LIVE REPORTRED MARQUEE7/30 SAT
CreativeDrugStore
結成10周年、フジロック初出演で、CDSの正体を目撃
わー、これは男子の夢じゃないか?マチズモとは無縁の良い方のBOYS CLUB。正直、CreativeDrugStoreって、さまざまな大手ブランドとコラボグッズを作ったり、マーチのイメージしかなかったのだが、これはヒップホッププロパー以外も踊れる、グループならではの楽しいヤツだ!と、オープニングから確信してしまった。
とはいえ、dooooは自分のDJじゃなく、みんなのトラックを次々出しつつ、リアルタイムで音を足したりしてるせいか、冒頭は微妙に間もあったものの、BIM(MC), in-d(MC), VaVa(MC), JUBEE(MC)の紹介映像と各々のロゴが背景に映し出されると否応なく盛り上がる。軽くフリースタイルを決めて、BIMの“マジックアワー”で一気にサマータイムへ。一転ハードなJUBEEがin-dをフィーチャーした“Black Flys”、みんな大好き、BIMとVaVaの“Fruit Juice”と異なるカラーを持つメンバーの「いい曲合戦」の様相を呈している。もちろん、自分の曲以外でも賑やかしたり、DJブースと同じ高さの台の上でパフォームしたり、腰掛けたり、CDSの面々がティーンエイジャー映画のようにわちゃわちゃしてるのが最高だ。
コラボナンバーに続いてはソロナンバーのブロックへ。中でもVaVaの真面目さというか、いい意味でシリアスさが際立つ“現実Feelin’”や、男くさいJUBEEのハードな4つ打ちや高速BPMのジャングルビートなどは、CDSだからこそより見える個性に思えた。まあそれにしてもコロナ禍以降のライブでこれだけオーディエンスが自由に踊るライブを少なくとも私は初めて見た。ヒップホップのイベントでは、すでに戻ってきた景色なのかもしれないが、そりゃあ踊るわ!と言いたくなる、多様でしかもイケてる曲揃いなのだから。
ユーモアとシニカルさでバランスを取っているように見えるBIMも、さすがに10周年と初のフジロック出演に関しては真面目に「フジロックのステージに立てたのも、最前のよく見る顔の人たちや、スタッフのおかげです」と謝辞を述べ、続いてはひとつだけ作ったというCDSのビニールボールを「昨日、ヴァンパイア・ウィークエンドで、これの何十倍もでかいビニールボール見たから、これ出すかどうか悩んだんですけど」と言いつつ、フロアに投げ入れた。
続けてBIMの人気曲“Presence”の途中では「今頑張ってることがある人は10年やってみましょう」と、曲にも10周年にもかけたMC。in-dは昨年のSUMMITオールスターズでも披露した“On My Way”を今年も披露。さらに「せっかくだから新曲も作ってきた」と、ロックテイストもある新曲をライブで解禁してくれた。それぞれ熱のこもったMCで沸かせるが、VaVaの「毎年フジロックを生きがいにしてきたヤツはいますか?俺もそうだから!」と、“Mugen”で踊らせ、胸に熱いものを去来させる。ラッパーの個性とキャラクターをdooooのDJと、今回のための映像やリアルタイムでステージ上やレッドマーキーの様子を映し出すHeiyuu(Camera)とのチームワークも羨ましい限り。
最終盤はBIMのラテンでチルする“Bonita”、CDSのテーマでラッパー4人のセンスも声もしっかり印象づけて、「ああ、だからこそグループなんだな」と、またも羨ましくなってしまったのだった。10代の食えない時期から互いを知る者同士でも、ソロで多忙を極めるとグループの活動は自然消滅しそうなものだが、この6人だから、ほとんどグループの曲がなくても看板は降ろさないのだろう。ラストにCDSとしての新曲を放って、おお、これは2022年、続きに期待してOK?と、最初の「マーチしか作ってないんでは」という冷静な視点は180°転換した。
[写真:全10枚]