FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTGREEN STAGE7/29 FRI

HIATUS KAIYOTE

  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE
  • HIATUS KAIYOTE

Photo by 北村勇祐 Text by イケダノブユキ

Posted on 2022.7.29 21:29

ネイ・パームの存在感

19時といってもまだ明るさが残る夕暮れのグリーンステージにハイエイタス・カイヨーテが登場した。ヴォーカルのナオミ “ネイ・パーム” ザールフェルトは全身が青く、キラキラ、ヒラヒラした衣装をまとっていた。ステージにいるだけでその存在感に目を奪われてしまう。ベースのポール・ベンダーは6弦ベースを持ち時折ヴォーカルに連動したベースラインを弾いたり、細かなフレーズを弾きこなし、ギターのような音域までカヴァーする。キーボードのサイモン・マーヴィンはキース・へリング柄のシャツを着て、サウンドのムードを決めるような音をだす。ドラムのペリン・モスは細かく複雑なリズムを叩く。そしてコーラスで女性1人、男性2人が加わる。

ネイ・パームはステージから見渡して「ビューティフル!」と感嘆し、“Rose Water”からライヴが始まった。ネイ・パームの強く伸びやかな声、優しく寄り添う3人のコーラスによって、ソウルフルでおしゃれなもののように聴こえる。しかし、他の楽器がやっていることに注目してみると、まるでマスロックかプログレッシブ・ロックかというくらい相当に奇怪で複雑なことをやっているのだ。それをなんとなくおしゃれな感じ仕上げてしまうのがすごい。ステージ背後にあるスクリーンには虎(?)なんだけど、柄をよくみるとHIATUS KAIYOTEと書いてあるのと、今のところの最新作『Mood Valiant』の2つのパターンが映しだされる。

ネイ・パームはギターを手にして歌う曲もあった。そのギターにはおそらく若いときのマイケル・ジャクソンのステッカーが貼ってある。ギターの音色も主役になるものではなく、控えめにサウンドに溶け込んでいる。主役はあくまでもネイ・パームの声なのだ。それを支えるベースとドラムの強靭さと複雑なことを涼しい顔でやってのけるテクニックがある。時折要求されるハンドクラップも細かいリズムなのでついていくのがやっとだ。他のバンドなら単純なリズムで拍手させるだろう。このように聴き流せばおしゃれな音になるし、しっかり聴こうとするとあまりの奇怪さにとらえられて沼にハマっていくすごい構造を持っている音楽なのだ。

そしてネイ・パームの自由でポジティブでチャーミングなオーラをグリーンステージの大勢の人たちが受け取るのである。さまざまなことを乗り越えて、今このステージに立っているということもあるけど、その背景を知らずとも彼女のあり方に惹かれるのだ。最後は“Red Room”。ようやく気軽に口ずさめるメロディを持つ曲でグリーンステージは大いに盛り上がった。ステージを去る前のネイ・パームは数え切れないくらいの投げキッスをおこなって感謝を表していたのだった。

Set List

Rose Water
And We Go Gentle
All the Words We Don’t Say
Get Sun
Blood and Marrow
Molasses
Sip Into Something Soft
Chivalry Is Not Dead
Bowie
Swamp Thing
Building a Ladder
The World It Softly Lulls
Nakamarra
Sparkle Tape Break Up
Red Room

[写真:全10枚]

TAGS
7/29 FRIGREEN STAGE