FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/28 FRI

鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)

  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)
  • 鋭児 (Selected by ROOKIE A GO-GO)

Posted on 2023.7.28 15:46

突き抜けたジャンル混交の正体

今年のフジロックが始まったーー去年のROOKIE A GO-GOを勝ちのびたバンドがRED MARQUEEの第一声を務めるこの伝統はいつになっても上がる。今年はすでに国内の様々なフェスに出演、メジャー・バンドの対バンにも声がかかるほどこの1年で存在感を拡大した鋭児。パーセンテージで言うと若い男性が多い印象だ。灼熱のRED MARQUEEはすでにじっとしていても汗が滲む。ステップを踏めば汗が滴る。ついさっき朝ごはんを満腹食べたにも関わらず、もうお腹が鳴る。消化器官も言ってそうである、「ああ、フジロック始まったな」と。

鋭児の音楽性はポストパンクもロックとテクノロジーの融合も、ソウルやR&Bのメロウネスも、それこそフジロック黎明期である90年代後半から00年代前半の、国内外問わずユニークな音楽の混交が行われていた時代を思い出す。ジャンルとしてのミクスチャーではなく、一つのバンドに参照点としてアークティック・モンキーズもディアンジェロもいる感じというか。そこは2020年代的なのかもしれない。そしてそれがライブとなるとどう並列されるのか?が最大の興味だ。

坊主頭と鋭い眼光、しなやかな体躯がカリスマティックな御厨響一(Vo)以外は各好きな音楽の影響をほんの少し取り入れているような日本の青年たちだが、演奏が始まるとシュアに自分の音を出すことに専心。1曲目の途中で早くも上裸になった響一は叫ぼうが、煽ろうが、どこかピースフルな佇まいを維持していることに気づく。フロアに親子連れを発見すると、子供の方を向いてしばらく歌う。それだけでなく、なるべく一人ひとりと目を合わせて歌おうとしているのがわかるのだ。前半にポストロックやダンスロックを固めて演奏し、ほとんど初見のオーディエンスたちがタイトな演奏と、メンバー各々バラバラな個性にすっかり魅了されている。

ガラッと曲調が変わった”Human“ではローズピアノのような揺らぎのあるピアノがメランコリックで、橙色のライティングも相まって、夕焼けどきの原風景がブワッと立ち上がる。この曲終わりで響一が合掌。佇まいも相まり、アジアの高僧のように見えた。終盤はライブの人気曲”$uper $onic“でとにかく踊らせる。「祭りだ!祭り!」と、オーディエンスを煽ることで自分のテンションも上がりすぎた響一は「瞳孔開きすぎちゃったわ」と独り言を発し、なぜかエンディングを「ワン、ツー、ピクニック!」で決めようと呼びかけるのだ。意味不明である。爆発的に踊らせながら、随所にシュールなお笑い芸人のそれのようなワードとアクションを差し込んでくるこの人の存在自体が気になって仕方なくなってくる。

さらに終盤に向けて、スローナンバーでじっくり精神世界に誘うような、静かだけど確かな誓いを立てるような“銀河”で、記念すべきフジロックのデビュー戦を終えた5人。彼らにとって、ジャンルが混交しているのはあくまでも結果だ。1曲1曲の完成度と実は優しいマインド、そしてハイブリッド具合から、ダサい言い方だけれど存在が「ハイパー応援団」みたいだなと思った。劇画のヒーローにいそうな親しみやすくてぶっ飛んだ人間、その集合体が鋭児なのだ。

[写真:全10枚]

TAGS
7/28 FRIRED MARQUEE