LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/26 FRI
HIROKO YAMAMURA
骨抜き!Hirokoの手のひら・音のうえで転がされまくった1時間
まさかのREMI WOLF前日キャンセル。体調不良ゆえなので仕方がないとはいえ、やはりショックは隠せなかったし、正直に言ってしまえばスタート直前までは「本来なら、このステージでREMI WOLFが見れたはずだったんだよな……。」と感傷に浸っていた。それが今や、あの悲しみすらもすっかり忘れてしまっている自分がいる。何かとんでもないものを目撃してしまったかのような気持ちを持ち合わせながら。
ステージ中央に置かれた巨大なターンテーブル、Hiroko Yamamuraにスポットライトが当たったかと思えば、「Friday Night」という声がアクセントにしてハイ、そしてローのサウンドが継ぎ足されていく。いくら次の日の深夜に出番が決まっていると言えど、やはりホームではなかったように思う。最終的には満員になったけれど、最初のほうがお客さんの入りもそれほどいいとは言えなかったし。ひとつの楽曲をできるだけ引き伸ばしていき、8拍子ごとに音が足し引されながら会場全体を徐々に温めていくように見える。
昨年の朝霧JAMへの出演も記憶に新しいが、クラブでのプレイではなくフェスに向け、盛り上がるべきところや気持ちを上げていく瞬間を、手を引くかのようにわかりやすく導いてくれるようでもある。気持ちの高揚に無理がないというか、会場が盛り上がる空気にも人工さがないというか。まるで元から決められていたかのように、自然に身体を揺らしてしまう。
同じ曲のなかでも、キックの低音をアクセントにしつつ、BPMや周波数の変化などがなされ、さまざまな表情を見せる。改めて、1曲のなかでもひとつひとつの音をコントロールすることでこんなに印象が変わるのか、ということを思い知る。
かなり申し訳ないのだが、フェスでもクラブでもDJを見ているとどうしても飽きてしまう。「早く終わんないかな」と思ったりまったく関係のないことを考えてしまう時間があるが、踊りながらうなっている間に1時間があっという間に過ぎていったように思う。思い切りのいい繋ぎにじわじわと身体の奥底に響くベース、絶妙なタイミングでわかりやすく盛り上がるので、飽きる瞬間というものがまったくない。疲労すら感じなかった。魅せ場を作り出すのが上手いのだ。
近未来的なサウンドが特徴的な“In the Dark”からの宇多田ヒカル“光”はずるかった!2曲のタイトルにも意味が込められているのだろうか、ハイハットの音が耳に響き、馴染みのある声が聴こえてくる。しかも、これ2002年のREMIX版じゃないですか。こちらはゆったりと、歌詞をじっくり聴かせる造りになっているが、声のピッチもBPMも上げ、躍らせに来る。昨日・一昨日とタイムリーにツアーもやっていたわけで、当然のように歌ってしまいますよね。こんな宇多田ヒカル、私は知らなかったかもしれない。もうHirokoの手のひらで転がされまくっている気がする。
スクリーンに映し出されるお客さんの様子を見ていると、大音量の音楽に乗せされながらもすっかりと魅了されているのがよくわかる。圧倒され続けてしまった。踊らなければ。でも、次はどんなことが待っているのだろう。しっかり見つめていなければもったいない気がしてしまう。最後の大盛り上がりの山場を越え、Hirokoが投げキッスをする頃には大きな拍手と歓声が起きた。音楽ってこんなに楽しいのかと素直に思える時間だった。これは明日の深夜REDでも踊り狂いたい!
[写真:全10枚]