FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/26 FRI

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Posted on 2024.7.26 20:46

荒々しさと繊細さが渾然一体となったサウンドに、どんどん深みを増すグリーン・ステージ

新人バンドの初来日公演にしてグリーン・ステージ、そしてROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAの次という、SMASHの大きな期待も感じるタイムテーブルの流れ。衝撃のデビューアルバム『Where we’ve been, Where we go from here』を引っ提げ、フリコがシカゴから苗場にやってきた!

メンバーのニコ・カペタン(Vo / Gt)とベイリー・ミンゼンバーガー(Dr)、友人でサポートのデヴィッド・フラー(Ba)に、さらにギタリストを一人加えた4人が横並びになった編成のフリコ。ニコは何やら「風里鼓」と書かれた鉢巻を着けていて、ちょっとシュールだが気合いを感じさせる佇まいだ。

“Crimson To Chrome”ではいきなりマイクに前のめりになったり、「ケミカル!ケミカル!」の掛け合いが痛快な“Chemical”やギターアームの揺らぎが強烈な必殺リフの“Crashing Through”では、ニコが寝っ転がって弾き始めたりと、かなり荒々しいパフォーマンスがグリーンにブッ刺さる!

掴みからガツンとくるギターサウンドを聞かせてくれたフリコだが、しっとりとした指弾きの弾き語りから展開していく“Half As Far”や吐息のような声色の歌声が映える“In_Out”と、繊細なプレイの情感が徐々に滲みはじめる。“For Ella”ではニコのピアノ弾き語りでしめやかに歌う中、座ってエクスペリメンタルな音調のギター織り交ぜるベイリー。こうなってくると、荒々しさだけではなく微細なタッチのニュアンスで表現する彼らの魅力がより立体的に感じられる。

日本でのライブを本当に楽しんでいる様子が見てとれるフリコの面々。はじめてプレイする新曲を紹介しようとしたら、トンボがニコを横切りギターヘッドのカポに着地。ニコはとてもはしゃいでいたが、こういう大自然のマジックも味方につけながら、さらに深みを増していくフリコのパフォーマンス。

そもそも荒々しさと繊細さは両極などではなく、アグレッシブさの中に緻密な意匠があって、その細やかさがハイボルテージにかき鳴らすギターサウンドをさらに引き立てるのがフリコのライブなのだ。音源だとレッドの方が似合うかなとか思っていたが、とんでもない。こんなにもグリーン・ステージの環境がハマるなんて!デビュー・アルバムリリース前から目をつけていたという話もそうだが、大抜擢にも思えたグリーンも完全に正解。SMASHの慧眼にも拍手を送りたい。

そしてその間をつなぐのがベイリーのドラムだろう。ざっくりとしたエレキのバッキングがインディーフォークの情感を醸し出す“HOP”や、口笛も交えながらしっとりと歌いポロポロとつま弾く“Cardinal”でも、細やかなフレーズをさりげなく織り交ぜながら、ガツンとかき鳴らすブレイクがかっちりハマるカタルシスにつながっていく。ポストパンクやエクスペリメンタルと表現されるような音像ながら、まったくややこしく感じないスカッとしたバンドサウンドが心から清々しい!

後ろのスクリーンでバンドロゴとアイコンが鳥に変化していく様子が延々とループしていく映像のように、ライブの進行に合わせてどんどん深みを増していったフリコのライブ。そんな流れの果てに、満を持してプレイする“Where Weʼve Been”の恍惚感といったらもう。しきりに「ありがとう!」と繰り返し、メンバー同士で讃えあう姿に拍手を送るグリーンのみんなも楽しんでいる様子で、なんて素敵な光景なんだろうか。

デヴィッドが奔放なステップでベースを弾き倒したり、メンバー全員の解放的なサウンドがピークに達した“Get Numb To It!”でライブは終了。「もっと観たいよ!」って気分の僕らに向けて、何とここで11月の東阪単独公演の発表。ああもう、なんて粋なことを!こんなところもニクいよフリコ!

[写真:全10枚]

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7/26 FRIGREEN STAGE