LIVE REPORTGREEN STAGE7/30 SAT
FOALS
新旧楽曲が繋ぐ“踊れるロック”の実現
フォールズ、9年ぶり4回目のフジロック出演は「満を持して」という言葉がピッタリ当てはまる。2020年3月に行われる予定だった単独来日公演は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となった。あの時期、ほとんどの来日公演は中止もしくは延期を早い段階で発表していたが、フォールズだけはギリギリまで粘ってくれた。そこに「日本でライブを!」という彼らの思いが伝わってきて、結果中止になってしまったもののバンドへの想いはより強くなった。あれから2年半、今度は“踊れるロック”の新作『Life Is Yours』を引っ提げ、フォールズが日本に帰ってきた。
19時定刻、大量に炊かれたスモークの中、メインメンバーのヤニス・フィリッパケス(Vo/G)、ジャック・ベヴァン(D)、ジミー・スミス(G )の3人に加え、サポートメンバーのジャック・フリーマン(B)、ジョー・プライス(Key/Syn)、キット・モンティース(Per)が登場した。ライブは“踊れるロック”のシンボル的楽曲“Wake Me Up”からスタート。この曲の定番の掛け声は日本ではまだ出せないが、存分に躍るオーディエンスは本当に楽しそうだ。踊った体に残る余韻を線に繋げるべく、ミニマムなグルーヴがある“Mountain at My Gates”、メロディアスなディスコ・パンク・チューン“2am”と続き、“My Number”のグルーヴとダイナミズムの掛け合わせがオーディエンスをさらに躍らせる。このように、既存の曲にも踊れる要素は多分にあったが、それは「躍る」というよりも「ノる」に近く、それを「躍る」に変換するため新曲が重要な繋ぎの役割を果たしていた。
しかし、結果としては物足りなさが残ってしまった。それは60分という短い時間と、演出の簡素化、そして「声が出せない」というハンデが大きな原因であることは明らかだが、そんなハンデがある中でもバンドは懸命にパフォーマンスしてくれていたし、そこは本当に感謝しかない。願うべくは長尺な単独公演のリベンジ開催。フォールズの楽曲の持つポテンシャルと長尺が掛け合わされば、コロナ禍のハンデも乗り越えられると僕は信じている。
[写真:全10枚]