LIVE REPORTGREEN STAGE7/31 SUN
ROUTE 17 Rock‘n‘Roll ORCHESTRA (feat. UA、中納良恵、トータス松本)
今日この日だけのステージを舞う、2羽の鳥と1匹の亀
いつもこのバンドを見ると「フジロックに来たな!」と思うのだが、メンバーがステージに登場し、“Move on up”の演奏が始まると、終わりに向かっていくフジロックになんだか物寂しさを覚えてしまう。ハンドクラップが起こり、タニー・ホリデイ(Cho)のソウルフルな声が響く。今年のフジロックには珍しく突然の雨も降ってきたけれど、そんなのお構いなし!雨に負けない歌声を披露すると、MC・クリス・ペプラーが今日だけの特別なメンバーを紹介すると、“Everybody Needs Somebody”では、タニーとクリスの掛け合いが、豪華ゲストを待つグリーンステージを温める。
まず、登場したのは金と赤の晴れ舞台にぴったりのジャケットを着こなすトータス松本!まあ、まずはこの曲ですよね。“バンザイ”のイントロが聴こえると、会場も湧き上がるかのよう。トータス松本の力強く馴染みのある声を苗場で聴けるのはなんと嬉しいことか。サビの部分では、皆でバンザイをし、ステージを更に盛り上げていく。次に演奏された“Stubborn Kind of Fellow”では、エネルギッシュなトータスの声が響き渡る。こうして昔から知っている名曲を聴くことができるのも、この時間だけのうれしい特典なんじゃないでしょうか。
お次に登場したのは、昨日のフィールドオブヘブンでも素晴らしいステージを見せてくれた中納良恵!青と緑のクジャクのような、これまたド派手な衣装を身に纏い、“くちばしにチェリー”の耳馴染みのあるトランペットの音が聴こえると会場も大盛り上がり!グリーンステージで聴くこの曲のなんと気持ちいいことか!その小さな身体のどこにそんな力が眠っているんですか?と思うほどの勇ましい歌声に飛び跳ねるような管楽器とピアノに会場はどんどん加速していく。ただただ、今この時が楽しい。タニーとの掛け合いが心地よい“You Got it”のあとは。トータス松本を再び呼び戻しての“Dancing In The Street”!パワフルなサックスもうなり、アクセントとなり、2人の質の異なる歌声に寄り添う。
2人がステージから去り、待ってました!UAの登場です!えーっと、すみません。なんと説明していいのか……難しいのだが、カラフルな衣装に鳥類を神として崇める少数民族が祭りのときにだけ身に着けるロープからできた装飾具を身に着けている。まあ、気になった方は写真を見てください。その服装で、登場一番「おおきに!」はちょっとずるい。よっちゃんも鳥みたいだったし、今日は鳥が何かのキーポイントになるのかもしれません。そんななか、披露されたのは最新曲“微熱”。メランコリックなメロディに乗るUAの自由に伸びゆく声。苗場の地で聴くにはしっくり来すぎてしまう。フルートの音色も気持ちよく聴き入ることができる。こちらもうれしい選曲のひとつであった。まどろみのなかにいるような“Nothing Compares 2 U”では、壮大な演奏にUAの歌声が混ざり合い、うっとりと身体を揺らしながら聴いてしまった。
よっちゃんを呼び寄せてのアカペラと管楽器が響き合う“水色”、トータスとUAの2人の歌声が科学反応を起こした“歌”。今日このときだけのステージ、演奏だからこそ、出し惜しみすることなく3人のフロントマンが歌い上げていく。
最後は、“IMAGINE”。3色のカラフルな歌声が苗場の大地に響きわたる。ああ、最後にこの曲を持ってくるのは、なんとも最終日のフジロックらしい。平和や人間、生きているすべてのものについて想像を巡らせながらさまざまなことを考えながら聴き入ってしまう。今日だけの特別なステージに演奏。音楽や歌の持つ大きなパワーを全身で感じた1時間だった。
[写真:全10枚]