FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTRED MARQUEE7/29 FRI

OGRE YOU ASSHOLE

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Photo by 板場 俊 Text by あたそ

Posted on 2022.7.30 10:34

50分3曲のステージ、音の大洪水に包まれて

人で埋め尽くされる3年ぶりの深夜のレッドマーキー。そのトップバッターを務めるOGRE YOU ASSHOLEの4人が浮かび上がるバンドのロゴを背景に、SEもなくゆっくりと登場する。

出戸学(Vo&Gt)のシンセサイザーの浮遊感のある音が徐々に重なっていき、清水隆史(Ba)の重く低いベースの音がじっくりと身体を包み込む。下から突き抜けるような勝浦隆嗣(Dr)のドラミングも心地がよい。1曲目(…というか、50分間のステージのなかでほとんど音楽が止まることはなく終始何かしらの音がなっていて、曲数としてカウントするのもなんだかちょっと違う気がするのだが)、「触れているのか 触られているのか 俺のなかで」という出戸のお風呂のなかにいるのかと思うほどのリバーブのかかりまくった歌が気持ちのいい“朝”。緑、赤、青と怪しく光るスポットライトも、深夜の時間帯にぴったりであった。何かのマシンのようにテンポを一切狂わすことなく、ステージ上でじわじわと混ざり合っていくひとつずつの音は、夜の空気を伴ってそのままどこまででも連れていってくれるかのよう。観客たちも各々で身体を揺らす。

セットリスト的には、歌詞や曲を聴きとる限り、“朝”、“見えないルール”、“他人の夢”だったのだが、いつの間にかするっとスライドするように演奏されていた。50分のステージのなかで3曲しかやらないし、なんなら“朝”だけで約25分。それだけで笑ってしまいそうになる。気がついたらいつの間にか曲が変わっていたとしか言えない“見えないルール”では、深夜にぴったりのなんだかウトウトしたくなるサウンドと、そこに突然現れる転調がアクセントとなって心地よい。“他人の夢”は音源で感じた穏やかな雰囲気を保ち、そこに継ぎ足される馬渕啓(Gt)の轟音ギターが今までの会場のムードを一瞬で全部ぶち壊していく。あれにはやられた。50分ぴったりで終了。MCも挨拶程度で、ほとんど人力マシンのようなステージは、居合わせた人全員を魅了してしまったのではないだろうか。改めて、人は自分の想像や価値観に超えるものに出会うと、とりあえず笑いそうになってしまう。終始笑っていた。すごすぎて。意味わからなさすぎて。なんなら、あの会場にいた人全員に感想を聞きたいくらいだ。すごかったですよね?あのライブ…とんでもない瞬間に居合わせてしまった。

本人たちにスポットライトが当たることがほぼなく、照明やミラーボールはきらめき、その鮮やかさが視覚と聴覚を絶妙にマッチさせる。音量はバカでかいはずなのに不思議と不快感はない。ドープなサウンドが大洪水のように身体にすっと入ってきて、感覚がどこか遠くに飛ばされたまま戻ってくれなくなりそうになる。彼らの新しい実験的な表現なのかもしれない。疲労がたまり、少し気を抜くと眠気も襲ってくる深夜のはじまり。この自分自身を包む音の膜がなんとも気持ちのいいことか。3年ぶりの深夜のレッドマーキーには、まるで小さな音の宇宙が広がっていた。ライブを見終わったあとは、他の音に少しでも触れるのがもったいないほど。50分じゃ全然足りなかった。あっという間だった。もっともっと音に狂わせてほしい。

[写真:全10枚]

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7/29 FRIRED MARQUEE