FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/26 FRI

indigo la End

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Posted on 2024.7.26 20:04

念願の初出演に滲む川谷絵音の本音

毎年、初日のGREEN STAGEのトッパーはいよいよフジロックが始まる興奮と、朝一番の少しまったりした空気の中で演奏を始めるわけだが、2024年は2021年に残念ながら出演キャンセルをせざるを得なかったindigo la Endが万を辞しての登場だ。かなり丹念なサウンドチェックにも本気度が伺える。入場SEがディスクロージャーの“F・フォー・ユー”なのはもしかしたら“フジロック初出演仕様”の呼び水か。と、予想していたらやはりである。スーツでバシッと決めたイメージのあるメンバーだが、今日は川谷絵音(Vo,Gt)はクラッシュデニムにプリントの上下。1曲目は彼がハンドマイクでエンタテイナーぶりを見せる“夜風とハヤブサ”だ。後鳥亮介 (Ba)と佐藤栄太郎 (Dr)による緩急を押さえたリズムがindigoらしい脂っ気のないファンクに昇華されていく。2曲目の“愉楽”もグルーヴィ。長田カーティス (Gt)のカッティングの精度と練度の高さよ。

MCはほとんどないけれど、セトリが今の彼らを雄弁に示す。淡々と演奏を続けていく流れの中で圧巻だったのが川谷がSGを抱えた“晩生”で、イントロから降り頻る雨を思わせるトーンが、さまざまなバックグラウンドを持ちつつ、indigo la Endというバンドがオルタナティヴロックバンドであることを雄弁に語り、エンディングでの長いインストセッションで見せた川谷と佐藤が向き合ってのプレイの応酬はもはや何の形容も必要としないロック少年の成長した姿だった。

ライブ冒頭ではショーマンシップをチラチラ見せていた川谷の本音を見た気分だ。複数のバンドやプロジェクト、プロデュース仕事を並行し、どの顔、どの表現が川谷絵音本人の素なのか、もしくはそんなものを見せることにポップミュージックの価値なんてないと言いそうなスタンスの彼だが、バンドを始める際の瑞々しくて少し痛い感覚をindigo la Endは保持し続けている。特に“晩生”には世界のどこかで命を落とす人とたまたま生きている自分の対比を感じるところもあって、しかもすごくパーソナルに歌われるところに川谷が今日、この曲をセトリに入れたことの意味を灼熱の中で考えてしまった。

終盤には「この曲をどうしてもやりたくて、苗場に持ってきました」と、川谷が意図を話したその曲は“夏夜のマジック”。厳しい日差しの中でも一瞬風が吹くと、この曲の持つ切なさに泣いてしまいそうになる。「夏になると思い出す別れの歌も、今なら僕を救う気がする」――センチメンタルだけど変われるかもしれない季節。この季節にしか効かないマジックを、どうぞ感じてと彼は言いたかったのだと勝手に受け止めた。indigo la Endの出演、そして“夏夜のマジック”が開幕を告げた感じだ。

配信はここで終了したようだが、現場ではもう1曲、新たな代表曲になりそうな新曲が披露され、静かだが渾身の演奏で魅せたメンバーがステージを去る。深々とお辞儀をする佐藤の姿が特に印象的だった。何も言わないけれど、フジロックに対する思い入れは演奏から全て受け止めた。

[写真:全10枚]

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7/26 FRIGREEN STAGE