LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/25 THU (EVE)
US
フジロック2024台風の目、その下馬評はほんとだった。
前夜祭恒例、fujirockers org.主宰・花房浩一の挨拶の最中にすでにバンドがセッティングを始める。今年のフジロックの台風の目になること必定、フィンランド出身の5人組ガレージロックバンド、USだ。日高大将が何が何でも日本で紹介したいと、彼のレーベル「Rexy Song」初の日本国内マネジメント契約を結んだ海外新人バンドである。ちなみに金曜からのライブレポート担当は前もって割り振るのだが、前夜祭レポ担当は直前に決める。彼らをグラストンバリーで観たエクスプレス・スタッフと雌雄を決し(大袈裟)、初見の筆者がライティング権を奪った(続大袈裟)。
結論から言おう。こんなロックンロール、自信があるか勘違いじゃないと2024年に鳴らせない。でもその自信や勘違いがどれだけかけがえのないものか、何十年もロックバンドを観ていればわかるはずだ。
後方まで詰まったRED MARQUEEはDJ MAMEZUKAがオープナーにLed Zeppelinの“ロックンロール”をスピンした段階で、そのトーンにシンクロして爆発的な盛り上がりをみせたわけだが、全てがUSのライブへのフラグだった気が。ザクザクと力任せなカッティングはエフェクターに頼らない、いわゆる男のアンプ直的なシンプリシティ。1曲目の“BLACK SHEEP”から痛快この上なし。何よりハモニカ担当がプロパーで存在することが彼らなりのエンタテイメントになっていて、メインボーカルのテオ・ヒルヴォネン(Vo/Gt)と、ハモニカ担当のパン・ヒルヴォネン(Hmc)のヒルヴォネン兄弟に華がある。これはあくまで予想だけど、一人のカリスマじゃなく、二人ともフロントマンでソングライターなのがUSのキモだ。あと、ラスムス・ルオナコスキ(B)の構えはポール・シムノンのような愚直なカッコ良さで、それも面白いバランスだ。
1曲終わるごとにテオが「アリガトゴザイマス!」と歯切れ良く放ち、フロント4人はお辞儀する。まるで60年代のビートルズの映像を観ているような気分。この礼儀正しい動作が一部フロアで受けていて、真似するオーディエンスまでいた。
ファストなガレージナンバーでもメロディが良く、ほぼヴァースとサビしかない構成はすぐ覚えられる。中にはブルージーでメロウな部分とハードさの緩急をつけた“JUST MY SITUATION”のような曲もあり、ロックンロール・リバイバルやポストパンク経由というより往年のブリティッシュビートを奇跡的に新鮮なものとして響かせている感じ。今すぐバンドを始めたくなるようなシンプルな“NIGHT TIME”はやはり生でも凄まじいテンションだった。ラストナンバーがほぼ“ジョニー.B・グッド”に聴こえるオリジナルだったのはトラディショナルな印象だったが。
さて明日から3日間。フジロック内初来日ツアーとでもいうべきスケジュールを敢行するUS。7/26(金)12:45〜GREEN STAGEのROUTE 17 Rock’n Roll ORCHESTRA、同日27:15〜CRYSTAL PALACE TENT、7/27(土)15:00〜GAN-BAN SQUARE、7/28(日)12:40〜RED MARQUEEとフル出演&大抜擢。観ておきましょう。観た方がいい。
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