FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/26 FRI

大貫妙子

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Posted on 2024.7.26 20:30

晴れ渡った空の下響き渡ったエバーグリーンな歌声

フジロック初日、汗が滴り落ちるほどに晴れ渡ったここはホワイトステージ。開演時刻前に姿を見せたのは大貫妙子。登場するだけで大歓声が上がり、ニックネームの「ター坊!」との呼びかけに「ハイハイ」とにこやかに応え、うだるような暑さの中に清涼感を覚えるほどの微笑ましいやり取りにすでに大貫妙子の世界観に引き込まれている自分がいた。

開演時刻ちょうどにバンドメンバー6名が続々と集結しいよいよ本番開始。「ありがとうございます!暑いのにご苦労様です。気をつけてね」と優しい一言を投げかけ、ずっしりとクラウトロック調のビートが鳴り“LULU”からスタート。微かに弾かれるピアノの音が鼓膜を心地よく叩いてくる。天晴れの空に向かって鮮やかな歌声が広がっていく。

「暑くて一個飛ばしちゃった」と“ピーターラビットとわたし”では、今の相棒である網守将平が奏でる爽やかなフレーズと大貫の弾むような歌声にたまらない優しい気持ちにさせられてしまった。彼女自身、森に囲まれたこの空間に魅せられたのだろう。「木が、抜けて気持ちがいいですね」と嬉しそうだ。

今回が初めての出演となるフジロック。「(苗場での開催となり)半世紀経ってようやく私がロックだと気づいてくれた」と音楽をやっていてよかったと、自らの長い音楽歴を承認する。声や音楽のことではない、心がロックということだろう。ロックはひたむきで優しいのだ。彼女の長い歴史がすべてを物語っている。

それにしてもバックバンドの演奏が何とも粋だ。アンニュイな質感を持つ“Mon doux Soleil”では、松井寿成がシーケンサーから軽いタッチの鐘のようなビートを小気味よく鳴らし、間奏部のセッションタイムでは鈴木正人がぶっといベース音でグルーヴを生み出し、フロアを揺らしていた。“朝のパレット”ではフェビアン・レザ・パネの生ピアノの調べがグッとお洒落な雰囲気を醸し出し、うっとりとさせられてしまう。

続けていると神様がご褒美をくれると、世界的なシティポップブームもあり大ヒットしている名曲“都会”をここで投下。メロディも歌声もどこまでもキラキラと常緑のように輝いている。大自然の中で堪能する生のこの曲は格別だ。何て贅沢なんだろう。フロア前方にいた海外からやってきたと思われるお客さんたちも嬉しそうに聴き入っている。トンボがマイクへ、大貫の指へと留まり、離れようとしない。居心地のいいヴァイブスに魅せられてしまったかのようだ。

“二人の星をさがそう”と“色彩都市”で更に場に爽やかな風を吹き込んだ後、丁寧にメンバー一人一人を紹介。特に亡き坂本龍一から「網守、後は頼んだぞ!」と言われたという網守将平のエピソードには目頭が熱くなってしまった。

11月に開催する東京・昭和女子大学の人見記念講堂でのシンフォニック・コンサートの告知をして“Wonderland”で締めくくり。フェビアンによるジャジーなタッチに酔いしれ、ステージ前に大貫とバンドメンバー全員が並び、演者と聴衆それぞれが互いに拍手を送り合い、集合写真を撮影して最高にピースフルな雰囲気の中ステージの幕引きを行った。

[写真:全10枚]

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7/26 FRIWHITE STAGE