GREEN STAGE, | 2012/07/29 17:40 UP

DUMPSTAPHUNK

本物のニューオンリンズ・ファンクを体感せよ

ダンプスタファンクの始まる少し前、グリーンステージでは井上陽水がすばらしいアクトを繰り広げていた。観客はほとんどグリーンステージにいるのではないかと思わせるぐらい、他のステージの観客が少なく見えた。井上陽水も見たい!だけどダンプスタファンクも見たい!そんな人も多かったのではないだろうか。そして人でごった返したグリーンステージを抜けてくるのにとても大変な思いをしたのではないだろうか。そう、僕もその一人だ。余裕を持って出たはずが、始まる10分前に到着。他の人は大丈夫かな、なんて思ったのは余計な心配である事がすぐにわかった。ヘブンにはすでにたくさんの観客が集まっていたのである。そしてオンタイム。ダンプスタファンクのライブが始まった。

そもそもダンプスタファンクとは2003年デビューのまだ若いバンド。しかし少し調べれば彼らがどれだけすごいかわかる。まず中心となる人物がニューオーリンズ・ファンク代表、ネヴィル・ブラザーズのアーロン・ネヴィルの息子アイヴァン(key)、加えてギターにはアート・ネヴィルの息子イアン、ベースには現ネヴィル・ブラザーズのニック・ダニエルズ、さらには、元ネヴィルズのトニー・ホールがギターとベースを担当する。これだけ聞いただけでも、完璧なニューオーリンズ・ファンクが楽しめることに疑いが持てない。「調子はどうですか!」と日本語のあいさつと同時に図太いリズムが刻まれた。本当に女性のドラムか?と思わせるほど、ずしっとしたリズム。そこにギター、ベースが重なり、もうヘブンは完全なニューオーリンズになった。

すぐに思い出したのが、2009年ホワイトステージでのネヴィル・ブラザーズのライブ。これはこれでもう最高の思い出しかないのだが、やはり息子となると聞き比べてしまう。年が若いせいか、演奏がやんちゃなのだ。これは悪い意味ではなく、ネヴィル・ブラザーズよりも良い意味でテクニックが勝る。それをこの上なく披露するものだから、見てるこっちは楽しめるのである。曲中にはアイヴァンの鍵盤や、トニー・ホールのギターのトラブルが相次いで起こったが、そんなトラブルはもろともせず、彼らのグルーヴは止まらないのであった。

MCで「ニューオーリンズにのような暑さだ!」と言ったときは、なるほど、そうか、彼らにとってここはホームと同じ環境なのだ。声は出ているし、手もよく動くわけだ!と変な納得をしてしまうほど、彼らの演奏は堂々としていて、ヘブンに良く合っていた。フジロック3日目、強者揃いのライブスケジュールの中、ダンプスタファンクを選んだ人は正解だと思う。演奏力はもちろん、完璧なニューオーリンズ・ファンクなんてそう聞けない。見逃した人がもしもいるならば、「明日、渋谷のクアトロで7時から演奏します!」とアイヴァンが言った通り、渋谷に行くべきだ。しかもその日は、ギャラクティックのドラム、スタントン・ムーアとBLACK BOTTOM BRASS BANDがゲストに出るという。ファンク好きのフジロッカー、これを見逃す手はない。


写真:加藤智恵子/文:丸山亮平
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