FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/26 FRI

ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)

  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)
  • ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)

Posted on 2024.7.26 19:10

偉大なる先達への想いと、今ここに生きるよろこびを讃えたロックンロール・オーケストラ

少し暑くなってきたけどたまに吹く風が心地いい、フジロック初日昼過ぎのグリーン・ステージ。みんなのんびりと次のバンドを待っているようで、多分ここからフジロックをはじめたい人もたくさんいるんだろうなと感じる、ゆったりした雰囲気だ。池畑潤二(Dr)が率いる苗場音楽突撃隊を中心に2013年から始まり、毎年様々なゲストが入れ替わり立ち替わり登場する、フジロックの名物アクトROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA。僕は今年はじめて観るので、どんなライブになるんだろうとソワソワしていた。

MCのクリス・ペプラーが「トップバッターはこの男だ!」と投げかけ、登場したのはTOSHI-LOW!上半身裸になってモーターヘッドの“Ace of Spades”を猛々しく歌い上げ、さっそく盛り上がるグリーンのオーディエンス。池畑のドラムロールから始まるザ・クラッシュのアレンジの“I Fought The Law”でも、総勢13人のバンドに圧倒されながらも、意気揚々と歌うTOSHI-LOWの堂々たる佇まいにただただ見惚れてしまった。

続いて登場したのはGLIM SPANKYの二人だ。ジェファーソン・エアプレインの“(Don’t You Want) Somebody to Love”では、松尾レミの華やかで力強い歌声がグリーンに響き渡り、ザ・バーズの“So You Wanna be a Rock’n’roll Star”では亀本寛貴がステージ前方に繰り出しギターソロを披露。そんな二人の勇姿をホーン隊も加わった贅沢なロックンロールオーケストラが支えるのだ。まさにフジロックならではのスペシャルなサウンドに惹かれて、グリーンにも続々人が集まってきたようだ。

ここでクリス・ペプラーが登場し、前夜祭でも見事なライブを披露してくれたアスの3人を呼び込む。ザ・バンドの“Ophelia”ではテオ・ヒルヴォネンのしゃがれた歌声生み出すガレージ感がよく似合っていたし、“Milk Cow Boogie”でも弟のパン・ヒルヴォネンが全身で奏でるようにハーモニカを吹き鳴らし、最後は池畑のドラムと向き合ってキメる国境を越えたセッションに、グリーンも大歓声!常連とも言える2組の貫禄のパフォーマンスともまた違って、フレッシュな姿が清々しい一幕だった。

まだまだ続くとばかりに登場したのは後藤正文。赤と緑と白と黒に黄色を差したカラーのスタイルで、ザ・フーの“My Generation”歌い上げたかと思えば、服装と同様のカラーリングで「OUR GENERATION MUST END WAR」と書いたプラカードを掲げながら歌った、“IMAGINE”の日本語カバーで僕は感極まってしまった。かつて忌野清志郎が歌ったこの歌に込められた想い。このカラーリングが何を意味するかは言うまでもないが、そんなことは自分たちの世代でもうやめにしなければいけないという、強い意志が滲むようだ。後藤は奔放に動き回りながら比較的ラフに歌っていたが、そんなカジュアルな意思表示が自然と馴染むのもフェスティバルの姿なのだろう。だって、戦争やめようなんて当たり前のことじゃないかって。

でもここで変にドラマチックに演出しないのもたいしたもので、オーケストラはさらにはちゃめちゃに突き進む。現れたのはトータス松本だ!オーティス・レディングの名曲“I can’t turn you loose”と“Try a little tenderness”を、彼らしい元気印と情感豊かな歌声で歌い上げる姿に、思わず僕らも熱くなって手を突き上げる。オーティスを歌うのは大変だが、彼がこの曲を歌ったのは25歳くらいの時で、自分は57歳と語る松本。タニー・ホリデイ(Backing Vo) が何度も何度も「トータス松本!」と呼び戻し、コミカルなステップと気迫の歌声で応え続ける姿は、敬愛する名匠への愛が溢れていた。

そして、再びTOSHI-LOWが登場しトータス松本をいじったりしながら、GLIM SPANKYと後藤も再登場。TOSHI-LOWが「この曲の紹介をすごくしたくない」と次の曲への想いを語り始める。酔い潰れた彼を背負って歩いたエピソードなどを交えながら「フジロックの色んなとこにその人の思い出があると思う」と語る様子にグリーンのオーディエンスも察し始め、彼の「できるわけねえじゃん。だって、だってさ、涙がこぼれそうだよ」から、あのギターのイントロ。THE BIRTHDAYの“涙がこぼれそう”だ。

これには流石にみんなが感極まってしまうグリーン・ステージだが、印象的だったのはフルートとホーンでリフを置き換えた、ゆったりとしたレゲエ調のアレンジだったことだろう。変にしめやかではない陽気なサウンドでゆったり踊りながら、グリーンに集った全員でここにいた彼を晴れやかに見送る歌のようにも思えた。

終演後には大将こと日高正博氏が、ギャズ・メイオールとジェイソン・メイオールを連れてステージに登場。先日亡くなった彼らの父にして、イギリスのブルースロックの草分け的存在であるジョン・メイオールを悼む言葉を、グリーン・ステージに向けてぽつぽつと語っていた。フジロックでパレスなどを手がける彼らのチームも登場し、父と過ごした思い出などを語るギャズとジェイソン。しんみりした気持ちにはどうしてもなってしまうが、きっとそういうことが言いたいんじゃない。

思い返せば今回のカバーの選曲やパフォーマンスは、全編を通して亡くなった人々への想いが強くあらわれたものだったように思う。ジョー・ストラマーも清志郎もチバユウスケもここにはもういないけど、僕らは生きて今日ここにいるんだ。受け取ったものの大きさを改めて感じながら、生きている喜びを讃える強い想いが溢れたロックンロール・オーケストラの余韻を、僕はしばらく噛み締めていた。フジロックにやってきてたくさんのものを残してくれた、偉大な魂たちに感謝の気持ちを込めながら。

[写真:全10枚]

TAGS
7/26 FRIGREEN STAGE