FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTWHITE STAGE7/31 SUN

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Photo by suguta Text by 石角友香

Posted on 2022.7.31 13:07

フジロックの申し子、2022年のいま、ホワイトに到着!

「水、飲んでね」―何度もオーディエンスを気遣う内田怜央(Gt/Vo)。何故かと言うと、彼自身が高校時代からキャンプ組のフジロッカーだからだ。中盤のMCで「3日目とかなると、疲れるじゃない?人、来てくれるかなあと思ってたら、こんなに来てくれるなんて」と、参加者目線、フジロックラバーならではの視点を盛り込んできてくれるのがシンプルに嬉しい。そして気合の入ったステージを彼らはどこまでもシュアな演奏第一で貫き通した。演奏に対して「カッコいい…」以外の言葉が見つからない、そんなステージで挑んできた。

とはいえ、サウンドチェックのあと、オーディエンスを含めたセルフィーを撮ったりしてはしゃいでいたのだが、まあわちゃわちゃはそこまで。本番はタイトなプレイかつ、ド頭から人気曲“Balmy Life”で上げてきた。千葉大樹(Key)のトーキング・モジュレーターの精度も格段に上がっている。ホワイトステージ、安定のナイスバランスである。疾走しつつ腰も揺らすナンバー“Juden”と飛ばす飛ばす。若年寄ぽいセンスの長谷部悠生(Gt)がジミヘンの“Purple Haze”のフレーズを混ぜてくるのもカッコいいとオモロイが半々のイメージ。そう、完全に演奏はカッコいいのだが、バンドのキャラがオモロカッコいいのがKroiが愛される理由だろう。
曲中のインスト部分の抜き差しも彼らの聴きどころで、このバンドのネオソウルやジャズテイストを決定づけている益田英知(Dr)の抜けの良いフレーズ、涼しい顔をしてグルーヴの根っこを支える関将典(Ba)が思わず「く〜〜〜っ」と声が出るフレーズを繰り出す。踊れる曲が続き、振り返るとなかなかの人数がホワイトを埋めていた。

暑いのでちょっとカームダウンするように、涼し気なエレピでジャジーなコードが奏でられる“熱海”へ。内田のボーカルもヴァースはトーキング、サビのファルセットと巧みだ。ベースとギターがユニゾンするパートも涼し気だ。続く“Pixie”では長谷部が前方に歩み出て、熱い(暑苦しい?)ギターソロを弾き、最後は歯弾きまでした長谷部の唐突感。内田に「ギターソロで笑いが起こってるね」と指摘。5人全員がムードメーカーのようなバンドだが、ライブを体験するとおもろさの分担がより分かったんじゃないだろうか。暑いと気持ちいいのどちらかしか出てこないぐらい、言葉少なになってきたステージ上。いつもなら好きな時に好きなように喋る彼らもさすがにこの暑さでは演奏第一になるだろう。

オーディエンスにはさかんに「水、飲んでる?」と注意喚起する内田だが、気分は相当いいようで、「この気持ち良い感じで、俺らも気持ちいい曲やっていいですか?」と、レイドバック気味のビートでスローにとろける“Never Ending Story”。合間に変拍子を挟むのもニクい。

この暑さでも前方で見ている人がほとんど撤退しないのが、ハマると沼のようなKroiのグルーヴの魔力なのかもしれない。「え、カッコいい、もう1曲」を繰り返しているうちに時間が経過するのを忘れると言うか。終盤、再度ギアを上げてサビで手を自然に挙げたくなる“Fire Brain”。内田のボーカルもシャウトもだんだんねちっこく強くなってきた。いいパフォーマンスが最高の音で届けられているから、安心してヒートアップしてくれ!と念を送っている自分がいた。

ラスト前には「憧れのアーティストを見たところに帰ってくるって、ヤバい状況をひしひしと感じます。また来ます、絶対。伝えたかったんで言いました」と、内田。ミュージシャン人生のかなりの部分に影響を与えたフジロックのステージの上から見る景色や感情はいかばかりか。サングラスの奥の瞳を見たかった。イノセントなラブソングにも受け取れる“Shincha”の歌詞を〈また俺らと一緒に踊ってくれるかい?最高の景色、山がそびえ立つここでまた踊って、一緒に〉とアレンジしてソウルフルに歌い上げ、最後の一音まで丁寧に演奏し終えた5人。きっと、今度はもっと曲数を増やして、夜間か大きなステージで会えるんじゃないだろうか。

[写真:全10枚]

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7/31 SUNWHITE STAGE