FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - NAEBA SHOKUDO 7/29 SAT

CENT/八木海莉

  • CENT/八木海莉
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Posted on 2023.7.30 02:43

ニューカマーの2組がそれぞれ苗場デビュー

本日のメインステージも終わり、日付も変わって0:40。苗場食堂ステージが見えないくらいぎゅうぎゅうになっている。みんなのお目当ては、CENTと八木海莉。まずはCENTが登場する。CENTは元BiSHのセントチヒロ・チッチによるソロプロジェクトで、この日が初ライヴ、初フェスだという。彼女のような元アイドルが、こうしてフジロックに出演するケースは極めて珍しい。フジロックに変革をもたらす、意外性のあるアクトの一つであることは間違いない。

アイドルとしてのコスチュームじゃなくて、ゆったりとしたニット服で現れたチッチに驚く。アコースティック・ギターを構え、歌い出すのは“夕焼けBabyblue”。透き通った歌声で魅せていく彼女に緊張感は全く無く、穏やかな顔をしている。つい数ヶ月前までアイドルだったけれども、もうすでにミュージシャンになっている。

一転、次の曲(新曲だろうか)では、オートチューンのかかった歌声が印象的なナンバーで、音楽性の奥行きを感じさせる。続いて「大好きなフジロックでライヴができるのを楽しみにしていました」と話し、“決心”。銀杏BOYZの峯田和伸が作曲しているという。峯田らしいストレートで甘酸っぱいロック・ナンバーだが、これはBiSHでもあり得た楽曲かもしれないな、とふと思う。だけれど表現力と解像度の高さは、BiSHを経た今の経験値なしではありえない。確かな明るさと力強さがそこにあった。

ラストはハッピーな曲なので、みんなも盛り上がってほしい、と“向日葵”を伸びやかに歌う。骨太なバックバンドに鍵盤ハーモニカで色を添えていくチッチのなんと楽しそうなことか。苗場まで駆けつけた大勢のファンに囲まれながら、近況報告と意思表明のような初ライヴが終わった。

続いては八木海莉が登場する。アクターズスクール広島出身の20歳で、2021年にデビューした新人シンガー・ソング・ライターだ。フジロックは昨年7/30に出演が予定されていたが、前日にコロナの影響でキャンセルとなってしまったという。ところどころブルーに染まった髪型は可愛らしく、こちらを見つめる凛々しい目は力強い。そして、第一声からわっと言わせるような、圧倒的歌唱力。音源ももちろん素晴らしいのだけど、生の彼女の歌声は桁違いで驚いた。

バックバンドの深いベースに負けない、芯のある確かな歌を届ける“お茶でも飲んで”、周囲のクラップを誘うダンス・ナンバー“刺激による彼ら”と続き、ラストは“さらば、私の星”。彼女が上京を決意した際の心情を綴った曲だというが、美しいファルセットとともに描かれる壮大な世界観にぐっときてしまった。〈さらば、私の星!/ここが全てなんだと思いこんでしまう〉というフレーズに、今ここで1年越しのリベンジを果たせた思いが詰まっているような気がした。

八木は過去、インタビューで「まだ私には飛び抜けた個性というものがないので、いろいろ挑戦していく中でそれを見つけられたら」と語っていたが、それを素直に言えてしまう強さに驚いてしまった。その強さと表現力を武器に、これからも自分を探していくのだろう。

約40分のステージで合計2アクトという、ショーケースのようなライブステージは実験的だ。今後、このような形で苗場食堂を飾るニューカマーたちが増えていくのだろうか。メインステージで彼女たちを見られる日を楽しみにしている。

[写真:全10枚]

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7/29 SATNAEBA SHOKUDO