GREEN STAGE, | 2012/07/27 19:40 UP

HIROMI THE TRIO PROJECT featuring Anthony Jackson & Simon Phillips

楽器が持つ魅力を最大限に引き出す演奏

1日目のオレンジコートのトリを飾るのは、上原ひろみ。フジロックへの出演は、2005年と上原ひろみソロ名義、2007年にはHIROMI’S SONIC BLOOM名義に続き、3度目となる。今年はHIROMI THE TRIO PROJECT featuring Anthony Jackson & Simon Phillips名義での出演だ。前回とも素晴らしいステージだったことや、グラミー受賞などで認知度が高まったためか、オレンジコート後方の土手までかなり多くの人が詰めかけていた。

出だしから上原ひろみの超絶技巧に圧倒される。一般的にピアノは鍵盤楽器と分類されるが、上原ひろみの演奏を聴いていると、ピアノは打楽器でもあると感じる。確かに、構造上は弦をハンマーで下から打ちあげるため、打楽器と分類されても間違いではないだろう。ただ、彼女のピアノはタッチがとにかく正確。超絶なフレーズを激しい様相で弾きつつも、ピアノそのものが持つ美しい音色が失われるようなことは決してない。単にピアノを肘で弾いてみたり、手で叩き付けることでは、決して出ない音なのだ。黒と白の鍵盤のうえを踊るように動く指、そして何より彼女の感情豊かな表情が、観客を魅了する。共演のふたりを「愉快な仲間たち」と紹介していたが、本当に彼らとの演奏を心から楽しんでいるようだった。

そしてサイモン・フィリップスのドラムもまた超絶だ。ドラムのセッティングの見た目がそもそも派手!確認できただけでもタムが11個、シンバル7個、バスドラムが2個、ハイハットが左右に一組ずつ…と、まるで要塞のよう。彼はミック・ジャガーやジェフ・ベックのドラマーとしての参加や、ロック・バンドのTOTOのドラマーとして加入していたことも有名だが、やはり叩く音もジャズ・ドラムというよりは、ロックあるいはプログレッシブ寄りだった。

そんな超絶技巧タイプの2人の間に座り、バランスを取っているのが、ベースのアンソニー・ジャクソンだ。今年還暦を迎えたようだが、まったく衰えない指の動きで6弦ベースを巧みに操る。音色も豊かで、時折ウッドベースのような音も奏でみせる。ピアノとドラムに対する配慮と集中力が、尋常じゃない。ライブ中、孫娘をみるような目で上原ひろみをみていたのも印象的だった。

彼らに共通して感じたのは、楽器のもつ最大限の魅力を引き出すような音だと思ったこと。自身が演奏する楽器を愛し、また演奏することがとにかく好きでたまらないように感じる。その尋常ならぬ楽器への愛情から奏でられる音だからこそ、オレンジコートに集まった多くの人の心を動かしたのだろう。

9月に発売されるというニューアルバムからも3曲披露されたが、前作よりまた一段とドラマティックな展開の楽曲が多かった。11月からはこの3人で全国ツアーも予定されているそうなので、今回見逃した方には是非、この音を体感してほしい。


写真:Julen Esteban-Pretel・文:本堂清佳
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