアルバム「Colour Trip」は、好調なセールスを記録しているそうだが、僕自身も上半期にかなりお世話になった作品だ。

 でも、いきなりステージに出てくるなりベーシストのアレックス嬢が集まった観客たちを写真に収めていて思わず笑顔になってしまった。ドラマーのダニエルは陽気に手を振って歓声をもらったりと、この大舞台を気負いなく楽しんでいこうという姿勢がバンドから見て取れた。

 ライヴはシューゲイザーに夢見ている人たちはもちろんだが、前述したように広い範囲でアピールの効くものであった。耳を劈くほどの轟音と気だるくも甘いメロディが親和して、人々を恍惚の彼方へと導いてくれるのだが、いい意味でのラフさや焦燥感がダイレクトに伝わってくるので新鮮。そして、陽性のフィーリングの方に傾いているので聴き心地も爽快に感じるんだな。青空が少し覗けた序盤で聴けた「So High」のような瑞々しい疾走曲の良さが特にグッときた。懐かしくて甘酸っぱい、そんな想いを抱く方も多いはずだ。その後に眩惑する様なノイズと甘いハーモニーに包まれる「Two Girls」といった曲が繋がっていく辺りに、このバンドの面白さがある。
 
 一段と大きなノイズ・ギターが雷鳴のように轟いた「Tambourine Girl」も印象的であったし、その後の「Imagine Hearts」では浮遊感あるサウンドの上をベースを置いて歌に徹したアレックスがキュートな動きをしながら、繊細に歌い上げていて、本日見た中では一番のインパクトがあった。しかしこのアレックス嬢、ライヴ後にツイッター見たら”かわいかった”という言葉で埋め尽くされてて、その事にも驚いた。

 突然、雨が強くなった終盤も轟音ノイズは衰え知れず。ギタリストのエリオット・フレーザーがステージにダイヴして楽しく泳ぐ姿、またアレックスが最後にテンガロンハットを被って決めるなどサービス精神もまた旺盛。笑顔を絶やさずに最後までライヴを駆け抜けた。「あなたたちはわたしを笑顔にさせる」という日本語でのMCもまた印象に残っている。終演後には今度はメンバー全員で会場をバックにして記念撮影。自身もお客さんも満足させただろう彼等の初めてのフジロックが幕を閉じた。今回のステージでアレックスにもリンゴ・デススターにも恋してしまった人を多数生みだした事は、間違いないなさそうだ。


写真:古川喜隆
文:伊藤卓也
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