LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/26 FRI
THE SPELLBOUND
Posted on 2024.7.27 00:54
”今”が常に最上、未来へと力強く突き進む唯一無二のサウンド
ねえ、ちょっと待って!!?ちょっと油断していたらリハの段階で“KICK IT OUT”が聴こえてくるじゃないですか。しかも丸々1曲って何よ!!!!え、なんで!??もう本編始まってます?と思ってしまうほどの容赦なく重く響く低音には、思わず笑ってしまいそうになる。盛り上がらないはずなくない?前方はすでに熱を帯び、これから始まる40分のステージが間違いのないものになると約束された瞬間でもあった。
緊張感を保ちながら開始を待っていると、ステージ後方の大きなスクリーンに4人のメンバーの姿が映され、まずは“名前を呼んで”で本編がスタート。もうこちらはすでに準備運動が済んでいるわけですが、福田洋子(Dr)と大井一彌(Dr)の競い合うようなドラムがリズミカルに突き刺さり、エコーのかけられた小林祐介(Vo,Gt)が伸びていく。重く響く低音が身体に染み渡り、改めて今年も苗場まで来られたことをふと思い出して、なんだか泣いてしまいそうになる。この音楽が聴きたかったんだよな、と思いながら。そこに呼応するクラップ&ハンズがさらに会場をヒートアップさせていく。冒頭からすでに手加減というものがまったくない。
この日は、1名のカメラマンを携え、撮影している動画をリアルタイムで映し出す演出のようだった。常にステージを動き回り、メンバーの手元や足元、機材にピントが合うこともあり、各々の表情も鮮明に映される。もちろん、ライブなんだしステージ全体を観ながら本人たちの動きにも注目したい。でも、スクリーンを眺めていると、普段のステージのみでは気づけない細かな部分に触れることができる。新しい発見もあった。まるでひとつのMVを見ているようで、どこを切り取っても様になるのはちょっとかっこよすぎてずるいんじゃないでしょうか。
耳馴染みのある中野雅之(Prg,Ba,Gt)のベースが聴こえたと思えば、“Dive For You”に会場が言葉通り沸きあがり、“Nowhere”、“MOMENT I COUNT”で拍車をかけていく。REDMAQUEEそのものを突き進めるようなキックが気持ちよく、ダイナミックに会場を揺さぶる。ステージを照らす数々のスポットライト、跳ねるような4つ打ちにぶつかっていくえげつないベースのサウンドが躍らせに来る。暑い。暑すぎる。まだ1日目も中盤で正直体力を温存したい気持ちもあるんですが、もはやどうでもよくなってくる。
7月上旬にリリースされたばかりの新曲“Unknown”、“すべてがそこにありますように”、“Lotus”では、サポートメンバーのXAIが登場し、小林との掛け合いのような歌声が心地よく、幻想的に響く。小林はTHE NOVEMBERSのライブの最後には「またいい未来で会いましょう」と必ず言うのだが、THE SPELLBOUNDでもステージで鳴らされるサウンドを耳にし、意識しながら歌詞を聴いていると前進することや未来を見つめ続けることを強く考えながら音楽に関わっているように感じる。この場でしか見られないアレンジやさまざまな感情を発露させたシャウト、背景に映される二度とは撮れない映像を見ていると、より強くそう思うのだった。
ミステリアスな重低音が身体を揺り動かした“FOGBOUND”では、ステージ後方まで手が挙がり続ける様子に圧倒されつつ、思わず鳥肌が立つ。“FLOWER”、“DRESS LIKE EN ANGEL”と、最後の最後まで踊りつかれてしまった。
MCはほぼなし。もうヘトヘトだし、膝はがくがくです。でも悔いはない。アンコールを求めるかの如く拍手と声援が送られたが、マイクで何かを話す中野の声が何も聞こえないほどで、いつまでも鳴り止まない。
[写真:全10枚]