FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - NAEBA SHOKUDO 7/26 FRI

Summer Eye

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Posted on 2024.7.26 23:56

人間讃歌

シャムキャッツが2020年に解散して、その後のメンバーの行方はなんだか追えずにいたけれど、「Summer Eyeがすごいらしい」という噂は、自然と周囲から聞こえてきた。ちょっと調べてみると、旧グッゲンハイム邸とかグランドサロン十三とか、とても味わいのあるハコでライヴをしまくっていて素敵だし、曲もとってもタイプだった。これは絶対に目撃しろと、運命かなにかが示し合わせているんだと思う。恋も勘違いから始まる。なのでこれは実際の目で確かめなければいかんでしょうと苗場食堂に向かった。15分前ですでにめちゃくちゃ人がいてびっくりだ。

人でぎゅうぎゅうのステージはあまり見えないけれど、1曲目“求婚”の段階で、ハチマキを巻いてパラソルを持った人が勢いよくステージをおりてくるのが見えた。彼こそがサマーアイ、夏目知幸だ。ステージ前方の脚立に登ってパラソルを開き、「最高っぽい!」と言葉を漏らす。年を重ねたことがわかる詞に合わせ、一緒にコール&レスポンスする言葉は「だから何?」。立て直したキャリアと、年齢へのカウンター。くたくたで仕事を休んで苗場に来た社会人に、ぶっ刺さらないわけがないだろう?

“双六”では電子トランペットに持ち替えて、みずみずしいイントロを響き渡らせ、祭囃子のようなにぎやかなパーカッションが周囲を包み込む。「すき焼き食べたいな!/すき焼き食べたいんだ!」という詩からみんなで“Sukiyaki”(上を向いて歩こう)を合唱する時間は、とっておきのごちそうだ。ギターに持ち替え、“大吉”、「今日の(マイク)ケーブルは40m!」と言いながら観客のほうへ再び向かって、そのまま“白鯨”。夏目はすでに汗だくで、髪を振り乱して歌う姿はなんと楽しそうなことか。その熱を帯びた目つきは、音楽を信じ、音楽に取り憑かれたようにも見える。誰よりも今を楽しんでいる証拠だと思った。

心からの「めっちゃ最高の気分です!」を放ち戻っていく夏目に対し、「アンコール!」と言う観客、「まだやるわバカ!」と返す夏目のやりとりで笑いが起きる。そのままの勢いで“三九”に突入、0才5才10才と、年齢を追っていく歌詞に合わせて、観客もリズミカルに声を上げる。そして“湾岸”。タイトなベースラインと、ざらざらとしたギターのサウンドはめちゃくちゃ踊れる。ぴょんぴょん跳ねちゃう。「さあ踊ろうぜ!」という掛け声にはラブの大合唱。これは楽しい!最後はまたまた脚立に登って、“人生”で我々にエールを送ってくれた。「うまくやろうとするな、気持ちが大事」。再び歌われるこのフレーズがやけに印象に残った。

夏目は以前、インタビューで、ライブのスタイルについて発言していたことがある。「演者をお客さんが観てる」という発表会のような空気は作りたくないという考えが、今のスタイルにつながっているようだ。Summer Eyeのパフォーマンスは、ライブは見るんじゃなくて巻き込まれていくもの、一緒に歌って作り上げるものなんだという提案にも思えた。今までの彼の印象からは正直意外で、そのギャップが嬉しくもあった。人間としての年輪を重ねて、成功も失敗もして、それを包み隠さず体いっぱいで表現するSummer Eye。シャムキャッツも素晴らしかったが、Summer Eyeのほうが夏目の人間らしさが存分に感じられて面白い。

[写真:全10枚]

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7/26 FRINAEBA SHOKUDO