LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/30 SUN
Homecomings
祝、結成10周年!ホムカミの優しい音楽に包み込まれた朝イチのホワイト
疲労と眠気を感じずにはいられない最終日一発目のWHITE STAGE。今年はほとんど雨が降ることもなく、紫外線が直に肌をさす。立っているだけでもじっとりとした汗をかくような暑さ。そんななかでもこの広いステージで演奏をする4人の姿を見ようと、多くの観客が待っているようだった。
「ここ最近のHomecomingsはすごい」というのが、前評判だった。とにかく、ライブがいいらしい。「今、日本のバンドで一番いいライブをするんじゃないんですかね?」と言っている声も聴いたことがある。ワクワクした気持ちが静かに募っていくのがわかる。
アンプにぬいぐるみのたくさん乗せられた機材。背後のスクリーンにはライトブルーと白のバンドロゴが映し出される。ゆっくりとはじめられたのは、“Songbirds”だ。どこか懐かしく透明感のある畳野彩加が苗場の空気を震わせると、思わず鳥肌が立つ。風に乗る福富優樹の爽やかなギターのメロディに、福田穂那美と石田成美の絶妙なコーラスが優しく響く。穏やかなテンポに合わせて、観客たちは手を左右に振り、呼応しようとする。
「Homecomingsです!よろしく!」という挨拶とともに“PERFECT SOUNDS FOREVER”と今年4月にリリースされた『New Neighbors』の表題曲“ラプス”。この2曲、WHITE STAGEで絶対に聴きたかったんだよ!リヴァーヴのかかった優しいギターの音が優しく包み込むよう。ささやくような歌声によりそうコーラスも聴いていて心地がよく、ダイレクトに胸に飛び込んでくるような印象を抱く。Homecomingsの音源を聴くと、いつも心の奥底に眠っていた記憶をふと思い出すような感覚になるのだが、目の前の演奏は力強く、温かい。また違った一面を見ることができたようで、うれしくなる。
今年は、結成10周年となる彼女たち。祝福の意味の込められた拍手が送られたあとは、“Here”と“Shadow Boxer”だった。大きな空間を揺らすドラムにコーラスの声量も増していく。一音一音がまるで心に染み込んでいくよう。会場全体が、惚れ惚れしながら耳を傾けているのがよくわかる。
“Blue Hour”、“HURTS”と、アップテンポな曲が続けば観客たちはクラップ&ハンズをし、飛び跳ねてそれぞれの喜びや楽しさを表現する。ときに福富と福田が向き合ながら演奏をし、各々のメンバーがエネルギーを発露させていくようだった。
最後は“US / アス”で締められる。2回やり直す場面も見られたが、ご愛敬ということで……!すぐ横を通り抜けていくようなメロディに、優しい歌声。「US」という単語を直訳すると「私たち」であるが、これはバンドとかチームとか、小さな単位での話ではなくで、今このステージを見ている私たち、Homecomingsを好きな私たち、音楽を好きな私たちの歌なのだと、この場で実際に聴いて今更気がつく。キラキラとした音に未来に向けられた小さな希望を歌っているような歌。そっと背中を押してくれるようで、なんだか泣きそうになってしまう。
噂には聞いていた。『New Neighbors』の曲を聴いていると本当にいいライブをするんだろうなと思っていた。そのとおりであった。この心地よく、優しく包み込まれるような音楽は10年間の活動の成果なのだと思う。
[写真:全10枚]