MOREFUNAREA REPORT7/31 SUN
フジロック紀行2022
現地でしか感じられない楽しさを再確認した3日間
フジロックの最終日。作業テントの裏では、ヘッドライナーのライブに向けたリハーサルが行われている。あと2時間もすれば、ホワイトステージの最終アクトが終わり、グリーンステージから先へは立ち入れなくなる。
まだ終わったわけではないが、今年のフジロックは本当に楽しかったなと思う。去年はどこで何をしていても緊張感があり、心から楽しいと思える瞬間はほとんどなかった。
今年も感染症や熱中症の対策など、気をつけなければならないことは多かったが、去年のようなシリアスな空気感に支配されていなくて、会場全体にフジロック本来のリラックスした雰囲気が漂っていたように思う。お陰でフジロックが好きだという気持ちを再確認できた。
例えば僕は、入場ゲートの前で楽しそうに写真を撮っている人たちのことが好きだ。オアシスで迷うことなく苗場食堂へ直行し、とろろめしで1日を始めるのが好きだ。グリーンステージで“田舎へ行こう”が流れてくる瞬間が好きだ。キッズランドで楽しそうな笑い声が聞こえてくると、家で留守番してる子どもたちのことを思い出して寂しくもなったりするけど、いつかは連れてきたいなと思っている。
ホワイトステージで浴びるヘビーな音圧、フィールド・オブ・ヘブンの後方にある竹製のベンチ、夜になると異国にいるような気持ちになるオレンジカフェ。朝一のヒヤッと冷たいピラミッドガーデンの芝生、ところ天国の川縁に腰掛けて飲むビール、巨大なダンスホールと化す夜中のレッドマーキーの熱気、クタクタで帰る宿への帰り道も大好きだ。
そうやって現地でしか感じられない楽しさが、フジロックにはたくさんある。昔は「特に見たいライブはないけど行く」みたいな常連組の話を理解できなかったけど、今は特に用もなくボードウォークを散歩して「帰ってきたなぁ」なんて思ったりしている。それがいつの間にか自分にとってのフジロックになった。
刺激的なライブがあって、好きなご飯があって、友達との再会や新しい出会いもあって、ここの空気を吸うだけで満たされるような場所なんて、自分にとってはフジロック以外にない。そのことを思い出す3日間だった。そんな場所があるのは当たり前のことじゃないと噛み締めつつ、残り少なくなったフジロックを最後まで楽しみたいと思う。
[写真:全1枚]