FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTWHITE STAGE7/30 SAT

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Photo by MITCH IKEDA Text by 阿部仁知

Posted on 2022.7.30 23:28

90sインディーを愛する僕らとリンジーだけの時間

16時過ぎのホワイトステージには、スネイル・メイルことリンジー・ジョーダン(Vo / Gt)率いる5人のバンドセットが登場!90sインディー/オルタナへの憧憬溢れる1st『Lush』から飛躍的に表現の幅を広げた昨年の最新作『Valentine』リリース後の4年ぶりの来日だけあって、遭遇した友人たちもみんな絶対観たいと言っていた。僕の周りにいるホワイト前方の人達も明らかに同類だ。

オアシスの“Live Forever”のTシャツで現れたリンジー。このままダイナソーJr.を見るフジロッカーみたいな出で立ちに親近感を覚えるが、モニターを見る限りどうやら靴だけは『Valentine』仕様?なんて思っていたら早速表題曲“Valentine”だ。気だるいムードがサビで爆発するあの激情が、バンドの生音を伴って目の前で再現されている。少し音圧は抑えめに思えたが、それだけで感激するじゃないか。

続いて“Ben Franklin”、“Glory”と最新作から立て続けに披露。細かくハットを刻むレイ・ブラウン(Dr)やアレックス・バス(Ba)の重いベースラインもひときわ印象的だが、やはり様になるのはリンジーのギターだろう。“Speaking Terms”の気だるそうにざっくりと弾き語る姿を見ていると、もはや弦の鳴りだけで涙が出てきそうだ。

それからもアコギに持ち替えた“Automate”や、ゆったりとしたドリームポップの感触もある“Golden Dream”など、新旧バランスよく進行していく流れが心地いい。そして彼女が17歳の時のEP『Habit』の“Thinning”のドライヴ感といったらもう。別に飛躍的に進化したからといってインディーへの愛を忘れたわけじゃない、どころかさらに深めているリンジーの姿に胸が熱くなるじゃないですか。

ハンドマイクの“Madonna”ではステージ前に腰掛けていたり、“Heat Wave”や“Full Control”がまとう憂いの表情に揺られたりとリンジーとともに心が90sに還っていくようなこの体験。かといって単なるノスタルジーではないことは“Headlock”や“Forever (Sailing)”の微細なニュアンスからも感じられ、2022年のライブがホワイトステージを唸らせている。

セッティングの調子が悪かったようで、何度もローディーさんをつかまえては少しふてくされたり、その時の会話や独り言もマイクで拾っていたりと奔放な様子も愛らしい。そして最後は“Pristine”。個人的な話にはなるが、よく顔を出す大阪のロックDJパーティーでアンセムになっていたこの曲に僕はすべての想いを投影する。隣のお兄さんも恍惚の表情。減速するにつれ感情が溢れる最後の「I’ll still love you the same」にすべての気持ちを昇華し、リンジーと僕らの時間は過ぎ去っていった。

[写真:全10枚]

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7/30 SATWHITE STAGE