GREEN STAGE, | 2012/07/27 15:20 UP

Jah Wobble & Keith Levene – Metal Box In Dub

重低音が襲いかかる

風が吹けば砂埃が舞いそうなオレンジコート。太陽からの日差しは強く、ジリジリとした暑さが厳しい。そんな午後に登場したジャー・ウォブル&キース・レヴィン―メタル・ボックス・イン・ダブは、そんな空気を切り裂くような重い低音を繰り出してきた。大柄なジャーがそのサウンドの核となるベースを弾く。PILやセックス・ピストルズのTシャツで気合を入れてきたお客さんをあざ笑うようにギターのキースはビートルズのTシャツを着ている。そしてテクニカルで迫力あるドラマー、ローディーのようなトランペッターがステージにいる。

ゆったりとしているけど、凶暴な低音がオレンジコートを襲い、会場が温まったところでヴォーカルが登場する。そのヴォーカルは覆面でガウンを着ている。これが噂のピストルズのコピーバンドから引き抜いたジョニー・ロッターなのだろうか。正体が全くわからないのでジョニー(仮)としておく。ヴォーカルは深いエコーが施されているけども、ジョン・ライドンに似ている。目をつぶって聴けば十分耐えられる声だ。

そのジョニー(仮)は何度も覆面を取ろうとしたり、変な動きをしている。ジャーは立っているのが辛いのか時折パイプ椅子に腰掛けてベースを弾く。立ってようが座ってようが、名盤『メタル・ボックス』を作り上げたのはジョン・ライドンだけでない、ジャーの地を這うようなベースとキースの神経を逆なでするようなギターが重要であることを再確認させてくれたのではないか。去年、来日したPILは本当にすばらしかったけど、それはジョン・ライドンのソロ・プロジェクトであったわけで、今回のフジロックでその失われた部分がつながるのだ。

“ポップトーンズ”もすばらしいけれども、ジョニー(仮)が覆面を取り、ガウンを脱いだ”スワンレイク”がすごかった。覆面を取った瞬間に、声がクリアになったような気がするし、エンジンがかかったのだ。しかし、テンポを落として演奏された”アルバトロス”では、興に乗ったジャーが立ち上がり、ステージ前まで出てきたとき、空いたパイプ椅子にジョニー(仮)が座り足を組んで歌った様子が、終電を逃し午前3時のカラオケボックスのような重く、気だるさを醸しだし、暑くてダラダラした感じがまたこの状況にピッタリであったのだ。この曲の最後もダラダラしたカオスで締めくくる。

終わると、ジャーがメンバー紹介をしていて、ジョニー(仮)のことをちゃんとした名前で呼んでいたようだけど、聞き取り辛かった。一回メンバーが去っていったのだけど、ここで一発逆転、ジョニー(仮)がメンバーを呼び戻し、アンコールぽく演奏された”パブリック・イメージ”、そしてもう一曲おそらく”アナリサ”がすばらしかったのだ!カオスでスピード感ある演奏が最後を締めくくったのだった。


写真:Julen Esteban-Pretel 文:イケダノブユキ
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