FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - FIELD OF HEAVEN 7/27 SAT

CHRISTONE “KINGFISH” INGRAM

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Posted on 2024.7.27 21:14

キングフィッシュの夜に酔いしれて

クリストーン“キングフィッシュ”イングラム(以下キングフィッシュ)とはどんなアーティストなのか?──それを知った瞬間、今年のフジロックのルーツミュージック枠は安泰だと確信した。それは、彼が第64回のグラミー賞で「最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞」を受賞した実績もあるが、それよりも大前提として彼のライブ・パフォーマンスが最高に“ブルース”してるからだ。

ちなみに彼はこのステージの前、初日の深夜のクリスタル・パレス・テントに出演しているのだが、そこに至るまでの彼のタイムスケジュールがまず凄かった。当日日本に到着すると、ホテルにも向かわず会場に直行。会場に到着すると、着の身着のままパレスのステージに上がり、ライブして、パレスに大歓声を生んだという怒涛のスケジュールをこなしていたのだ。そんな話を聞いて期待値が上がらないわけがない!僕は足早にヘブンへと向かった。

前日のパレスと同じく「It’s KINGFISH time!」というMCからイントロBGMがスタートし、フュージョン風のインストをバックにキングフィッシュが登場!その風貌はいわゆるぽっちゃりさん。超太めのUSEDデニムを履き、超オーバーサイズの白いTシャツを着ていた。身長はそんなに大きいという感じではない。故に大きな圧迫感みたいなものは全く感じなかった。むしろ彼の温和な表情も相まって愛らしさすら感じる。

そんな彼の初っ端、1曲めはファンキーなメロディとヴォーカルが印象的な“Midnight Heat”。注目のギターソロに突入すると、目を瞑りながら恍惚の表情を浮かべつつギターを弾くキングフィッシュ!そう!こういうブルースギターが聴きたかったんだ!と思わず歓声を上げてしまった自分。続く“Freak Out”は一転してクラシカルなブルース・ソング。ここではブルージーなヴォーカル回しとギタープレイが決して派手ではないものの、聴いていて逆にそこがタマらなく気持ちいいところだ。

メンバー紹介を挟んだ3曲目“Hard Times”では王道なデルタ・ブルースを披露するのだが、ここでキングフィッシュ以外のメンバーに釘付けになってしまった。それはデショーン・アレクサンダー(2017年に出演したマーカス・キング・バンドのキーボーディストも兼任)のキーボードプレイだ。オルガンソロで鍵盤をまるでスラップ双方のように弾き(!)、さらにキングフィッシュとの掛け合いのパートでは、ステージピアノ(nord stage 2 Ex)に備えられたモジュラーシンセ機能を使い、聴いたことのないブルースサウンドを生み出していた。キングフィッシュのギター、デショーンのシンセと両軸でグルーヴィー!これは最高だ!

彼のライブの曲は大半がオリジナル曲だ。作曲はキングフィッシュが参加していて、シンガーソングライターとしても非常に優れていることがわかる。そんな中で今日カバーされたのが、2000年代に活躍したブルースギタリスト兼シンガーソングライターであるマイケル・バークス(2012年死去/享年54歳)の”Empty Promises”だ。ブルースギタリストでありシンガーソングライターでもある彼との共通点を持つキングフィッシュが歌う”Empty Promises”は、基本オリジナルの風合いを踏襲しつつも、ギターソロパートでは怒涛のようなギタープレイで一気にキングフィッシュ色に染め上げる。そんな共存共栄なアレンジにキングフィッシュのマイケルへのリスペクトを感じた。

そして、ライブは後半に突入し、ここからラストまでオール・クライマックスで駆け抜ける!まず、ハイパーファンキーな”Not Gonna Lie”では、キングフィッシュとデショーンそしてポール・ロジャース(注:バッド・カンパニーのポール・ロジャースではありません)によるジャムセッションが行われ、ここでポールのハード&ヘヴィーなグルーヴを産むベースが炸裂した。曲のアウトロになると、突如キングフィッシュがステージを降り、客席へと突入、セキュリティに守られながらヘブンのど真ん中に到着すると、そこで最後まで弾ききった。キングフィッシュ色に染まりまくっているオーディエンスのど真ん中で、長尺のインストゥルメンタル曲”Mississippi Night”を約10分にわたって弾きまくった。ステージに戻って、ラストは”Long Distance Woman”。ハードロック調なギターから始まったこの曲でヘヴィにギターを鳴らしソウルフルに歌いまくると、ジミヘンの”Purple Haze”のイントロギターフレーズを披露!最後は3人で再びセッションを披露して1時間のステージを終えた。

”ブルースとはなんぞや”的な話になった時、「ブルースはジャンルじゃない、自由に定義できるもの」的な話をよく聞くし、自分もするのだが、キングフィッシュはまさにその道を真っ直ぐに進んでいる存在なんだなと、ライブを観て感じた。それは一般的なブルースのイメージとは少し離れた部分はあるかもしれないけれど、自分のブルースを自由に定義しクリエイトしている彼は間違いなくブルース・ミュージシャンだ。

<セットリスト>
01. Midnight Heat
02. Freak Out
03. Hard Times
04. Empty Promises (Michael Burks cover)
05. Not Gonna Lie
06. Mississippi Night
07. Long Distance Woman

[写真:全10枚]

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7/27 SATFIELD OF HEAVEN