FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/26 FRI

OMAR APOLLO

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PHOTO BY古川喜隆
TEXT BY石角友香

Posted on 2024.7.26 19:11

温かい色合いのブルーに染まったGREEN STAGE

ついさっきまでの灼熱が遠い過去のように涼しい風が吹くGREEN STAGE。それはいいけど、モッシュピットにコアファンが集っているとはいえ少しオーディエンスの数が心許ない。しかしライブが進むにつれ、のんびり寝転がって観ていた人や通りがかりのクラウドが徐々に集まり、終盤にはその声にうっとり聴き惚れていた。オルタナティヴR&Bをはじめ、現行のUSのヒットミュージックは今日のラインナップの中では少し異色ではあるけど、それだけにライブそのものの良さでオーディエンスとの幸せな化学反応をリアルタイムで確認できた1時間でもあったのだ。

それにしても。ロエベのシーズンアンバサダーでモデルも務めるOMAR APOLLOではあるけど、バンドメンバーに続いてクリーム色のストラトキャスターを提げ、かつ弾きながら登場した彼の衣装はペールブルーの上質な素材のパッと見、パジャマのようなセットアップ。白いクルーソックスにオペラパンプスをコーデしたかなりのハイファッション。190センチ台の長身と不思議なアンバランスを醸している。でも動く彼はちょいちょいキュートな動きを見せ絶妙なケミストリーを生み出す。こんな人見たことがない。

さて肝心のセットリストはフェスティバルだからなのか、オールタイムベスト的な選曲をしてくれたようで、ニューアルバム『God Said No』に縛られない選曲。長いワールドツアーに準拠しているようだ。“INTRO/USELESS”に続いてはハンドマイクに持ち替えて切れ味鋭い2回転ターンも挟んだ“KILLING ME。エフェクトボイスからナチュラルなハイトーンへスムーズな移行を聴かせたり、オルタナティヴR&Bもオーセンティックで温かいソウルもエレクトロニックなダンスチューンもごく自然に並列していく。ジャンルの多彩さが全く気にならないのは音数を整理して端的に届けるバンドメンバーの実力もあるだろう。今の時代のライブ巧者といった感じのギター、ベース(時にシンセベースも)、ドラムは長いツアーで最高に息が合っていると見た。

演出もリアルタイムで映画を作るようなクリエイティヴな印象で、観客サイドの風景をモノクロやブラック&ブルーに加工して、その映像を背景にパフォームしたり、抽象度の高い、しかしエロティックな映像が投影されるのだが、そのクオリティに生身のOMAR APOLLOが全然負けていないのだ。しかも本人は自由奔放に歩き、アクションする。彼のイメージがチームで共有されているのだろう。確かにクリエーターたちもさまざまな表現を彼に提供したくなるだろうな、と思った。

日本語がタイトルに冠された“TAMAGOTCH”や“KAMIKAZE”は曲調のキャッチーさも相まって、初見のオーディエンスも巻き込んでいたし、最近のヒット曲“SPITE”へのリアクションは待望感がダイレクトに伝わった。そんなセトリの中でもやはり彼の押し付けがましさのない破格のボーカルが伝わる“WANT YOU AROUND”では歌がその場にいる人の魂を繋ぐ震えるような感覚を覚えた。

「フジロック、愛してるよ。僕も音楽が好き。みんなも音楽が好き」――そんなシンプルな愛がこの1時間で豊かに育っていた。それにしても、ステージドリンクの温かいお茶とかスティック状のお菓子(?)とか、自分に合うものを選んでるんだろうな。OMAR APOLLO、興味が尽きない存在である。

[写真:全10枚]

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7/26 FRIGREEN STAGE