ゲート前でフジロッカーのメッセージ書きと写真撮影をしていると、とあるメジャーなロゴTを思わせるような、Tシャツのファミリー達を見かけました。大人も子供も、みんなお揃いのよう。オリジナルかな？
モアファンの別企画〝Tー１グランプリ〟で素敵なTシャツを見つけるミッションもあったため、メッセージと撮影の依頼に併せてTシャツについてもお話を伺ってみようと声をかけました。とても気さくでお元気な皆さんで、メッセージも撮影も二つ返事でOKをくれました。というよりも、書いてもいいかな？と少し待っていてくれたような雰囲気でした。
可愛いTシャツですね、とお声がけすると、「そうでしょ！みんなで着てるし、きっと声かけられると思ってたよ」とノリがいい。
どんなTシャツ何ですか？Su○reme風ですか？と楽しく会話していると、メジャーなロゴ風だけどちょっとちがう。そのロゴをアレンジしたお名前のようだ。「私の夫でね、亡くなったの。2020年９月16日に。だからTシャツにしてみんなで着て来たんだ。」妻のゆうこさんは笑顔のまま、私に話してくれました。お連れの皆さんもニコニコしながらユウコさんが話すのを聞いています。何となくだけど、この仲間の皆さんの呼吸の感じというか、リズムが同調しているような気がしました。
入場ゲート前だから当然人流はあるしお昼の時間でもあるから、わりとゴールデンタイムで混雑気味なのに、このユウコさんの輪は他のお客さんを邪魔しないような、そんな気がしました。何というか、いい波長で。
ゲート前の賑やかさをかき分けながら、ユウコさんは話してくれました。「リュウセイはフジロックが好きでね、2005年から2018年まで、フジロックに来てたんだ。大好きだったの。」ユウコさんの話にそうそう、と周りのお友達も頷いています。みんな笑顔です。
リュウセイさんが亡くなられた2020年９月16日の日付と彼の顔写真をプリントして、Tシャツを作ったんだそう。
リュウセイさんはどんな方でした？「バイクが好きだったりね、人生を教えてくれたかな。」ユウコさんは彼のことが大好きだったと、笑顔で話してくれました。「リュウセイは死んじゃったけど、残してくれたからね。」お子さんもユウコさんの側で聞いています。
家族のようなお友達も、リュウセイさんを身近に感じているように頷いています。彼は皆さんから慕われていたんだな、と伝わって来ました。
快晴の空の下、額から汗が流れ落ちながら、皆さんの溢れる思いが伝わって来て思わず熱くなります。するとつられてみんなで泣いてしまいました。
きっと一緒に今日、リュウセイさんもフジロックに来たんですね。見上げた先に広がる青空と大きな雲は、その思いを否定しないでしょう。
皆さんに会えてよかった、フジロックに来てよかったな。偶然にも、皆さんに取材させてもらえて本当によかった。偶然は貴重な財産だと、今日感じました。〝Tー１グランプリ〟は、私の独断で、もう優勝です。
同じ空間にはもういない人であったとしても、大切な人を思う気持ちは変わらない。これからもきっと、皆さんは笑顔でフジロックに来るでしょう。リュウセイさんも変わらず一緒に。

このお話を記事にさせていただいてもいいですか？と確認すると快諾され、リュウセイさんのお名前は伏せましょうか？と重ねて確認すると「ううん、出して大丈夫です。　お姉さんが聞いてくれてよかった。」ユウコさんは大好きなリュウセイさんが描かれたTシャツを眺めながら、笑顔で答えてくれました。

お名前：ユウコさん（写真中央のメッセージを掲げている方）、お子さん
フジロックとリュウセイさんが大好きな仲間達