【アトミック・カフェ】FRYING DUTCHMAN

2002年に結成されたというFRYING DUTCHMANは、ボーカル、ギターのLee Tabascoをフロントに据えた京都を中心に活動する4人組である。「今日はいい天気で最高だね!今の現状変えて行かんとあかんよ!」とのMCでスタートしたライブの1曲目は、このバンドを一躍有名にし、アトミックカフェに呼ばれる端緒ともなった”human error”であった。

“human error”は昨年の秋頃にインターネットにアップロードされるやいなやtwitterやFACEBOOKで拡散し、多くの人が視聴した曲である。総数としてはどれほどのものになったのかは分からないが、現在でも情報は周り続けているようだ。

「エネルギーを牛耳って経済というお金のシステムを構築してきた代わりに 偉大な能力を失ってしまった」との告発で始まるこの楽曲は、私たちがぼんやりと思っているがなかなか取り出すことができない原発や社会に対する思いをズバリと言語化してつきつけてくる。

「ものすごい利権が絡んでいるのさ 金だよ、金!」「人の命をなんや思ってるねん あほんだらボケカス!」「このシステムがイカれてるぜ!」敵意をむき出しにしているかにみえる、食いつくような激しい言葉の数々がほとんど絶叫ともいえる形で魂から絞り出されてくる。しかしそこには、よくあるプロバガンダの臭いや自己顕示といった雰囲気はほとんど見えず、素朴さと力強さをかねそなえた暖かみすら感じさせるのである。全部で17分を超える”human error”は後半になるにつれ熱さを増し、「目指すところはひとつさ」に続く「愛」と「LOVE」のコール&レスポンスでは客席が総立ちとなりサウンドに身を委ねていた。

このようなFRYING DUTCHMANのパフォーマンスを支える基盤となるのは、Lee Tabascoのボーカリストとしての色気や実直さを感じさせる声の質、まっすぐに自分の言葉を届けようとする姿勢にあるのは間違いない。しかしもうひとつ欠かせない要素として、FRYING DUTCHMANのバンドとしての演奏力に触れない訳にはいかないだろう。暴走しがちなLee Tabascoを暴れさせつつもしっかりと支え続ける安定したリズムキープとオーガニックな手触りのある生音が、過激で社会的な発言に血の通った人間らしさを吹き込んでくれるのである。

こうしたバンドとしてのアンサンブルは、”human error”以降に演奏された”ちんぷんかんぷん”をはじめとする楽曲の数々で十分堪能することができた。脱原発なんて話題性に頼らなくても、当たり前に楽しくかっこいい、骨太なロックバンドなのである。原発抜きでFRYING DUTCHMANを楽しめる日が、少しでも早く来て欲しいものだ。作詞も務めているボーカルのLee Tabascoは歌詞を改変しており、大飯原子力発電所の再起動やがれき受け入れやといった新しいトピックもどんどん組み込んでいた。変わり続けるFRYING DUTCHMANと社会との関わりに、これからも注目して行きたい。

ちなみにライブはもんじゅくんも堪能していたようだ。「エレクトリックデモクラシーさ!」の叫びに反応してぴょこん!と飛び上がっていた姿が大変かわいらしかったのも、併せて記しておこう。


写真:直田亨 文:永田夏来
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