FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTROOKIE A GO-GO7/29 FRI

downt

  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt
  • downt

Photo by 北村勇祐 Text by 阿部仁知

Posted on 2022.7.29 14:04

君はdowntを目撃したか

冒頭から「現行のバンドを見てほしい、東京の吉祥寺から来たdowntです」とかます河合(Ba)には、「言うねえ!」とルーキーらしい口ぶりを清々しく思ったものだが、言うだけのことはある。2021年に結成したのも束の間、ツアーはソールドアウトを連発し、破竹の勢いでルーキー・ア・ゴーゴーに出演したdownt。この3人のライブパフォーマンスは通りがかったフジロッカーにも確かに刺さったに違いない。終演後の長蛇の物販列がそれを物語っているかのようだった。

音速ばばあに続いて東京のレーベルungulatesからの出演ということもあり、期待感が溢れるルーキー・ア・ゴーゴー。空に抜けていく富樫(Vo / Gt)のクリーントーンを気持ちよく感じていたら、“mizu ni naru”ではテクニカルなフレーズが飛び込んできたり、ギターをかき鳴らす姿が堂に入っていて目が離せなかったり。“111511”でも囁くように歌う姿と、力強く歌う姿のコントラストが鮮烈で、シンプルなサウンドながら富樫を中心に多種多様な情感が紡がれていく。

だが富樫と対照的にほぼ一定のフレーズを高出力でクレバーに刻んでいく河合やロバート(Dr)こそがこのバンドの真価なのではないか?なんてことも感じるdowntのバンドサウンド。もちろんテクニカルで展開が目まぐるしく変わる様子や“Fis tel”の歌声の情感に、マスロックやエモという言葉も浮かぶのだが、そういった要素もすべてひっくるめて、シンプルに「かっこいいバンド」と言いたくなるサウンドの強度をdowntは持っている。去年結成というのが信じられないほどだ。

先日大阪公演を観た時はライブハウスのクローズドな環境が映えるサウンドメイクに感じていたのだが、照りつける太陽の下カラッとギターをかき鳴らす“minamisenju”の爽やかな響きは屋外だからこそにも感じられたし、本当に色んな顔を見せてくれるバンドだ。あるいはシンプリシティと緻密さや複雑さの絶妙なバランスという意味では、最終日に出演するブラック・カントリー、ニュー・ロードの姿も思い浮かぶ。それだけに多くのフジロッカーの前でパフォーマンスをした意義は大きいようにも感じる。

MCで河合はいいねの数とかフォロワー数とか、そういうのはいいから音楽やろうぜという気持ちでdowntを結成し、この話をまた来年別のステージで話したいと語っていた。だが次に見る時には全く違うステージに居るであろうこともありありと想像できるサウンドの説得力。こんなことを言うと鬼が笑うというものだが、今回downtを目撃したフジロッカー達は誇りに思っていい。そんなことを声を大に言いたくなる迫真のパフォーマンスだった。

※MCで河合さんが話していた取材記事はこちらを!前日レーベルオーナーのコウさん達にお話を聞きました。河合さんが掛け持ちで所属しているくだらない1日や、downtの前に素晴らしいパフォーマンスを披露した音速ばばあなど、ungulatesの躍進から目が離せません!

[写真:全7枚]

TAGS
7/29 FRIROOKIE A GO-GO