LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/30 SAT
toconoma
toconomaのステージには決して変わることのない良体験がある
フジロック2日目の昼下がり。ヘブンの天候は快晴。正午ぐらいまではカンカン照りが続いていてかなり暑かったのだが、この時間になると、そよ風も涼しく感じる。そんなちょうど良い気候の中登場してきたのは、4人組インストゥルメンタル・バンド、toconomaだ。前回のフジロック出演は2018年のフィールド・オブ・ヘブンで、その年はバンド活動10周年というのも相まって、石橋光太郎(Gt.)が思わず涙ぐむという感動的なシーンがあったが、今年は果たしてどんなシーンを僕らに見せてくれるのだろうか?各々がそれぞれの期待を抱きつつ、ライブはスタートした。
メンバーは白と黄色を基調とした衣装を身に纏い、「最高な休日へようこそ!toconomaです。」「晴れて良かったね」という和やかなMCから始まったのは“Yellow Surf”。ミドルテンポのメロディーラインは、その時のヘブンの気候にマッチしていて、オーディエンスはみんな心地よさそうに体を揺らしていた。続くは、グルーヴィーなイントロから始まる“Highwind”。疾走感のあるこのナンバーは、ラストへ向かってどんどんと加速していく。オーディエンスも、そのスピードに「追いつけ追い越せ」と踊るスピードを上げていった。これぞヘブンなダンスチューンの次は、今月頭にリリースされたばかりの新曲“Quest4”。細かく刻まれるビートと緩やかに上がっていく高揚感のマッチングが素晴らしい。「ヘブンのインストバンドはやっぱりコレだからやめられないんだよなぁ。」思わずそう呟いてしまいそうになった。続くMCで「僕らインストバンドで、歌詞ないんで待ってたら終わっちゃうんで気をつけてください」なんて冗談や、矢向怜(Ba)が店主を務める東京・三鷹にあるタイ料理屋『キッチンconro(コンロ)』の宣伝も挟みつつ、ライブはMCも含め穏やかに進んでいく。
この後、初公開の新曲(曲名はまだない)と“DeLorean”、そして“underwarp”の3曲がシームレスに繋がるロングセクションに突入。新曲はエレクトロなダンスナンバーで、80’s風シンセ・ポップ・ファンクをベースにエクスペリメンタルな面も見え隠れしていて、初聴きでも全く問題なく踊れる楽曲だ。それにしても、この3曲のロングセクションは本当に心地よかった。シームレスに繋がるということは、曲間で瞬間的にテンポが変わったりするので、その変化に対応するのもまた楽しかったりするのだ。
温かみが溢れるライブも後半に突入。「ちょっと踊ってみませんか?」というMCから、ポップでジャジーな風味のある“ALOE”。サビから一気に加速していくエモーショナル溢れる“Vermelho do sol”にオーディエンスは思いっきり踊る。そしてファンキーなリフとグルーヴィーなシンセが印象的な“relive”と続き、ラストは熱くなった心身をチルアウトさせるメロディの“the morning glory”で幕を閉じた。
途中のMCで西川隆太郎(Key)が「フジロック最高だね。ここに来て、変わらない場所があるんだなと実感しました。」と口にしていた。今の世の中、いろんなものが変わってしまった。一方で変わらないものもあるんだ。そんな当たり前のことを改めて気づかせてくれた彼らに感謝!
[写真:全10枚]