FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/28 FRI

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Posted on 2023.7.28 18:44

ひたすらに熱く、激しく、そして愛と感謝にあふれたステージ

フジロック’23の初日も15時前。晴れ渡り、うだるような暑さだったところから少し雲が空を覆い涼しくなってきた。これからここグリーンステージで繰り広げられるであろうはちゃめちゃなステージを目撃するべく、駆け込んでくるかのようにステージ前方に人が集結してきた。

開演時刻きっかりにメンバーが続々とステージに登場。特にハチマキをしてカラフルなドレスに身を包み、ヒッピー風の出で立ちに拍車をかけるギターのMark Bowen(以下マーク)が最高だ。

ドラムのJon Beavis(以下ジョン)がカチカチとカウントを取ると、Adam Devonshire(以下アダム)のベースがずっしりと入り、マークがノイズをかき鳴らすと“Colossus”から不気味さを漂わせながらにスタート。Joe Talbot(以下ジョー)はステージを左右にうろうろ歩きながらつぶやき加減に黙々と言葉を紡ぎ出していく。リズムが転調すると徐々にバンドのヴォルテージが上がっていき、渾身のグルーヴで熱狂の渦に叩き込む。生でしか味わうことができないバンド一人一人が紡ぎ出す音が織りなす血が通った熱きグルーヴ。これだからライヴはやめられない!一呼吸おいて、ジョーの「コンニチハ!」の一言からパンクパートへなだれ込むと、ギターのLee Kiernan(以下、リー)がいきなりフロアの中へ飛び込み、クラウドサーフしながらギターをかき鳴らすのだから一気にオーディエンスのボルテージを上げる。

熱が落ち着く間もなく、キーボードで不穏な音をマークが鳴らすと、ジョーがガンガン足を踏み込みリズムを取り“Car Crash”に続く。ヒップホップ調のアブストラクトな重たいビートがたまらない。苦虫を嚙み潰したような表情をしたジョーのシャウトがどんぴしゃのタイミングでこだまするきまりっぷりに鳥肌が立ってしまった。

ジョンのカウントに合わせてジョーがジョギングし“Mr. Motivator”を発進。ここはジョンが主役だ。ドカドカビートがバンドのグルーヴをどんどん引っ張っていく。「アリガトー!コンニチハー!」とにこやかに挨拶するジョー。お次はベースが唸る“Mother”。間奏部の暗く悲しげなギターフレーズに呼応するかのように雨がポツポツきた。苗場の天候はいつでも素晴らしい演出をしてくれる。

バンドが放出する熱いエネルギーはとどまるところを知らない。マークとアダム、リーが“I’m Scum”の間奏部でステージ上に倒れると、ジョーから「しゃがめ」の合図が。でも押し付けがましいところが一切なく、とってもジェントルなジョーとバンドたち。飛び上がってみんなが盛り上がったら最高に嬉しそうだ。そして、ジョーが感謝にあふれた表情を送り締めくくる。音の激しさの裏に宿る優しい愛にあふれたバンドだということがよく見て取れる瞬間だった。

この後もステージ中を縦横無尽にスキップしながら言霊を発するジョーが胸を打つ“Crawl!”、本セットで一番の凄まじい咆哮が鳴り響いた“Divide and Conquer”、マークによるキーボードの調べで場を“The Beachland Ballroom”でクールダウンさせと思いきや“The Wheel”で再び着火とくれば、我々はダンスを止めるわけにはいかない。ジョンによるビートの叩き込みからはじまる30秒の爆裂ハードコアチューンの“Wizz”の後続けざまに“Never Fight A Man With A Perm”へと矢継ぎ早に繰り出していく。「今日、ここに来てくれた一人一人にありがとう!」と真摯に感謝を伝え、移民問題に起因する多様性を訴えるアンセム“Danny Nedelko”を投下した。ジョーの感謝のメッセージに目頭が熱くなってしまったのは私だけではないだろう。マークがステージ下に降りてきてオーディエンスの中へ飛び込むものだから、フロア前方がモッシュとクラウドサーフでぐちゃぐちゃな状態に。ここでも、ジョーはセキュリティに対する感謝を忘れないのだ。

“Rottweiler”で、ジョーとジョンが共に叩く軽快なビートが刻まれる中、マークがメンバーを紹介していく。バンドがあらん限りにすべてを出し切り、圧巻のノイズが残響する中、オーディエンスと触れ合い別れを惜しみつつステージを後にした。

遅咲きで、人生でも多くの苦難を体験してきたジョー率いるIDLESのライヴを初体験して触れたのは、繋がっている人たちに対する気遣いと愛・感謝の想いだ。ひたすらに熱く、激しく、そして感動的なライヴだった。

[写真:全10枚]

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7/28 FRIGREEN STAGE